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ドラゴンでレースしたら王都が滅びた  作者: じじじ
王国編

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6/23

アンドロイドは夢を見る

【????】

「作戦コード・ゼロフォー。

作戦決行まで──残り八時間。

航空巡航、異常なし。視界クリア」


管制から送られる報告が、輸送機内部のスピーカーを震わせた。


機内は薄い非常灯だけが灯された半暗闇。

外の静寂とは裏腹に、積み込まれた任務の重さだけが圧し掛かっていた。


並んで座る人影──いずれも“人間らしさ”を欠いた無機質な兵器。

電源を落とされ、拘束具に固定されたアンドロイド兵たちが、冷たい仮眠を取っている。


胸部装甲には識別コードが刻まれ、射出口や関節部は封鎖モードのまま。

今はただの物体だが、起動すれば一個小隊を壊滅させる力を持つ。


その列のただ中に、一体だけ“異質な存在”があった。


少女の姿をした兵器。


膝に両手を置き座っている。

だが他のアンドロイドと違い、完全な無ではない。


わずかに震える指先。

焦点の合わない瞳。

何かを押し戻そうとしている意志のような気配だけが、かすかに体に残っていた。


機体が空気の層を突き抜け、小さく振動した。


「降下ルートに変更はない。

王国アズラ上空の気流は安定。作戦遂行に支障なし」


管制官は淡々としている。

機内の者たち──いや、者ではない兵器たちは、誰一人反応を見せない。


ただ、少女だけがわずかに眉を寄せた。


「……ぁ……」


かすかな息が漏れた瞬間──


輸送機後部でロックがひとつ外れる音が響いた。


カチッ……


赤い警告灯が点滅へ切り替わる。


「兵装チェック開始。

一次起動シーケンス、スタート」


アンドロイド兵たちの胸部ラインが青く発光し、

まるで一斉に“目覚める”ように、首がカクりと上がっていく。


無表情の顔が並ぶ光景は、軍事作戦というより黙示録の前兆だった。


ただ一体──少女だけは沈黙を保ったまま。


しかしその肩は、誰にも気づかれないほど微かに震えていた。


──自分の内部で、別の何かが立ち上がろうとしている。


少女の震えは、恐れか、拒絶か、あるいは……。


「作戦決行まで、あと七時間五十三分」


アナウンスが淡々と告げる。


軍事作戦の夜は、ゆっくりと完了へ向けて組み上がっていく。


そしてこの静かな空の上で、

世界の歯車は確かに──狂い始めていた。

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