【最終部】総裁選の嵐
シーン1:出馬宣言
霞が関、正門前。
マイクの前に立つ知紀。その背後には、田所、ひかり、山下――揃い踏み。
報道陣のフラッシュが閃く。
白石 知紀
「……これまで何度も組織に潰されそうになった。
だけど俺は、腐った制度を変えるために――
人事院総裁を目指します!」
記者のざわめきが止まらない。
記者A
「白石さん! あなたまだ若すぎると言われてますが!」
知紀は力強く答える。
白石 知紀
「だからこそです。
若さを理由に諦める時代は終わりだ!」
田所が横で吠える。
田所 俊介
「総裁? 何人たりとも俺たちは止められねぇぞ!!」
ひかりは無言で、知紀の肩にそっと手を置いた。
シーン2:政敵の猛攻
討論番組の生放送スタジオ。
知紀と現職派の対抗候補、権田総務次官が睨み合う。
権田 総務次官
「若造が何を語っても夢物語だ。
君は所詮、派閥すらない無所属候補だろう!」
知紀は鋭い声で返す。
白石 知紀
「派閥がないからこそ、誰の利権にも染まらない!
国民と職員のためだけに動く人事院総裁、それが俺です!」
観客席の拍手と野次が交錯する。
カメラの外、山下と田所が裏方で慌ただしくスマホで連絡を飛ばす。
山下 悠真(小声)
「田所さん、今こそ例のリーク流しますか?」
田所がにやりと頷く。
田所 俊介
「ああ、権田の裏金スキャンダル――
全国ネットでぶっ放せ。」
シーン3:裏切りと支持の嵐
夜の選挙対策室。
SNSは大炎上、メディアも大騒ぎ。
知紀は一人机に座り、拳を握る。
ドアが開いて、ひかりがコーヒーを差し出す。
緒方 ひかり
「……勝てるわよ。
権田のスキャンダル、思った以上に深い。」
知紀が俯いたまま呟く。
白石 知紀
「……本当にこれでいいのか。
俺も結局、同じやり方で人を潰したんじゃないか……?」
ひかりがそっと言う。
緒方 ひかり
「違うわ。
あなたが守ったのは、信じてくれた人と、この国の未来。
私は――あなたの信じた“正義”を信じる。」
知紀の手が震え、机を強く叩く。
白石 知紀
「……行くぞ、最後まで!」
シーン4:投票日、最終演説
霞が関広場。
大群衆の前で、知紀がマイクを握る。
田所、ひかり、山下が最前列で見守る。
白石 知紀
「俺たちは!
誰かのための官僚じゃない!
国民一人ひとりのための官僚だ!
それを証明するために――
俺は必ず、この総裁選を勝ち抜いてみせる!」
拍手と歓声が空を突き抜ける。
田所 俊介(小声)
「……お前ならやれるさ、知紀。」
山下 悠真(小声)
「俺たちがついてますから!」
ひかりは小さく目を閉じて呟く。
緒方 ひかり(小声)
「――勝ちなさい。私の選んだ未来のために。」
シーン5:勝利の夜明け
夜明け前。
テレビが開票速報を映す。
最終票数――「白石知紀 52%」「権田総務次官 48%」
室内は歓声と涙の嵐。
知紀は静かに立ち上がり、仲間たちに向き直る。
白石 知紀
「……ありがとう。
みんながいなきゃ、ここまで来れなかった。」
田所が泣き笑いで抱きつく。
田所 俊介
「泣くなよ総裁殿! これからが地獄だぞ!」
山下が拳を突き出す。
山下 悠真
「次は全員でこの国を変えましょう、総裁!」
ひかりが小さく微笑んで、言葉を贈る。
緒方 ひかり
「……行きましょう、総裁。
あなたの名前を歴史に刻むときよ。」
朝日が差し込む窓の外――
新しい日本の幕開けが、静かに息を吹き返した。