アストロティア編 「5」
討伐当日。俺達は会議をした広場に向かった。そこにはジェフ、ヒナ、ヒナの護衛を含め述べ50人くらい集まっていた。自由参加なのにこんなに集まるなんて。さすがジェフ隊長だなと俺は思った。
「全員集まったみたいだな。それでは班を発表する。」5人1班でA班からH班まで発表された。
「J班ハルト、ノア、テラ、ヒナ、シンカとする。以上10班だ。異論があるものはいないか。」もう既に言いたげな人が一人いるけどな。
「隊長どうして私がこの人達と一緒何ですか。」やっぱりな。少し怒りぎみのヒナは文句を言った。
「ちょうどいい見張り役がいたものだからな。それに君はハルト達を知っている。」まだヒナは納得していないみたいだ。
「ですが・・・。」そう言おうとしたがヒナの護衛のシンカに止められた。
「隊長申し訳ありません。無礼をお許しください。この者達は私達にお任せください。」ヒナはまた何か言いたげだったが何も言わなかった。
「構わない。頼んだぞ。」シンカは敬礼をした。
「他にはいないか。それでは出発する。」隊長に続いて全員が歩き出した。
「申し訳ありません。ヒナ様がご迷惑をおかけしました。気にしないでください。」まるで母親だな。シンカは俺達に謝って来た。
「いいえ。全然気にしてませんよ。」俺はそう答えた。
「私はシンカです。短い間ですがよろしくお願いしますね。」俺達はシンカと握手をした。
「ちょっとシンカ!この人達と仲良くなってんの。」今のはヒナか。ずいぶん可愛らしい声だな。ヒナも気付いたらしく顔を真っ赤に染めていた。
「ヒナ様は照れ屋ですね。」ヒナも本当は普通の女の子なんだなと思った。しばらく俺達は楽しい話が続いた。
ちょうどお昼ぐらいだろうか。ようやく洞窟に着いた。
「この中に魔物がいる。魔物を倒せばこの周辺の魔物は出なくなるだろう。みんな生きて帰ってくるぞ!」
「おお!!」大きな掛け声がかかった。俺達は洞窟内に突入した。
「いたぞレットドックだ。」10体がそこにいた。
「1班1体だ。かかれ!!」俺達は1体のレットドックに突撃した。ノアとシンカはサポートで俺とテラ、ヒナは攻撃に回った。
「うおおお!!」俺は心の底から声をあげた。テラは「やあああ!!」少し弱々しい声だが問題ない。俺の振った剣は直撃した。テラの槍も当たった。レットドックは雄叫びをあげたが俺達には効かなかった。
「最後は私に任せろ。くらえ。第一条ホーリーショット!!」その光のような弾は魔物を撃ち抜いた。さすがヒナ。レットドックは消えていった。どうやら他も終わったようだ。
「よし。では奥に進むぞ。」俺達は洞窟の最深部に進んだ。そこには小さな魔物3体大きな魔物1体がいた。おそらくブラッドウルフとレットウルフだろう。
「A、B、C、D、E班はレットドックを。残りはブラッドウルフを。」俺達はブラッドウルフだ。
「いくぞ!!」俺達はブラッドウルフに襲いかかった。
「情報通りみたいだな。今だ!!」これで終わりだ。剣、槍、銃弾など全ての力で攻撃をした。
「とどめだ!!」俺達は全方向からダメージを与えた。最後に唸りをあげて消えていった。勝った。いや待てよ。何かを忘れている。本当に今のはブラッドウルフだったのか。まさか。俺の頭に不安がよぎった。
「これで全てですね。帰りましょう。」ある参加者がそう言った瞬間だった。
「危ない!上にいる避けろ!!」だがその声は届かなかった。一瞬だった。俺達は何が起きたのか分からなかった。
「うああああ!!」悲鳴が聞こえたときは遅かった。大きい爪が彼に刺さっていた。
「いやああああ!!」女性の悲鳴だ。突き刺さった彼は粉のように消えていった。そんな嘘だ。こんな簡単に人が。目の前で。標的が変わった。まずい、標的はヒナだ。
「くそ。間に合わない。」剣は届かなかった。
「ヒナ様!!」シンカがヒナをかばった。そんなまた。今度はシンカが。俺は気づかなかった。後ろにブラッドウルフがいた。終わりなのか。そんなときだった。一人の影が見えた。隊長だ。嫌だ。そんな願いは叶わなかった。彼は自分を犠牲に魔物を奥までとばした。
「ジェフ隊長!! どうして俺なんかを」こんな嫌だ。
「シンカ!どうして私を。いなくならないで。」ヒナはシンカに言っている。
「私は気づいていたよ。君は異世界の人だろう。」どうしてそれを。
「ヒナ様は十分強いですよ。大丈夫です。」ヒナの目には涙が。
「私も異世界の人だからだ。君はこれからずっと強くなる。お願いだ。魔物を倒してくれよ。そして・・・」
「ヒナ様お願いです。後は頼みましたよ。魔物を倒してください。そして・・・」
『この世界を救って』そう言って彼らは消えていった。ふざけるな。こんなところで死んでたまるか!!
「みんないくぞ!!」俺達全員で攻めた。
「みんな! 相手は1体だ。全員で攻めれば勝てる。いくぞ!!」ヒナは今まで以上の声をあげた。
「おおおおおお!!」絶対生きて帰る。絶対に。
「うおおおおお!!」俺は今まで以上の雄叫びをあげた。
「エナジーランサーコア第一条シャイニング!!」テラの一撃が当たる。他のみんなも力の限り攻撃した。
「いまよ! ハルトとどめよ。」俺は力を振りしぼった。
「第二条インフェルノ!」ノアの力が宿った。
「うおおおおお!!! 第三条ライトブレイク!!」俺の剣は魔物を貫いた。魔物は消えていった。
「勝ったぞおおおおお!!」大きな歓声があがった。これで本当に勝った。今度こそ・・・。
俺達は洞窟の外に出た。いままで一番きれいな夕焼けだった。だが俺は死んでいってしまった人達にどう詫びればいいのか。分からなかった。今回の討伐で5人が死んだ。俺はこんな世界が嫌いになった。どうして俺達をこんな目に。しばらくはこの憎しみと悲しみは消えなかった。
いよいよ新たに物語が動き始めます。評価もよろしくお願いします。