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エナジーナイト  作者: 鈴夢 凛
第1章アストロティア
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アストロティア編 「10」

 「ううう・・・。ここは?」まだ頭がぎすぎすする。

 「ここは宿屋よ、ハルト。」ノアなのか?まだ視界がぼやけている。するとバタン!!

 「ハルトさん!!大丈夫ですか!!」この声はチカだ。視界が戻ってきた。

 「ああ・・・なんとかな。」俺は立ち上がったがいつものように力がでなかった。

 「無理しないでハルト。まだあなたの身体は治っていないわ。これ見なさい。」ノアに見覚えがある結晶を渡された。

 「これは!?」エナジーコアが赤く染まっていた。かすかに二刀流の紋章が見える。

 「ハルトは気づいてなかったみたいね。ハルトのポケットのなかに入っていたわ。」そんなところに。俺は全然気づかなかった。

 「いい、ハルト。コアが赤いのは相当危険な状態よ。今は魔物と戦えない状況まできているのよ。ハルト、あなたはいったい何をしたの?」そんな真剣な顔で見られてもなあ。ある種思い付きだからな。

 「そう言われてもな。俺はただ二刀流を使っただけだ。」なぜ出来たのか、俺にもわからない。

 「二刀流・・・ってまさかハルトさんはエクストラの力を持つんですか!?」チカが驚きを隠せないくらい興奮していた。

 「エクストラって何だ?」

 「そっそうですね。エナジーコアには六つの力があるのはご存知ですよね?」俺はうなずいた。

 「その六つ目が未知なる力エクストラです。エクストラには二刀流・二丁拳銃・召喚魔法・飛行・ダブルエナジーなどが存在します。ハルトさんはいうまでもなく二刀流ですね。召喚魔法はラフィネの集団が使っていましたね。後は・・・見たことがありませんので詳しくはわかりません。あることすら未知ですから。」そんな凄い力だったのか。

 「なるほどな。ところでどうしてチカはエクストラについて知っているんだ?」

 「それは・・・・これです!!」本を差し出された。

 「その本で知りました。これで少し特訓もしたりしました。でもハルトさんはまだエクストラの力を上手く使いこなせていないようですね。」

 「そうだな。俺もまだまだだな。」

 「でもすごいです!!!まさかこんな近くにエクストラの力を持っている人がいるなんて感激です!!」いやあ、そう言われると照れるなあ。

 「それほどでも。」そんな楽しそうに会話をしていると、

 「二人とも・・・誰か忘れてない?」すっかり忘れていた。今に怒りそうな顔をしているノアに俺達は睨まれた。

 「もっもっもちろん忘れてないよノア。なあチカ?」チカは青ざめていた。

 「そっそそうですよノアさん。まさか忘れるわけないじゃないですか。」

 「二人とも・・・」まずい。

 『ごめんなさい‼』俺とチカは謝った。

 「本当よ‼たくまた新しい女の子仲間にして・・・」ぶつぶつといい始めた。まさか嫉妬か。そういう気はないんだけどな。第一俺には紗菜がいるし・・・。

 


 しばらくの間ノアはご機嫌斜めだった。俺達はなんとかなだめることに成功した。

 「あのさあノア。俺はここでどのくらい寝ていたんだ?」

 「そうね・・・だいたい三日くらいじゃないかしら。」

 「三日間!!!」俺はそんなに寝ていたのか。

 「特に異常はなかったわ。食べ物も私の魔法で蓄えておいたわ。だから心配ないわ。」そんな魔法もあるのか。俺はまだまだこの世界の事を知らないんだな。

 「良かった。ところで他のみんなは?」

 「テラは今日の夕食を買いにいっているわ。レオとヒナは襲撃されたところの修理や生き残ったラフィネから情報を聞いたりしているわ。」

 「ありがとう。全て理解できたよ。」ノアは少し顔を赤らめて、

 「さっきのお詫びかしら。別に気にしてないわよ。」そう答えた。ちなみにチカはレオとヒナの手伝いの後だったので疲れて今は寝ている。カランカラン。鈴がなるおとがした。

 「テラだよ。入っていい?」どうやら買い物から帰って来たようだ。

 「いいわよ。」

 「ただいま・・・ハルト!!」荷物をおいてテラが乗っかってきた。

 「良かった。本当に・・・良かった。僕嬉しいよ。」テラは泣きそうになっている。そんなに近くにいると・・・。いかんいかん。テラは男の子だということを忘れそうになった。

