【第二部 5章】内部クーデター
シーン1:不穏な情報
夜のゼミ部屋。
壁一面に資料が貼られ、知紀、ひかり、田所、山下が囲む。
山下 悠真
「おかしいっす。内部データに不自然な削除履歴が……
誰かが俺らの調査を逆に利用してる。」
田所が眉をひそめる。
田所 俊介
「裏切りか……? 誰だ、うちの中にモグラがいるのか?」
ひかりがPCを操作しながら、低く言う。
緒方 ひかり
「知紀……これを見て。
君の署名で、偽の決裁文書が出回ってる。」
知紀の目に血の気が引く。
白石 知紀
「……俺を失脚させる罠か。」
山下が声を震わせる。
山下 悠真
「どうするんすか!? こんなんバレたら公務員生命終わりですよ!」
知紀が顔を上げる。
白石 知紀
「終わらせねぇよ。
逆に、こいつを“逆手”に取ってやる。」
シーン2:内部の裏切り者
翌日、深夜の人事院本庁舎の一室。
知紀は一人、誰もいないはずの資料室へ入る。
そこには、部下の一人・芦田が隠れてPCを操作していた。
白石 知紀
「……芦田。」
芦田が振り向き、顔が引きつる。
芦田
「し、白石さん……違うんです、これは……」
知紀が一歩、踏み出す。
白石 知紀
「お前が俺の署名を偽造して、
評価制度改革を潰そうとしたのか。」
芦田が震えながら頭を下げる。
芦田
「……部長に逆らえなかったんです……!
僕だって……家族が……!」
知紀が深く息を吐く。
白石 知紀
「……分かった。」
芦田が顔を上げ、安堵の表情を浮かべかける――
だが知紀の瞳は冷たかった。
白石 知紀
「でも、罪は罪だ。
お前を庇ったら、俺の言葉はもう誰も信じない。」
芦田の肩が崩れ落ちる。
シーン3:ひかりの最終防衛線
ゼミ部屋。
ひかりが報告を聞き終え、知紀を睨む。
緒方 ひかり
「……甘いわね。
裏切り者を出したのはあなたの責任でもあるのよ。」
知紀は小さく頷く。
白石 知紀
「ああ……だから全部俺が表に出す。」
田所が大声を上げる。
田所 俊介
「待てって! 知紀が潰されたら意味ねぇだろ!」
ひかりが淡々と告げる。
緒方 ひかり
「大丈夫。潰させない。
私は次の一手を準備してる。」
山下が身を乗り出す。
山下 悠真
「一手って……?」
ひかりが不敵に微笑む。
緒方 ひかり
「“逆クーデター”。
敵のリークを逆用して、先に組織を掌握するわ。」
シーン4:運命の全体会議
数日後、大会議室。
幹部たちと知紀が並び、全職員が見守る中で決裁偽造疑惑が議題に。
保守派幹部が勝ち誇った顔で言い放つ。
保守派幹部
「白石君、君は自分の署名で不正を働いた!
処分は当然だろう?」
知紀がマイクを握る。
白石 知紀
「俺は確かに責任者だ。
でも――これは俺が作った文書じゃない!」
会場がざわつく。
ひかりが壇上に立ち、モニターに監視カメラ映像を映す。
緒方 ひかり
「ここに映っているのが、偽造を行った芦田です。
全て証拠付きで、司法に提出済み。」
保守派幹部が顔面蒼白になる。
白石 知紀
「組織を腐らせたのは誰か――
皆さんの目で確かめてください!」
全員の視線が保守派幹部に突き刺さる。
シーン5:新リーダー宣言
会議室を出た後。
知紀、田所、ひかり、山下が静かな廊下に並ぶ。
田所が肩を叩く。
田所 俊介
「お前、本当に組織の頂点に立つんだな。」
知紀が遠くを見つめる。
白石 知紀
「まだ通過点だ。
これからが、本当の戦いだ。」
ひかりがくすっと笑う。
緒方 ひかり
「なら、潰されないように私が盾になるわ。」
山下が右手を差し出す。
山下 悠真
「……俺たち4人で、もう一度誓いましょう!」
4人の手が重なり――
霞が関の夜空に、新しい風が吹き始めた。