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ドラゴンでレースしたら王都が滅びた  作者: じじじ
王国編

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15/23

最後のピットイン

アークが着地した瞬間、巨体がわずかによろめいた。

白銀の翼が震え、熱を帯びた息が荒く漏れる。


「……はぁ……はぁ……」


レイもまた、鞍の上で大きく息を吐いた。

全身が鉛のように重い。指先が痺れている。


「初舞台にしては、上出来だ」


監督が、短くそう言った。

それは褒め言葉であり、同時に“ここまでだ”という現実の提示でもあった。


パトリックが手際よく動く。

消耗したユニットを外し、ブースターを換装する。


「推力は最大まで引き上げた。

 ……だが無理はするなよ、レイ」


アークの首元に冷却スプレーを当てながら、続ける。


「コンディションは限界だ。

 勝ちに行くより、アークを優先しろ」


レイは、黙って頷いた。


「……わかってる」


それでも。


アークの琥珀色の瞳を見る。

苦しそうで、それでも――まだ折れていない目。


「まだ、諦めないさ」


小さく、しかしはっきりと言う。


「……だろ?」


レイの問いに、アークは短く咆哮した。

掠れているが、確かな意思を宿した声だった。


平野地帯。

遮るものはなく、純粋な速度勝負。


分が悪いのは、誰が見ても明らかだ。

ライナルトとユランの独壇場――そう言われてもおかしくない。


それでも、胸の奥で、ひとつの言葉が消えずに残っている。


──騎士は、約束を守るものだ。


通路ですれ違った、あの背中。

交わした、あの目。


(……まだだ)


監督が、レイの肩を軽く叩いた。


「泣いても笑っても、最後のセクションだ」


そして、親指を立てる。


「張り切っていけ」


「……ああ」


レイは立ち上がり、鞍に跨る。

翼が開き、風を掴む。


すでに空には、先行する影がある。

黄金の翼――ライナルトとユラン。


「行くぞ、アーク」


最後の直線へ。


レイとアークは、再び空へ飛び出した。

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