アストロティア編 「7」
「ねえ。ハルト、テラ起きて。ねえ。」不機嫌そうな顔をしたノアが俺とテラを起こそうとしている。
「もう朝か。最近あまり寝付けないな。」俺は眠そうに答えた。
「ハルトが僕と夜遅くまで稽古をしているからでしょ。おかげで僕も寝不足だよ。」そう答えながらベットから降りた。
「おいテラそれを言うなって。」
「まったく今何時だと思っているのかしら。」ここの町でしかまだ存在しない時計をノアが差し出した。
「10時!!もうこんな時間。」俺が慌ている訳は今日は討伐ギルド入団の日なのだ。まあ参加するだけだが。
「本当よ!!おかげで私も遅刻するじゃない。せっかくあの有名な討伐ギルドシュガインに参加できることになったのに。」
「分かったって。急いで支度するから。」そろそろノアの堪忍袋が切れそうなので俺とテラは大急ぎで支度をした。
あの魔物討伐から約二週間。俺達は世界の中心と呼ばれる大きな町セントリアにいる。ここはこの世界一番発展している町で先程言ったとおり現実世界にもある時計が存在している。他にも色々あるが今は説明している暇がないので省略させてもらう。ヒナのおかげでこの世界で有数の討伐ギルドシュガインに参加できることになった。俺にとってもみんなにとっても嬉しいことだろう。
俺達は宿屋を出て急いでシュガインのギルドに向かった。
「良かった・・・なんとか間に合ったみたいね。」ノアは息をきらしながら言った。
「ホント。本当にギリギリだよ。ハルトたち。」呆れた顔でヒナが見ていた。
「ああごめん。寝坊した。」たく、初日からこれはついていないな。周りには人だかりができていた。待っていると扉が開いた。
「冒険家や討伐隊の皆様入られよ!」俺達は列に並びギルドの中に入っていった。中は随分豪華なところだった。まるで宮殿だな。世界の中心と言われているところでは当たり前か。
「ようこそ!我がギルドへ!」一人の男性が明るく迎えてくれた。
「お久しぶりだな、ヒナ。」若き男性はヒナを見ている。
「やはりこういうすがたの方が似合うなヒナは。」
「うるさい!相変わらずレオは私をバカにして!」少しヒナは頬膨らませた。
「そういうところも可愛いぞ。ヒナよ。」バチンという音がした。どうやらレオに平手打ちをお見舞いしたようだ。
「悪かった。少し反省する。」咳払いをしてレオは気を引き締めた。
「とりあえずみんなよく来てくれた。俺はレオだ。よろしくな。」
「本当にありがとうございます。わざわざ私たちをこのギルドに参加させて頂いて。私はノアと申します。こちらはハルトとテラです。」俺とテラはお辞儀をした。
「まあ今回はレオのおかげね。感謝するわ。」ようやく照れが直ったヒナがレオに言った。
「二人は知り合いなんですか。」俺は聞いた。
「まあな。知り合いというより親族だからな。ヒナのいとこなんだ。」この世界にもいとこという言葉が存在しているのは意外だった。
「俺はヒナの二つ年上だ。今回は可愛い・・いやヒナにお願いされたもんだからなんとか取り付けたのさ。」
「本当にありがとうございます。」テラがペコペコした。
「いやいや別にいいさ。なんせこんな可愛い人達が来るからな。」そう言った瞬間ヒナは銃を向けた。
「本当にすまん。お願いだから銃を下ろしてくれ。」このままじゃ終わらないな。
「あのレオさん。どうして俺達は参加を許してもらえたのですか。」普通なら門前払いだろうが。
「最近魔物が異常に出現している。今まで以上に。人手が足りないからだろう。」レオの顔が真剣になった。
「こんな戦いを終わらせて、世界を平和にするために。ここまで犠牲になった人達のために。」その意志は本物だった。
「また最近では少し厄介なことが起きてな。みんなは殺人ギルドの存在を知っているか。」殺人ギルド。そんなものが。
「無差別に人を消し去る集団のことでしょ。」ヒナが答えた。
「ああ。そのものたちがこの周辺に存在しているらしいんだ。それをヒナたちにやってもらいたい。もちろんそいつらに会って倒すわけではない。そいつらをしばらくこのまちにいれないでほしい。」これが俺達が参加出来る理由らしい。
「どうしてですか。」ノアは聞いた。
「すまないな。明日リーダー含め大勢が討伐に向かう。なんとか帰って来るまで守らなければいけないんだ。」レオは深く頭を下げた。
「他の連中もそういうわけだ。本当にすまない。」
「いいわ。ごめんね。みんなこんなことに巻き込んじゃって。」ヒナが謝った。
「別にいいよ。なあみんな。」ノアとテラはうなずいた。
「ありがとう。では詳しいことは明日説明する。」俺達はギルドをあとにした。
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