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エナジーナイト  作者: 鈴夢 凛
第1章アストロティア
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アストロティア編 「8」

 翌日俺達は再びギルドに向かった。討伐隊の方は既に出発を始めていた。

 「おーい。ヒナたちこっちだ。」レオが呼んでいる場所へ移動した。

 「すまないな。こんな朝っぱらから。」確かに今ようやく日が上ってきたところだ。

 「いいえ。別に大丈夫です。」

 「そうか。では説明に入る。見てのとおり今討伐隊は出発した。帰ってくるのは二日後らしい。それまで昨日言ったとおりここを守ってほしい。殺人ギルドについてだが新しい情報が入った。奴等は魔獣を召喚出来るらしい。その魔獣を操り襲いかかってくるとのことだ。」魔獣か。気になる。

 「あの、魔獣と魔物の違いは何なんですか?」そんなものを召喚されたら俺達は勝てないかもしれない。なるべく情報が欲しかった。

 「魔獣と魔物の違いは理性があるかどうかだ。魔獣は召喚で操ることが出来るのはそういうわけだ。ただ疑問が残るな。普通なら殺人のためにであれば言うことは聞かないはずだ。」確かに理性を持っている魔獣なら普通は動かない。

 「つまり殺人ギルドの連中が魔獣に暗示をかけた、または何かの道具で理性すらも操っているということになるわね。」しばらく口を開かなかったヒナが答えた。

 「まあそれもあり得るな。とにかく相手の事を俺達はまだ分かっていない。いつも以上に気をつけてほしい。では場所の説明に入る。」レオはセントリアの地図を広げた。

 「エリアは北部、南部、東部、西部、中央部の五つに分けられている。そこのエリアを一人ずつ守ってほしい。まずは北部ヒナ、南部ノア、東部テラ、西部ハルト、中央部は私が入ることにする。もちろん君たちの他にも一エリア二十人つくことになっているから心配するな。言われたエリアを守ってほしい。いいな。」俺達はうなずくと笛を一人ずつ渡された。

 「もし緊急事態になったらこれで知らせてくれ。よしでは全員配置に着いてくれ。」俺達は自分のエリアに分かれた。



 俺が西部エリアに着くと既に二十人くらいの人達が配置に着いていた。仕事が早いな。ただ一人慌ただしい少女がいるが。

 「ねえ、君。そんなに焦ってどうしたんだ?」少し心配になったので声をかけた。

 「私は・・・その・・・えっと・・・すいません!!」却って混乱させちゃったか。今にも泣き出しそうな少女は固まっている。

 「ごめん。余計困らせちゃったな。俺はエナジーナイトのハルトだ。別に君を怖がらせる気はないから。」少女は少しほっとしている。

 「いえいえ。初めて男性に声をかけられたもので驚いただけです。私はエナジーハンマーのチカです。先程焦っていたのは私の大事なものを探していました。私が配置された場所にあるはずなんですけどないんです。」その様子だと相当大事な物なんだろうな。

 「よしじゃあ俺も探すの手伝うよ。」チカは顔を赤らめた。

 「ええ!!いいんですか!!でも・・・」とても申し訳なさそうな顔をしていた。

 「いやなら別に大丈夫だよ。」チカはとんでもないとでも言いたそうな素振りを見せた。

 「全然大丈夫です!!ハルトさんに迷惑をかけたくなかっただけです。本当にいいんですか?」俺はうなずいた。

 「やった!!ありがとうございます。私が言っていた探し物はペンダントです。私の村の紋章が刻まれています。」

 「分かった。ペンダントな。じゃあチカ。そこに案内してくれ。」俺はチカにその場所まで案内してもらった。

 「ここです。」俺とチカは日が暮れるまで探した。だがチカが言っていたペンダントは見つかることはなかった。

 「ここまで探してもないか。ごめんな。力になれなくて。」

 「いえいえ!!全然大丈夫です!!ハルトさんありがとうございました。」チカはお辞儀をした。すると背中に光るものが見えた。

 「なあ、チカ。背中見てみな。」チカは何だろうと思って背中を見ると、

 「何ですか。背中ですか。あああ!!ペンダントだ!!」こういうのたまにあるよな。

 「すっすいません!!こんなところにありました!!」とてもうれしそうだった。

 「いいよ、別に。楽しかったから。良かったね。」俺は笑顔で答えた。

 「はい!!本当にありがとうございました。」



 そんなこんなしているうちに夜になっていた。

 「なあ、チカ。ここら辺の宿屋ってどこにあるか知っているか?」セントリアは広い。だから俺はまだ全ての位置を把握していない。

 「はい!もちろん知っています。着いてきてください。」俺は言われるままにチカについていった。

 「こちらです。ここ私のお気に入りです。」とても良さそうな所だ。

 「すごいなあ。でも高いんじゃあないか?」こんなに居心地が良さそうだから高くて当然だろう。

 「それが討伐ギルドに入っている人は無料なんです。」何だって。普通なら一泊200ユルロが当たり前なのにまさかただとは。ちなみにユルロこの世界のお金の事だ。

 「本当にただなのか?」チカはうなずいた。俺達はその宿屋に入った。本当にただだった。ただほど高いものはないというが今はそうは思わない。しかも食事付で。今度ノアたちに教えよう。ただひとつだけ。まさか女の子と一緒に寝れることになるとは。部屋が一つしか空いていなかった。まあただだからな。入れただけでも幸せだと思うべきだろう。

 「ごめんな。疲れているのに俺が邪魔しちゃって。」一応謝っておいた。

 「少しドキドキしますけど気にしないでください。それに心細かったんです。」悲しそうな顔をしていた。

 「そういえばチカが探していたペンダントってそんなに大事だったのか?」

 「・・・」悪いこと言っちゃったかな。しばらく沈黙が続いた。

 「ハルトさんには話しておきますね。このペンダントは村のみんなの形見です。私はここからだいぶ離れた小さな村に住んでいました。本当に小さな村ですが私にとっては楽園そのものでした。ですが私たちの村は魔物に全て奪われました。みんなはなんとか倒そうと必死に応戦しました。けれど戦ったみんなは死んでしまいました。村も焼き野原にされ残ったのは私を含め十人ほどでした。」俺はただその話を聞くことしか出来なかった。チカを慰める力もなかった。

 「私は全てを奪った魔物を恨みました。ですが結局は自分に力がなかったからです。私はその日から修行をしてここに来ました。あのときの仇を取るために。」チカの決意は堅かった。俺も強くならなきゃなと強く思った。

 「そんなことがあったんだな。悪いな。ペンダントをバカにするような言い方して。」

 「いえ、気にしないでください。今日はありがとうございました。」

 「こちらこそありがとう。その願いを叶えるために明日は何があっても俺が守るから。だからチカは無理をしないで。」そう言うとチカの目から涙がこぼれていた。

 「ありがとう・・・ございます・・・ハルトさんに会えて良かったです。」チカは涙を拭き、

 「明日も頑張りましょう!!」今まで最高の笑顔を見せた。

 「ああ!!」俺は必ずチカを守ると心に誓った。

 

 

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