色々となし崩し的に・・・
俺は悩んでいた。
彼女の家族は心配しているだろう。
だとしたら、さっさと警察に行くのが正解なのだが・・・。
もう少し一緒にいたかった。
(・・・でも、俺の都合でしばるわけにいかないよなぁ・・・)
「あ、もう一杯飲む?」
しかし、俺の口から出たのは別の言葉。
もう五杯目だが、彼女は嬉しそうに頷いた。喉が渇いたり、飽きたりしないのだろうか。
台所に行き、今回は牛乳を多めに入れまろやかなものにした。
「はい、どうぞ」
受け取り、口に運ぶ。違うことに気づいたのか、一口で口から離し俺を見てきた。
「喉、渇かないのかなって思って、牛乳を多めに入れてみたんだ。おいしい?」
頷いたので、また向かいに座る。
そして、やっと決心がつき、彼女に話しかけた。
「そろそろ、警察に行った方がいいと思うんだ。君の家族も心配してるだろうし・・・え?なんで?」
つい、俺は目を見開いた。彼女が首を横に振ったからだ。
拒否。なぜそうするのかがわからない。
「え、なんで?行きたくないの?」
頷く。
「警察が嫌いなの?」
迷ってから首を振る。
「え、でも家族に会いたくないの?きっと心配してるよ?」
首をかしげる。何かがわからないのだと思うが、何がわからないのだろう?
(まさか『家族』がわからないわけ、ないよなぁ・・・だったら・・・?)
「まさか、家族がいないとか?」
軽く言う。そして、すぐに深い後悔に襲われた。
彼女が頷いたからだ。
「え、あの、ごめん。俺、そんなつもりじゃなくて・・・」
気まずくなり、言葉尻がしぼむ。
さっきまでの浮かれた気持ちは風船に穴を開けたように、あっさりとすばやくしぼんでいた。
「・・・・・・・・・」
彼女がココアを嚥下する音と、テレビから流れる音が部屋に響く。
「・・・あ、のさ。じゃあ、どうするの?まさか、ここに泊まるとか・・・?」
どうしよう。すごい勢いで頷かれてしまった。
しかも目をキラキラとさせ、嬉しそうな顔をされた。
しかし、これは輝く笑顔にごまかされるわけにはいかない。
(いまさら冗談とは言えない雰囲気・・・!?いや、まぁ、そうなったらいいなとは思ってたけど・・・!でも、問題あるよな!?男女が一つ屋根の下は!いや、まぁ問題を起こす気はないけど!!情けないけど、起こせるような精神力はない・・・!!!で、でも・・・!)
目の前の笑顔を見た。
・・・負けた。
「・・・わかった。でも、明日は警察に行こうな?そこは譲れないぞ?」
よほど嬉しいのかほとんど話を聞かずに頷いている。
(他人の家に泊まるのが初めてなんだろうな。こんな家なのにこんなに喜ぶなんて・・・ま、まぁ、俺も女の子が泊まるなんて初めてだから・・・・・・どうすればいいんだろう!?)
今すぐ両親に帰ってきてほしくなった。
特に母親に。
急展開ですねw
ちょっと早すぎたかな?
でも、ちょっと見てるこっちがいらいらしてしまったんで・・・w
さっさと決定させてもらいました!
主人公、彼女に弱すぎですねw
見事なヘタレっぷり(?)を出せたかと思います!w