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the Spree of the Naïve Honest  作者: けら をばな
第三章・笑劇
45/48

ii――正解が分からない

 夏美の、ふうっという深い溜息。その顔から笑みが消えた。

「地球人は意地悪ですね、認識を改めないと」

「……お前だって基本的に地球人だろ」

「はいはい、そうですよ」

「……いじけるなよ」

「ふーんだ。私だって、ちょっとかっこいいとこ見せてあげちゃおうかなーと思ってたのに。いいですよーだ。……なんて戯言はこれくらいにしておきます。あなたのお言葉通り、そこそこ急を要する事態でございますから。さて、あの〈天使〉が〈騒音(ノイズ)〉の最高権力者である事はご説明した通りです。端的に言いましょう。その最高権力者を、我々〈模倣(イミテーション)〉が保護したいのです。否、保護せよとの、〈騒音(ノイズ)〉側からの要請です」

 夏美の説明を受けて、スズシロは眉をひそませる。

騒音(ノイズ)〉側からの要請? 〈模倣(イミテーション)〉に? どういう事だ? それによって〈騒音(ノイズ)〉になんの得がある?

 スズシロの表情の変化を見てとって、夏美は頷く。

「おかしい、と思われるでしょう。しかし事実なのです。それには、〈天使〉の出生の秘密をお伝えしなければなりませんね」

 と、言葉を続けようとして、止めた。躊躇いが見える。が、それを吹っ切るように深呼吸。

「〈天使〉は、〈騒音(ノイズ)〉と地球人の間に生まれました。それも、〈妖精(スプライト)〉と、地球人の間に生まれた子です」

「……ほう、そういうことか。そいつは大変なことだろうな、〈騒音(ノイズ)〉としては」

 産まれた途端に全てが決まる、絶対階級社会〈騒音(ノイズ)〉。

 その最高権力者である(と言う)〈天使〉が、最底辺である〈妖精(スプライト)〉と、あろうことか自分達よりも下等な宇宙人の間に生まれたとなれば、それは事件であろう。

 少しずつであるが事の輪郭が見えて来た。

「はい。〈天使〉が、いつ・どういう風に産まれるか、〈騒音(ノイズ)〉自身もまったく分かっておりません。が、それでも今まで階級の高い間で産まれていた……ようです。〈天使〉が、奴隷である〈妖精(スプライト)〉と他の星の生物との間に生まれたというこの事実は、〈騒音(ノイズ)〉にとって、正に、あってはならない事なのです。あの子は、存在してはならないのです。今まで〈騒音(ノイズ)〉は〈天使〉がこの世に存在している事をひた隠しにしておりました。〈騒音(ノイズ)〉の中でも知っているのは一部上層部のみでしたが、……今回の事で、そうもいかなくなったでしょう。〈騒音(ノイズ)〉だけではなく、〈(サイ)(レンス)〉にまで知れ渡ってしまいました」

「……それって、困るんじゃないか? お前たちだって」

「そうでもありません」

「……どういう事だ? 本当にお前たちは、何を考えている?」

「実際、隠れていたって無駄なんですよ。地球にいたって、地球外に出て〈模倣(イミテーション)〉統括圏内には行けません。設備がないんです。〈天使〉を〈虚数化〉して飛び出させることは出来ません。それに〈虚数化〉しての移動は、論理理解係数の低い……要するに頭の悪い生物じゃないといけませんから。〈妖精(スプライト)〉や〈愚衆(ヴァルガー・クラウド)〉みたいに。それこそ地球人くらいにね」

「随分な言い草だな」

「事実です。〈騒音(ノイズ)〉達が見ている世界と、あなた方地球人が見ている世界には、途方も無い隔たりがあります。想像の出来ないくらいの。事実、あなた方地球人は、紫外線を見ることが出来る蝶の見る世界さえ、想像できないのですから。……話が逸れました。とにかく、〈天使〉には無理です。そうなると、勿論超光速小型飛行船になるわけですが、……〈騒音(ノイズ)〉と〈静穏(サイレンス)〉の監視をかいくぐっての潜入は、ちょっと無理です。

 だから、我々は軍艦担いで正式に堂々と地球の門を叩こうというのです。その間の攻撃は、宇宙協定違反ですからね」

「……え? え? おい、ちょっと待て、どういう事だ」

 スズシロは目を丸くした。言っている意味がいまいちよく分からない。だが、何かが起こりそうな気配はした。夏美はちらりと腕の時計を見る。

「……もうちょっとすれば、分かります」

 その言葉の後、ひとときの間が出来た。

 と突然、夜空に大きく映像(ヴィジョン)が現れ、紳士風の年老いた碧眼の白人男性を映し出した。あっと驚く暇も無く、その男が口を開く。声が大空にこだまするが、その口の動きとずれがある所を見ると、同時通訳なのだろう。


