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【序章】導火線 —理想の始まり—

シーン1:理想の独演会

人事院研修所の一室。

新人官僚たちが退屈そうに机を並べる中、

一人だけ立ち上がり、声を張り上げていた。


白石 知紀

「――だからこそ!

公務員こそ、国民の信頼を得るために公平に評価されなきゃいけないんです!

縁故とか派閥とか、そんなもので昇進が決まるのはおかしい!

俺たちがそれを変えましょう!!」


座っていた同期たちは、冷たい笑い声を漏らす。


同期A(小声)

「おいおい、新人研修で革命ごっこかよ…」


同期B(小声)

「まぁ、若いっていいな〜。どうせ数年で黙るさ。」


壇上の講師も困った顔で咳払いをする。


講師

「……白石君。その熱意は立派だが、今はディスカッションの時間だから。

意見交換、ね?」


知紀は一瞬言葉に詰まるが、強引に言葉を継ぐ。


白石 知紀

「……失礼しました。でも俺は本気です。

総裁だって夢じゃない。俺がなりますから!」


誰も相手にしない。

その空気を、ひとりの女性が冷たい目で見つめていた――緒方ひかりだった。


シーン2:ひかりとの初口論

休憩時間。

知紀が自販機で缶コーヒーを買っていると、背後から声が飛ぶ。


緒方 ひかり

「……演説ご苦労様。」


知紀が振り向くと、ひかりが無表情で立っていた。


白石 知紀

「ああ、緒方さんか。さっきは熱くなりすぎたかな。」


緒方 ひかり

「熱くなるのはいい。でも論理がない。

あの場で理想だけ振りかざして、何か変わる?」


知紀は言葉を失うが、すぐに不器用に笑う。


白石 知紀

「ははっ……そうかもな。でも俺は……」


緒方 ひかり

「私、時間の無駄が嫌いなの。

次、ああいう馬鹿なことするなら、私の前でしないで。」


缶コーヒーを持つ手が少し震えた。


白石 知紀

「……論理だけじゃ人の心は動かせないんだよ。」


ひかりは無言で去っていった。


シーン3:夜の公園の邂逅

夜。

研修所近くの小さな公園。

知紀は一人、ベンチに腰掛けて自販機の缶コーヒーを見つめていた。


???(背後から)

「おーい、白石〜! こんなとこで何やってんだ?」


振り返ると、田所と山下が缶ビールを両手に持って立っていた。


田所 俊介

「ほら、一杯くらい飲めって! 新人研修ごときで眉間にシワ寄せんな!」


山下 悠真

「俺もさ、最初は夢ばっかり語って笑われたっすよ。」


知紀はビールを受け取り、プルタブを開けた。


白石 知紀

「……笑われるよな。俺なんか、総裁目指すとか言っちゃってさ。」


田所 俊介

「ははは! おもしれーじゃん!

お前が総裁になるなら、俺は現場で一番の現場バカになって支えてやる!」


山下も缶を高く掲げる。


山下 悠真

「僕も……自分みたいなやつが報われる制度にしたいんす。

だから……一緒に、やりましょうよ!」


知紀は思わず笑った。

そこに、いつの間にかひかりが現れる。


緒方 ひかり

「……論理が破綻してるけど。

それでも……面白いわね。私も乗る。」


知紀は仲間を見渡す。

そして小さく、力強く言った。


白石 知紀

「……よし、決まりだな。

俺たちで、人事院の総裁になる。

そして、公務員制度をぶっ壊してやろうぜ!!」


四人の缶が、公園の夜空で小さくぶつかり合った。

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