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発見された動画ファイル②

 ……よし。

 撮影再開しました。

 引き続きよろしくお願いします。


「あっ、カメラ止めてたんだ。食事シーンはいらないの?」


 お店に許可を取らないといけませんからね。

 他のお客さんが映りそうなのもあってやめておきました。


「頑張って食レポとかしたのになぁ……」


 ああ、あれって食レポだったんですね。

 すごく丁寧に感想を教えてくれると思っていました。


「そりゃテレビだからね。多少は気遣うよ」


 ありがとうございます。

 ですが撮影についてはあまり気にしなくていいですよ。

 こちらは●●さんのリアルな日常を知りたいので。


「でもさー、気にしないって難しくない?」


 それは分かります。

 まあ、そのうち慣れると思うので細かいことは一旦置いておきましょう。

 この後の予定はなんですか?


「あー、そろそろ人を殺したいね」


 なるほど。

 標的は決めてあるのですか?


「あそこのカップルとかちょうどよさそうだよね」


 カップル……自動販売機の前にいる二人ですね。

 何か選定の基準はあるのですか?


「幸せそうな奴を狙うことが多いかな。台無しにしたくなるんだよね。ちょっと殺してくるから撮っててよ」


 分かりました。

 ご健闘を祈ります。


 えっと、●●さんが標的のカップルに近づいていきます。

 人通りの少ない公園なので、犯行を目撃される心配は少ないですね。

 ただ、悲鳴を上げられたら騒ぎになりそうです。

 どうやって仕留めるのでしょうか……。


 ●●さんがカップルに話しかけました。

 スマホを見せながら何か尋ねていますね。

 おそらく道を訊いているようです。

 彼氏さんが身振り手振りを加えて説明してくれています。

 彼女さんは暇そうにしていますね。


 あっ。

 ●●さんが彼氏さんのお腹を何度も刺しています。

 ナイフ、ナイフです。

 ポケットに隠し持っていました。

 彼氏さんは苦しそうな顔です。


 彼女さんが驚いてますね。

 叫ぼうとした瞬間、喉を切り裂かれてしまいました。

 そのまま血だらけで倒れています。


 カップルは動きません。

 二人とも死んだのでしょうか。

 ここからでは確認できませんが、致命傷なのは間違いないですね。


 ●●さんがこっちに戻ってきます。

 どこにも返り血が付いていませんね。

 上手く避けながらナイフを使ったみたいです。


「ただいまー。しっかり撮れた?」


 はい、ばっちりと。

 死体は放置していいんですか?


「うん。いちいち処理すんの面倒くさいし」


 その辺りは大雑把な感じなんですね。

 証拠を残したら警察に捕まりそうですが……。


「心配しなくても大丈夫だって! いざとなったら逃げればいいからねえ。本気で隠れれれば意外と見つからないもんだよ」


 そうなんですね。

 とりあえずメインになるシーンが撮れました。

 ご協力に感謝します。


「どういたしまして! 次も迫力満点だから楽しみにしててねっ!」


 何から何まで助かります。

 では一度、カメラを止めますね。

 移動後に再開しましょうか。

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