「本日は晴天なり、本日は晴天なり……と、ああ、いいようだ。どうも皆さん、驚かせてしまったかな。私はアーロン・クラークという、しがない一アメリカ人だ。先ずはこの様な不躾で無粋な行為の非礼をお詫び申し上げよう。皆さまの平穏を脅かす行為は避けなければならなかっただろうが、なにせこうするしかなかったものでね。

 さて、早速本題に入ろう。この度、アメリカを中心とするある民間組織が、〈模倣(イミテーション)〉との接触に成功した事を地球人類の皆々様にご報告申し上げよう。……と言って、皆さまは私の言葉を信じるだろうか。信じられないだろう。

 だが、この状況を見て欲しい。

 今私は、全世界のありとあらゆる場所の空に現れて、ありとあらゆる映像機器をジャックし、私の口から放たれたオーストラリア訛りの英語をありとあらゆる言語に翻訳し、皆さまの前に恥も外聞も無く姿を晒し声を届けている。……この技術が、今の地球人類に可能だろうか?

 不可能だ。我々ではせこせこと衛星を飛ばして電磁波を飛ばし、賃金の格差を利用してわざわざ海外の工場でちまちまと組み立てた液晶ディスプレイを輸入して、それに映された映像を見ることぐらいしか出来ない。

 その程度のものだ。地球人類なんてな。

 ……さて、話が逸れた。これで多くの人が、私の言う事を信じないにしても、せめて聞く気にはなっただろう。というよりは半強制的に聞かせているわけだがね、今一度お詫びしよう。

 ふう、皆さん、改めてお伝えする。私の所属する民間組織〈ホムンクルスのフラスコ〉が、この度〈模倣(イミテーション)〉に接触、交渉し、和平に関する取り決めを独自に取り付けた。

 ……恐らく、皆さまの中にはこうお思いの方もいらっしゃるだろう。『何故いち民間組織が地球を代表する交渉が出来たのか』。また或る人はこう思うだろう。『いち民間組織との間に取り決められた事柄が、果たして有効であるのか』。

 前者の質問には、『我々にはとっておきの或る切り札がある』、としか今は説明できない。後者の質問に関しても、今はまだ、ただただ信じてもらうしか出来ない。

 そこで、だ。我々は或る提案をした。それは、地球上にて〈模倣(イミテーション)〉と地球人類との、和平交渉締結の式典を、そして、同盟交渉の締結をしようと。……諸君。これの意味がお分かりになるだろうか? この同盟交渉、成功すれば、〈模倣(イミテーション)〉の強大な力を我々は手に入れることが出来る。つまり、だ。……


 ――戦争は終わる。


 場所は、豊橋市(Toyohashi-shi City)、愛知県(Aichi-ken)、日本(Japan)だ。そこに、地球人類と共に暮らす〈模倣(イミテーション)〉がいる。はははは、びっくりしたかい? そんなものが存在するなどと、夢にも思わなかったろう。しかしこれは事実だ。日本だけじゃない、アメリカにもヨーロッパにも、アフリカにも、インドネシアにもいる。そしてその式典・交渉だが、明後日を予定している。これもびっくりしただろう。ニッポンノ、ミナサァン、ドウカ、ヨロシクオネガイシマァス(ここだけ地声)」


「ちょ、ちょっとちょっとちょっと!! 見ました見ました今の!? 唐揚げがおいしいなあとか言ってたら急に居間のテレビがついてあんなこと言いだしてッ!! ナオトのお母様なんてびっくりして震えてて、今ナオトが見てて、えっと、戦争が終わる? 明後日交渉? なんのこっちゃですか!? あと、ニッポンノ、ミナサァン、ドウカ、ヨロシクオネガイシマァスって、なんかちょっとイラッとしました! 私アメリカ人だけどッ!!」

 ミアが部屋を飛び出して、必死の形相でスズシロらの許へドタドタと走って来た。

「ああ分かった。分かったからお願いだから落ち着いてくれ。ただいま〈模倣(イミテーション)〉さんと絶賛お話し中だ」

「あ、そうだった! 夏美さんあなた〈模倣(イミテーション)〉でした!」

「お前な。そんな天然キャラだったか?」

 いくヱはそんな二人の漫才を無視して夏美に三歩寄った。

 夏美はそれに対し当然警戒し、むっと眉間に皺を寄せる。いくヱの表情は鉄仮面の様に崩れない。その余裕に、どうも負けた気がして夏美は口を尖らせる。

 いくヱはいくヱで、夏美の子供っぽさに少々拍子抜けしたが、矢張りそれは顔に出さずに、いたって普段通り冷静に話す。

「夏美さんとおっしゃいましたね。今、クラーク氏とお話しする許可を頂けますか?」

「何故です?」

「こちら側になんの許可も無くおっぱじめようというのです、その程度の義理はあっていいでしょう。それに、今、豊橋の地球軍代表者は、実質私ですからね」

 夏美は黙ってじっといくヱを見つめた後、腕時計にごにょごにょと話しかけた。

「……どうぞ、これをつけて下さい」

 夏美はポケットから腕輪の様なものを取り出し、いくヱの腕に付けた。見た目、何の変哲もないただのわっかである。しかしそれをつけた途端に、上空の映像の紳士・アーロンの隣に、突如いくヱが現れた。