 「ごめんな。心配かけて。」するとさらに抱きついてきた。このままだと何か発展しそうだ。

 「テラ・・・頼むから降りてくれないか。後ろ見てみな。」いわゆるデジャブだ。ノアが今にも爆発しそうな様子にようやくテラは気がついた。

 「あ。ごめんなさい‼僕こんなことするつもりじゃなかったんだよ。ハルトが目を覚ましたから嬉しくてしょうがなかったんだ。お願いします。許して、ノア。」ふんとまたすねてしまった。

 「別にいいわよ。さあ夕食にしましょう。」全然良くないじゃないか。

 「何か言った?」

 「何も言ってないよ。」まさか二度怒らせてしまった。しばらく沈黙が続いた。



 夕食を終え、みんなが寝静まった後も俺はまだ眠れなかった。寝過ぎたもあるが一番気にしていたのは襲撃された時の事だ。あのとき俺はチカだけしか守れず西部エリアの防衛をしていた半分が死んでしまった。あのとき上手く指示出来ていればあんなことには。俺はただ後悔するしかなかった。カランカランという鈴の音がした。こんな時間に。

 「いったい誰だ?」俺は聞いた。

 「その声はハルト君かな?初めまして、シュガインの団長ヘルメスだ。すまないが開けてくれないか。」俺は扉を開けた。

 「団長がどうして。俺に何か用ですか?」本当に団長だった。意外と優しそうな人だな。

 「用というよりは話をしたいだけだ。どうだ? 外を散歩しないか?」

 「別に大丈夫です。行きましょう。」少し驚いたがすぐに答えた。

 「ありがとう。では行こうか。」俺と団長は外に出掛けた。


 きれいな星だ。こうして空を見るのは何年ぶりだろうか。

 「きれいだろう。私はたまにこうやって外を散歩しているんだ。」

 「そうですね。心が落ち着きます。」

 「ああすまんな。では本題に行こうか。」ヘルメスは歩みを止めた。

 「先日はすまなかった。まさか私たちのギルドの仲に殺人ギルドの内通者がいるなんて、思ってもなかった。レオも深く反省していたよ。」

 「いえ。俺達が気づけなかったのが悪いです。おかげであんなに犠牲者が。」俺は団長に謝ることしか出来なかった。

 「ハルト。君は彼らを救えなかった事を悔やんでいるのか?」真剣な表情で聞いてきた。彼の優しい目は消えていた。

 「はい。」俺は答えた。

 「確かに彼らを救えなかった一人として責任がある。が彼らは決して無駄ではない。彼らは私たちがいない間この町を守った戦士たちだ。彼らは自分の意志で死んでいったのだ。この世界を平和にするために。だからハルト。君は生き残った戦士として彼らの思いを受け継いで戦っていくのだ。悔やんでいる暇などないのだよ。自分を責めるな。彼らは君の中にしっかりいる!!前を向くんだ。」俺はただ自分を責めて逃げているだけだった。

 「俺は・・・」

 「真の戦士は悔やむのではなく受け継ぐんだ。それが真の強さだ。それに気付き新たにエクストラの力をマスターしたらシュガインの正式メンバーに入れてやる。これをやる。」地図と通行書を渡された。

 「その地図を使ってここから東に向かえ。そこで一段と強くなってこい。期待してるよ。若きエナジーナイトであり異世界人ハルト君。」ヘルメスは意味深な言葉を残し去っていった。

 

 どうでしたか。いよいよ中盤です。感想、評価もよろしくお願いします!

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