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ドラゴンでレースしたら王都が滅びた  作者: じじじ
王国編

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9/23

約束を胸に空へ

――王国が震える、開幕の儀。


ドラゴニクス競技場。

遥か上空から、白い光がスポットライトのように降り注ぐ。


会場中から万雷の拍手。


実況の声が跳ね上がる。


「さあ! 本場入場の刻が来たッッ!!

 全ての騎士たちよ──アズラの空が君達を待っている!!」


実況:

「ファーストエントリー!

《アガレス・ナイツ》!!

騎士は ラウル・アガレス・ドレイク!

ドラゴンは アグノス!」


赤い旋風のようなドラゴンが直線を駆け抜ける。

観客席はウォームアップのような拍手。


実況:

「セカンドエントリー!《ベルゼ・ランサーズ》!

騎士 ユリア・ベルゼ・ハート!

ドラゴンはリベルダ!」


軽やかな飛翔に、少女ファンの黄色い声が上がる。


実況:

「サードエントリー!

我らが古豪ガミジ・ブレイヴス!

騎士 ヴォルト・ガミジ・ロウ!

竜は地鳴りの王グラント!」


重量級の咆哮でスタジアムが震える。


実況:

「フォースエントリー!

《ヴァレ・アーチャーズ》!

騎士 サラ・ヴァレ・フッド!

ドラゴンはアストラ!」


優美な弧を描きながら入場。拍手がじわりと熱を帯びる。


実況の声色が変わる。


「フィフスエントリー!

さあああ、来たぞ!!

 今年最大の話題!

 ジークフリード家の新星!

《ジークフリード・スラッシャーズ》ッ!!」


観客が一気に立ち上がる。


「騎士──レイ・ジークフリード・ガーレット!!

 ドラゴンは白銀の閃光アーク!!」


アークが翼を大きく広げ、観客席へ雄々しく咆哮。

新人とは思えぬ存在感に、場内の空気がガラリと変わる。


レイは手を軽く上げて応え、進入隊列の位置へ向かう。




急に照明が落ちる。



ざわ……ざわ……と観客の期待が膨らむ。


その闇の中、ひとりの少年が歌い始めた。


「♪風を裂きし者──」


次の瞬間、

数万人の声が重なる。


「♪道を開く者──

  約束を果たす時だ──

  空に刻まれし名よ──」


会場全体がライナルト入場のためだけの大合唱になる。

英雄に捧げる、それは祈りに近い歌。


満を持して実況が叫ぶ。


「ついに来たッ!!

 王国が誇る伝説の英雄!!

 《グローリー・ヴァルキリーズ》!」


青白い光の尾を引いて、ユランが上空から滑空。


「騎士──ライナルト・グローリー・ストラウス!!

 ドラゴン──蒼帝ユラン!!!」


スタジアムが揺れるほどの歓声。

レイの胸が熱で締め付けられる。


ユランが並走位置に入る。

一瞬、レイとライナルトの視線が絡む。


言葉はいらない。


ただ、その想いだけが交錯する。


ライトが一斉に点灯し、発走直前の緊張が走る。


実況:

「さあ、ポジション取り完了ッ!

 騎士たちよ、全世界の夢と希望を乗せ──」


観客全員が息を呑む。


「君たちの勇気を見せてくれ!!!」


轟音と共に、スタートラインへ突入していくドラゴンたち──

王国杯の火蓋が切って落とされた。

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