 これには驚いたスズシロとミアだが、いくヱは予期していた如く動ぜず、堂々と上空のアーロンを見上げている。上空の映像は、丁度いくヱの視線の先から撮っているように映っている。

 いくヱは厳しい表情だが、上空のアーロンは旧友に会った様に嬉しそうに微笑んでいる。

「やあ、ミズ・アンドウ、久しぶりだね。こんな状況だが会えて嬉しいよ。しかし美しいままだ。いや、眩しさが一層増したかな。月日は君の輝きをどんどん磨いてゆく。私などいろいろな所が悪くなって、歳を取ってもいい事など一つも無いし、周りの若者を恨めしく思うが、君を見ていると若さなどむしろ有害だとさえ思うよ」

「お久しぶりね、ミスター・クラーク。大丈夫、歳月の経過なんて、そんな瑣末な事柄を気にしないで。あなたは何一つ変わっていないわ。いつもは鼠の様に陰でこそこそと動く癖に、いざとなったらスポットライトを浴びて目立ちたがり、自分が中心にいないと気に入らない。そんな子供っぽい性格は昔のままよ」

 いくヱは流暢な英語で喋っているが、上空の映像からは日本語に翻訳された言葉が発せられている。因みに、どういう技術か分からないがいくヱの声以外の音は拾っていないらしく、エコーがかかったりハウリングが起きたりはしていない。

「イクエ、君は相変わらず厳しい人だ。(やいば)にも磨きがかかっている。しかしいつまでも磨き続けていると、やがて()(こぼ)れ、なまくらになった時、気付かずに所構わず振りまわす、厄介な人間になるぞ。……特に日本にはそんな輩が多くいる印象があるが?」

「大きなお世話。六十五を過ぎたらすっぱりこの世界からは手を洗います。八十幾つの政治家なんて害でしかない事は分かっているわ。それよりもアーロン、おぼっちゃま育ちのまま楽しく生きている所悪いけど、あなたはいい加減、もっと世の中に揉まれて角を落とした方が良いわ。そのまま頭と体が時代に追い付かなくなったら、それこそ世に害だわ」

 アーロンは、いくヱの説教に苦笑しつつもどこか嬉しそうだった。そんな二人を見てスズシロはこれが全世界に流れている事を思い出して、どんな人生歩んだらこんなに(つら)の皮が厚くなるんだ。と不思議に思った。さっき自分がちょっとしたことで怖くなったことが馬鹿らしくなった。

 二人の会話は続く。

「さて、本題に入りましょうかアーロン。あなたが勝手に話を進めてくれていたようで気に入らないけど、本当に……戦争が終わるというなら、別にいいわ。で、私達は何をすればいい? 黙って事が進むのを見ていればいいのかしら? それならばその方が楽だけど」

「ははは、そうも言ってられないさ。君達にはちゃんと仕事を用意してある」

「勝手なものね」

「まあね。君達には、〈突偽〉を配備し、緊急の攻撃に備えて欲しいんだ。〈突偽〉は地球上で最大・最強の抑止力になる。とはいえ、他星軍による攻撃は無いと思っていい。君たちは知らないだろうが〈宇宙協定〉というものがあって、公式な交渉ごとの最中は攻撃してはいけない事になっているんだ。だから〈模倣(イミテーション)〉はお忍びなんかじゃ無くて軍艦に乗って堂々と地球にやって来る。……まあ、それだから安心ではあるが、何が起こるか分からないからね」

「……成程ね。その程度の事ならば問題ありません。全力で事に対応しましょう。と、言いたいのは山々ですが、残念ながらそれを決定する権利が、日本にはありません。あなた方が、アメリカ政府にどれだけ誠実に――」

「イクエ、それは見当違いだ」

 アーロンはいくヱの言葉を遮った。

「〈模倣(イミテーション)〉は、そんな事にまで関しない。ただ、〈地球側〉が〈模倣(イミテーション)側〉にどれだけ誠実であるか、それだけだ。そう言うやつらなんだ。明後日の君たちの態度は、〈地球側〉の態度だと捉えるのみだ。〈模倣(イミテーション)〉は、真摯な態度には真摯な態度で。君達がその逆の態度を取るならば、……そう、それだけだ」

