人は何度も死ぬんだ。
超短編です。
過度な期待はしないでください。
「ねぇ、知ってる?」
幼馴染は唐突に、だけれども自然に切り出した。
「人は生きているうちに、何度も死ぬんだ」
続けざまにいわれたことは、理解できなかったが、何の脈絡もなく結論を語るのは、こいつの悪いくせみたいなもので、今更驚きはしない。
「誰かと人生を共にして、友達を作って、絶交して、嘘をついて、そんな些細なことで、一秒前、その直前の自身を殺していくんだよ」
どこか遠くを見据えて、こいつは独り言のようにただつぶやいただけだった。
読んでくださって、ありがとうございました。