約束を胸に空へ
――王国が震える、開幕の儀。
ドラゴニクス競技場。
遥か上空から、白い光がスポットライトのように降り注ぐ。
会場中から万雷の拍手。
実況の声が跳ね上がる。
「さあ! 本場入場の刻が来たッッ!!
全ての騎士たちよ──アズラの空が君達を待っている!!」
実況:
「ファーストエントリー!
《アガレス・ナイツ》!!
騎士は ラウル・アガレス・ドレイク!
ドラゴンは アグノス!」
赤い旋風のようなドラゴンが直線を駆け抜ける。
観客席はウォームアップのような拍手。
実況:
「セカンドエントリー!《ベルゼ・ランサーズ》!
騎士 ユリア・ベルゼ・ハート!
ドラゴンはリベルダ!」
軽やかな飛翔に、少女ファンの黄色い声が上がる。
実況:
「サードエントリー!
我らが古豪ガミジ・ブレイヴス!
騎士 ヴォルト・ガミジ・ロウ!
竜は地鳴りの王グラント!」
重量級の咆哮でスタジアムが震える。
実況:
「フォースエントリー!
《ヴァレ・アーチャーズ》!
騎士 サラ・ヴァレ・フッド!
ドラゴンはアストラ!」
優美な弧を描きながら入場。拍手がじわりと熱を帯びる。
実況の声色が変わる。
「フィフスエントリー!
さあああ、来たぞ!!
今年最大の話題!
ジークフリード家の新星!
《ジークフリード・スラッシャーズ》ッ!!」
観客が一気に立ち上がる。
「騎士──レイ・ジークフリード・ガーレット!!
ドラゴンは白銀の閃光アーク!!」
アークが翼を大きく広げ、観客席へ雄々しく咆哮。
新人とは思えぬ存在感に、場内の空気がガラリと変わる。
レイは手を軽く上げて応え、進入隊列の位置へ向かう。
急に照明が落ちる。
ざわ……ざわ……と観客の期待が膨らむ。
その闇の中、ひとりの少年が歌い始めた。
「♪風を裂きし者──」
次の瞬間、
数万人の声が重なる。
「♪道を開く者──
約束を果たす時だ──
空に刻まれし名よ──」
会場全体がライナルト入場のためだけの大合唱になる。
英雄に捧げる、それは祈りに近い歌。
満を持して実況が叫ぶ。
「ついに来たッ!!
王国が誇る伝説の英雄!!
《グローリー・ヴァルキリーズ》!」
青白い光の尾を引いて、ユランが上空から滑空。
「騎士──ライナルト・グローリー・ストラウス!!
ドラゴン──蒼帝ユラン!!!」
スタジアムが揺れるほどの歓声。
レイの胸が熱で締め付けられる。
ユランが並走位置に入る。
一瞬、レイとライナルトの視線が絡む。
言葉はいらない。
ただ、その想いだけが交錯する。
ライトが一斉に点灯し、発走直前の緊張が走る。
実況:
「さあ、ポジション取り完了ッ!
騎士たちよ、全世界の夢と希望を乗せ──」
観客全員が息を呑む。
「君たちの勇気を見せてくれ!!!」
轟音と共に、スタートラインへ突入していくドラゴンたち──
王国杯の火蓋が切って落とされた。