「……随分と〈模倣(イミテーション)〉に入れ込んでいるのですね」

「勿論、これは地球側の利益を一番に考えてのことだ。私は世界市民主義者(cosmopolitan)であり愛国者(patriot)だ。地球の利益、それが延いては私の愛するアメリカ合衆国の国益にかなう事だからね」

 アーロンの口元には微笑が浮かんでいた。いくヱの方が分が悪い、ように見える。いくヱが目を伏せる。同時に上空の映像も下からのアングルに変わる。そしてしばし何かを考えた後、上空のアーロンを見上げることなく話を切り出し、

「あなたは、切り札があると言いましたね。それは、〈天使〉の事ですね? そして、……〈天使〉は我々の手の内にある。だから、ここ豊橋を会談の場所に選んだのですね?」

 あまりに事も無げに〈天使〉の事を口に出した。これは、あまりに意外。

「お、おいちょっと待てッ!! 言っていいのかよそれッ!!」

 咄嗟の内にスズシロが立ち上がった。見上げると、空のアーロンは苦々しい顔をしていた。

「……イクエ、私は君の事をもっと頭のいい人間だと思っていたよ。残念だ」

 アーロンの怒気を込めた声が夜空に響いた。

 俯いていたいくヱは、それを聞いて、……笑った。

 それは得体の知れない笑みだった。俯いていた所為で、また光もあまりなく影になってよく見えなかったが、むしろそれが不気味さを引き立たせ、異様に光る瞳や口元に深く刻まれた影が、この百戦錬磨のいくヱの底深さを思わせた。

 しかしその笑みは一瞬にして消え、また元の通りの真面目な顔に戻った。恐らく、よくいくヱを知った者か、余程注意して見ている者でなければ気付きもしなかっただろう。

 アーロンは、その笑みを確かに見た。見て戦慄し、息が詰まったほどだ。

「『頭のいい人間』ですか。アーロン、それまた買いかぶり過ぎですよ。あなたはもしかして、私が国や地球の為に自己犠牲の出来る素敵な政治家か何かだと勘違いしていませんか? 逆です。私は仕事と家庭の両立さえもままならない。どちらかを疎かにしてしまう、夫や子供に迷惑ばかりかけている、何ともお粗末な人間です。

 そして、私は元々身勝手で自分本位な人間なのです。

 地球なんかよりも日本が大事です。日本なんかよりも、己の部下や上司や周りの人が大事です。そして、それよりも、家庭が大事です。いざとなったら全人類を捨ててでも家庭を最優先します。……政治家などには向いていませんね。まあ、儒教的な思想ではありますが、『家々の平穏が国の平穏』に繋がると。そういう風にしか生きられないだけです。

 話が逸れましたね。

 私が何を言いたいか。私が、全世界の皆様に何を申し上げたいか。それは、あなた方〈ホムンクルスのフラスコ〉なんぞに切り札など存在しない。

 それだけです。

 あなた、先程言いましたね。

『その程度のものだ、今の地球人類なんて』

 ですって?

 ――アーロン。あなた何様のつもりかしら?

 ぽっと出のおぼっちゃま集団ごときが、玩具を貰ってはしゃいでいるんですもの、滑稽ね。

 いい気になって上から物を言うのは()めなさい。張りぼての足場の上で踊るのは()しなさい。忠告よ、瓦解する前に降りなさい。ただの怪我じゃ済まないわよ。私達と同じ高さの地に降り立ち、足掻きなさい。

 それが出来ないのなら、即刻ご退場願うわ」

 アーロンは唖然とし、何も言い返せずにいた。が、やがてそんな自分に気付き、表情がみるみる険しくなり、顔もどんどん赤くなっていった。

『こけにされた』――アーロンのプライドの高さは、その如何にも高級そうな生地の服・シックで高級そうなネクタイからも見て取れた。

 その彼が、全世界の衆目を集め、その前で、叩きのめされた。そしてその相手が女であるという事も、騎士道精神を柱としている彼には屈辱の極みだった。

「いいだろう」

 先程までの声とは明らかに違う、低く唸るような、感情を隠さない声だ。

「その通りだ。我々は地球側の、いち人類として、君達地球政府と、共に挑もう。明日、会おう。君の許にいる〈(イミテー)(ション)〉から詳しくは聞いてくれ。以上だ」

 大空に映る映像は、ぷつりと消えた。


 アーロンは椅子に座ったまま動かずにいた。そこへ紺色のスーツに身を包んだ男が茜色の絨毯を踏みしめて近寄って、傍らの机にコーヒーを置いた。背が高く恰幅がよく『巨漢』と称するに相応(ふさわ)しく、如何にもおぼっちゃま然としていて、アジア系の顔立ちで、短髪で眉が太く、老け顔だが、アーロンを前にして笑う顔は少年の様だ。

「ね? 言ったでしょう。うちの母親をなめちゃいけないって」

 はきはきとしたイギリス英語である。アーロンは俯いたままぎろりと視線だけを向ける。

「なめてなどいないさ。だがもう少し協力的になるかと思ったがな。昔から可愛くないやつだ」

「そっかな、あんなに可愛いのに。家だと結構僕にも甘えてくるぐらいですよ」

「……止めてくれ、凛としたままのイメージでいて欲しい」

「成程、母親があなたを選ばなかったのは正解だったらしい」

「……タツオ。母親とそっくりで随分生意気だ」

 彼の名は安藤辰雄。安藤いくヱの息子である。辰雄は悠々と頭を下げた。

(おん)(こと)()ぎ、ありがたく頂戴いたします。ま、冗談(それ)はともかく、良いんですか? これで。主導権を取りたければ、やっぱり切り札はこっちに持っておくべきだったんだよ。絶対に渡しちゃいけなかった」

「……いや、未だ主導権はこちらにある。〈(イミテー)(ション)〉の技術を利用できるのは我々だ。そうだろう? シルビア・ファン・ゴッホ」

 古めかしい胡桃の扉の前で佇む、シルビアと呼ばれたその長身の、ジーンズを穿いたラフな格好の大学生の様な白人女性は、アーロンに二歩三歩と歩み寄り、頷いた。

「ええ。我々〈(イミテー)(ション)〉は、あなた方〈ホムンクルスのフラスコ〉に尽力は惜しまない。もっとも、あなた方が我々に誠実でいれば、の話ですけれど。……そして、地球政府の決定と、あなた方の意思は別のものだと認識しています」

 この尋常の白人女性にしか見えないシルビアは、自分の事を〈(イミテー)(ション)〉と自称した。

 アーロンはふふんと不敵な笑みを浮かべた。

「そういう事だ。主導権はこちらにあり、あいつらが〈天使(アレ)〉を利用してどんな決定を下すかの権利はあちらにあり、そしてその決定に我々は無関係である。……つまり、だ。あいつらが戦争を続けようと止めようと、我々は力を持ち続けることが出来る、という事だ」

「主導権を持ちつつ決定権だけを譲渡した、そういうわけですね。成程悪魔の所業だ」

「何とでも言え。お前の母親イクエ・アンドウが、そして私の妻・アンニ・クラークがどういった決定を下すか。……フフ、お望み通りお前達と同じ高さに降り立ち、すぐ近くで見てやろうじゃないか」


 ヤン・ツォーレンは扉の前に立ちノックを二回。中からアンニ・クラークの「どうぞ」の声。ゆっくりと扉を開け、アンニの様子をうかがう。平生のアンニと何ら変わらない所作で、目の前の書類に目を通している。

 てっきり苛々が最高潮に達しているものだと思ったのに。

 ヤンは拍子抜けしつつ部屋に入り、後ろ手にバタンとドアを閉める。

「いつも言っているでしょう。ドアは静かに閉めなさい。子供みたいに何度も言わせないで下さい」

 アンニに睨みつけられたヤンは、慌て(たふりをし)て頭を下げる。なぁんだ、しっかり苛々してんじゃないか。と、にやけそうになる顔を我慢する。

「しかしミズ・クラーク、悠長な事を言っている場合ではありません。先程のアーロン・クラークの演説をご覧になった筈です。急を要する事態でございます」

「……まったくです。あなたが増援要請を簡単に受け付けたから、こんな羽目になってしまいました。あんな街の一つくらい滅ぼしてしまえばよかったのです」

 あちゃー、そんな物騒な事言っちゃってまー。超怒っていらっしゃる。ロジャーよ、利子は高くつくぞ。

「各方面から圧力が掛って、あれ以上の被害を出すわけにはいかなかったので」

「まあ、それは冗談として」

 あ、冗談だったんですか。

「すぐにここを発ちます。行きましょう。……行って、彼らを止めねばなりません。戦争を止めるなどと言う、自分勝手で馬鹿げた提案をね」


「……三人はどういう集まりだったっけ?」

「おい、やめろ」

「何の話だ、何の」

 昼ごろ。高級中華料理店の一室で、ロジャー、辰雄、ヤンがスーツ姿で円卓を囲んでいて、その順番で口を開いた。ロジャーは負傷した足をギプスで固めて、傍らには松葉杖を置き、辰雄はばくばくと遠慮というものを一切知らないかのように頬張り、ヤンはつまらなさそうな面持ちで片肘をついて箸を動かして、適当につまんでいる。

 さて、この状況はどういうことか。ロジャーは考えた。この知り合いであるヤンに急に呼び出され強引にこの中華料理の席につかされている。なんせ昨日の今日なのだから、病院の許可を取るのも一苦労だった。

「というかヤン、なんでお前が日本(ココ)にいるんだ?」

「あん? 言わなかったか? 俺は今アンニ・クラークの秘書だ。やつがココに来たんだから、有能な俺がついて来ないわけにないかないだろう」

「秘書!? あの同盟総長さんのォ!? うぇ! マジか! 出世したんだなーお前。……っていうか、やつとか言っていいのか?」

「別に、誰にも聞かれていやしねえ。構いやしねえよ。……今から誰にも聞かれたくねえ話をするんだからな」

「……誰にも?」

 ちらりと隣の巨漢を見る。じゃあ、こいつは? それはそうとこいつは誰なんだ。その視線を待ってましたと言わんばかりに巨漢は笑う。

「どうもどうも。安藤辰雄って言います。好きな矢島晶子はリューナイトのパフィーです」

「ああ、俺はロジャー・リーだ。矢島晶子はR・ドロシーかな。でも神霊(しんれい)(がり)(みやこ)もなかなかよかった。あんまりしゃべんなかったのが残念だったけど」

「おお!? 話の分かる奴だ!! 何となくぴんと来たんだよ!!」

「そっかー。……って、いやいやそうじゃなくって、そうじゃなくって、あんたは一体何だってんだ? ヤンとはどういう関係だ?」

 ロジャーの喋っている間に巨漢は二つの唐揚げを頬張り、むしゃむしゃと遠慮なしに咀嚼し、また遠慮なしに口を開けて喋る。

「ヤンとは大学・大学院と一緒で、よく激論を交わしていた間柄で――」

「交わしていないぞ。お前が一方的にわけの分からんことを喋っていただけだろ。そのせいで余計な知識が増えた」

 ヤンが中途で突っ込む。辰雄はにこやかに笑ったままそれを無視する。

「というか、今では君とも無関係でもないんだけどね。ほら、アンドウって聞いて、思い当たる人いない?」

「……あ」

 思い当たった人が一人だけいる。が、いや、そんな、まさか。……

「いや、その、もしかして、……安藤……いくヱ?」

「うん、正解。僕はその息子。まあ、養子だから似てないのが普通だけど。で、今回それはあんまり重要じゃないんだ。僕は〈ホムンクルスのフラスコ〉の要員(メンバー)だ。そっちの方が大事」

〈ホムンクルスのフラスコ〉――その単語が出た途端、ロジャーは懐から銃を取り出して一瞬のうちに安全装置を外し銃口を向けた。

「ギャーッ! バーチャル世代反対ッ!!」

 銃口を向けられた辰雄は驚いて椅子から転げ落ち、勢いそのままヤンの背に周った。

 ロジャーは銃を構えてから考えた。――

 昨日テロまがいな行為で、自分達の犯行声明とも取れる様な演説を全世界に流したかと思うと、突然上司の安藤いくヱに公然と説教された、あの〈ホムンクルスのフラスコ〉の要員(メンバー)が目の前にいて、友人の同級生であり、事も有ろうに安藤いくヱの息子を自称している。……わけが分からない。

「落ち着けロジャー。お前が引き金を引いたら、ただいまアーロン、アンニと議論真っ最中のイクエの足を引っ張る事になるぞ。銃をしまえ」

 ヤンは落ち着き払ったままエビチリにフォークを刺す。ロジャーはその態度に激情する。

「おい、ヤン! てめえはこいつを信用するってのか!!」

 ヤンはしかし、

「クラーク夫妻やあのイクエとかいうのよりは信頼できるさ」

 と言って、座ったままちらりと後ろの辰雄を見上げる。うんうんと勢いよく頷く辰雄。その情けない姿に力が抜けそうになるが、しかし体は銃を構えたままだ。ヤンの眉間に皺が寄る。

「いいから、先ず銃をしまえ。おちおち飯も食えん」

「そーだそーだ!」

「別にこいつらはテロ組織ってわけじゃねえんだ」

「言ってやってくだせえヤンの旦那!」

「それに、相手方が態々丸腰で着てくれたんだぜ? こいつにそんなに益のある行動とも思えねえし、感謝くらいしてやんのが筋じゃねえか?」

「まったくだ! ヤンの兄貴は分かってらっしゃる! おっとこまえ!!」

「それにな、俺がお前を呼んだのは何より――」

「いきなり銃を向けるなんざまったく野蛮な奴でっせ!」

「あーっと……――」

「やーいやーい!」

 ヤンは顔に皺を寄せ目を尖らせたかと思うと、懐から銃を取り出して引き金を四度引くと、ひゅんひゅんとレーザー弾が辰雄のすぐ傍を通り、ぽすんぽすんと後ろに着弾。

「うぎゃ―――――!! 死ぬ―――――――!!」


 三人は元の通りに円卓を前に座っている。

「とにかく、時間がない。始めさせて貰う。ロジャーは分からんだろうが、とりあえず全部聞いていてくれ。

 明日の祭典、恐らく〈(サイレ)(ンス)〉は〈愚衆(ヴァルガー・クラウド)〉をこの街に大量派兵してくるだろう。〈(サイレ)(ンス)〉は〈天使〉の存在を知っていて、これを抹殺しようと画策している。攫う様な真似はしない。〈(サイレ)(ンス)〉としては、戦争を終わらせたくないからな。〈天使〉を手中に収めたりしたら、最悪、停戦だ。……開かれた交渉の場の攻撃。これは宇宙協定違反ではないか? そう思うだろうが、いや、地球は未だその協定の範囲外だ。つまり、地球圏は治外法権にある。昨日のアレはアーロンのハッタリだ、そうだろう? タツオ」

「その通り。アレは〈天使〉輸送の為の詭弁。〈(イミテー)(ション)〉が地球圏に入り次第〈(サイレ)(ンス)〉は攻撃するだろう。と言っても、〈(イミテー)(ション)〉が〈愚衆(ヴァルガー・クラウド)〉なんぞの攻撃に耐えられない筈がない。別にこれと言った問題など無い。……と、言いたいところだが、違う。〈(イミテー)(ション)〉は、あくまでも地球を試すつもりだ。地球が本気で〈天使〉を助けたいと思うのか、本気で、戦争を終わらせたいと思うのか、それを見たいんだ。彼らは、それだけ〈誠実さ〉と言うものを重視する」

「……は? おい、お前ら何言ってんだ」

「……しかし、アンニ・クラーク、延いては世界のお偉いさん達は戦争を終わらせたくない。と、そう思っているわけだ」

「だろうね。だからこそ、アーロン・クラークもあんな派手な方法を取った。強引にやらないと駄目だってね。力を見せつけて屈服させる。吐き気がするよ。でも戦争の意味を知らない母さん……安藤いくヱが幾ら説得をしようと、アンニ・クラークが首を縦に振らない限りは――」

「い……いや……おい……ちょっと待てッ!!」

 ロジャーは目を見開いて、バンと机を叩いて勢いよく立ち上がったはいいが、何を叫べばいいか分からず、ただ拳を作った。

 ――戦争を終わらせたくない? 何の冗談だ。俺は、今すぐにでも終わらせてほしい。このどうしようもない日々に、さっさと区切りをつけて欲しい。……俺の青春は、戦争にくいつぶされたんだぞ。戦争に命を奪われた人は、何万なんて単位じゃないんだぞ!! なんだって、誰が、戦争を望むんだ!! 一体どんな理由があるってんだ!!

 それを見越したようにヤンは落ち着き払ったまま、諭す様に話す。

「もし、だ。もし、今宇宙戦争がなかったら、今頃俺達はどうなっていたと思う?……

 これはな、或る超巨大演算機での計算で試算したものだが、もし〈(サイレ)(ンス)〉・〈(ノイ)()〉間の戦争がなければ、……今やっと、誘導多機能性幹(iPS)細胞が医療に活用できるかどうかを研究中、という段階らしい。俺達が当たり前の様に享受している技術が、やっとこさ開発できるかどうか、らしい。エイズも、癌さえも治療できない。骨髄損傷でもすりゃ、そのまま一生寝たきり。そんなレベルの医療技術しか、現代になかった可能性があった、……らしい。

 ……昨日の戦闘でお前の足も折れたらしいな。それも明日には治っている。それは、戦争によって撹拌され、〈(サイレ)(ンス)〉や〈(ノイ)()〉ばかりではなく、いろいろな地球外生命体との交流が持たれ、医療技術が飛躍的に進歩したお陰だ。そればかりじゃ無い。社会システムでも恩恵を受けている。もし戦争がなかったら、今の中東と欧米以上の摩擦がそこにはあって、今頃火の海になっているらしい。民族や宗教の対立・差別なんて、今の比じゃあない、らしい。共通の敵がいるから、視線を外に向けられるからって理由もあるらしいからな。上のモンにとっちゃ、統治もしやすいし。――つまりだ、今俺達がこうやって安心して生きていられるのは、どうやら戦争のお陰らしい」

「そ、そんな……う、嘘だ」

 ロジャーはくらくら目眩がして、ふらふらと椅子にへたり込んだ。辰雄が心配して立ちあがり近寄って支えようと思ったが、ヤンはそれを制した。

「残念ながら、本当の事だ。戦争がなければ、経済は停滞し、今より遥かに深刻な雇用情勢、不景気で、経済格差も今よりもっと深刻で、それを救うシステムも開発できず、金持ちだけが富み、貧乏人は決して抜け出せない、そんな状況にしかならない、らしい。残念ながらな。……だってよ、考えてみろよ。どうして宇宙人さんが俺たちを助けるんだ。それをやって、あいつらに得なんて無いだろ。第一コストが掛り過ぎるからな……戦争によって、バランスが崩れたんだ。そのお陰で、損得、有利不利が出来て、俺たちにも技術提供をせざるを得なくなったんだ。その方が得になったんだ」

 ロジャーは、何も言い返す事が出来ない。ヤンは静かに続ける。

「……なあ、ロジャー。お前は、本当に戦争を止めたいのか? もっと周りを見ろ。自分たちの不幸は、本当に戦争によるものか? 戦争がなければ、お前は本当に幸せだったか?

 よく見れば、皆楽しそうじゃないか。

 男は〈愚衆(ヴァルガー・クラウド)〉を撃退したと新聞で見れば喜びの()(たけ)びを上げ、女は〈妖精(スプライト)〉が襲撃に来たと言えば一丸となって楽しそうに井戸端会議だ。それが、いけないことか? 男は女を守ろうと躍起になり、女はそんな男たちに色めき立つ。それが不幸だと言えるのか?

 なあロジャー。お前は、戦争がなかったら本当に幸せになれたか? 何でもない家庭に生まれ、漂泊の人生を歩み、凡庸な能力しか持ち得なかったお前が、今以上の人生を送れたか?」

「ヤン、てめえッ!!」

 ロジャーは足を引きずりながらもヤンに跳び付いて胸倉を掴んだ。辰雄は手を出せずにただ慌てふためいている。

 ロジャーは顔を真っ赤にして怒っているが、ヤンは表情を変えず、静かに続ける。

「ロジャー、よく考えろ。お前は戦争で幸せになったんじゃないのか? 下層生まれのお前が分不相応な教育を受けられて、英雄なんぞに持ち上げられてちやほやされるのは、戦争のお陰じゃないのか? そうじゃないと言えるのか? ただの道端の石ころで終わる俺やお前がこうやって賑やかな世界にいられるのは、戦争のお陰じゃないのか?」

「ふざけんなッ!!」

 ロジャーは我慢たまらずヤンの頬を平手でパンと殴った。バランスを崩した所を辰雄が慌てて支えようとしたが、ヤン本人に、

「待て」

 と制された。

「殴られるだけの事は言った。当然の結果だ」

 ヤンは背筋を伸ばし、服を整えている。落ち着き払っている。対してロジャーははあはあと苦しそうに肩で息をしている。

「……その通りだ。俺達は、戦争がなけりゃこんな生活は享受できなかった。お前は分かっている。……いや、俺達は気付いているんだ。今の生活は『決して悪くない』って事をな。俺達は所詮戦争に生かされているんだ」

 ヤンは卓上の伝票を持ち、個室の出口へと向かい、戸の前に止まり、振り返った。

「ロジャー。明日、お前らに下される命令は『〈(イミテー)(ション)〉の行動を監視し、街に被害が出るようならば迎撃しろ』だ。〈(イミテー)(ション)〉を守れとは言われないし、〈天使〉の事も伏せたままになるだろう。〈(イミテー)(ション)〉は、その場合、恐らく〈天使〉を見殺しにする」

「なんだと……」

 呆然と立ち尽くすロジャーに対し、辰雄がヤンの言葉の後を継ぐ。

「〈(ノイ)()〉の接近も観測している。が、恐らくやつらは手を出さないだろう。出したくないんだ。今回の〈天使〉はイレギュラーな存在だから、出来ればいなくなって欲しいんだよ。自分たちでは手をかけることが出来ないから、〈愚衆(ヴァルガー・クラウド)〉にってな。……」

 ロジャーは〈天使〉が例の翼の生えた少女だと察してはいたが、その存在の意味を知らない。

 だがとりあえず、あの少女は戦争の行く末を決する程の存在で、しかし地球は見捨てようとしている、という事は理解できた。理解は出来たが。……

 ロジャーは俯いた。理解は出来ても、自分がどうしたらよいかまで頭が回らなかった。

 ヤンは扉に向かいドアノブに手をかけて、

「俺は、戦争が続けばいいのか終わればいいのか、分からないままだ。決断できなかったし、行動も何一つ出来なかった。情けねえ事にな。それでも、お前には言っておいた方が良いと思ったから、知り得る限りを知らせた。明日、作戦を聞かされるわけだからな」

「……なあ、ヤン、それは俺に、明日行動しろって、そう言ってんのか?」

「いや、違う。俺はお前に伝えたかっただけだ。ただ、それだけだ。お前がどんな選択をしようと俺は受け入れるし、元々非難出来る謂れは無い。……じゃあなロジャー。お前の機能の働きは、本国でも大々的に取り上げられている。あの規模をあの少人数で対処した英雄だってな。……俺としちゃ、お前が無事でいてくれたんだから、まあ満足だ。……しかし、平手か。やっぱりお前は優しい奴だ」

 そう言って部屋を後にした。ロジャーは何も言えずに立ち尽くした。


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