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ヲタッキーズ151 死の担替

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第151話「死の担替」。さて、今回はブルームーンの夜にスーパーヒロイン含む2件の殺人事件が発生、2人の被疑者が特定されます。


ところが、被疑者はそれぞれ完璧なアリバイがあり、さらに満月の夜に現れる独特の不思議な人々が被疑者達を取り巻いて捜査は大難航…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 ブルームーン


今宵はブルームーン。名前の由来は青く見えるからとか、2度目の満月とか、昔、五反田にあったキャバレーとか諸説w


「私が救世主(メシア)だ!」

「メシ屋?」

「メシアだっ!」


畏れ多くも万世橋警察署にキリストが降臨…誠にありがたいが、その周囲をへへへと笑いながら道化師(ジョーカー)が走り回ってるw


「待て!

「へへへへへへへへへへへへへへへへ」

「こら、待て!」


追う警官の横で別の警官が唸る狼男を力ずくで椅子に押さえつける。その横では、吸血鬼と口裂女のキャットファイト!


「昔からブルームーンの夜には、おかしな人が街中にあふれるね。何でだろう」

「潮の満ち引きみたいに月の引力が私達の血流に影響して…知らないわ。教えて欲しいぐらい」

「きゃー!」


ゆっくりとコーヒーを飲むラギィのデスクに、赤ブラの女が投げ飛ばされて来る。赤ブラが巨乳ごとブルブルと震える。


「あら、カポン・スキィ刑事。調子は?」

「ボチボチだわ。貴女は?」

「私もょ」

「ソレは良かったわね」


日本語講座の例文みたいだが、当のカポン刑事は、キャーキャー騒ぐ赤ブラ女にマウントして力ずくで押さえつけてるw


「今宵の署内の風景は、ショーになるね。無秩序、暴力、混沌。あと必要なのは…」


ラギィ警部のスマホが鳴る。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


青い月夜の殺人現場は"秋葉原マンハッタン"の高層ビルにあるメンタルクリニック。水槽にカラフルな熱帯魚が泳ぐ。


「アシリ・コズイ。32才。"blood type BLUE"。クリニックのサイキック・セラピスト。0時前に夫が発見」

「残業明けの彼女を迎えに来たトコロだった」

「目撃者は?」


またまた"スーパーヒロイン殺し"だ。先に現場に到着したヲタッキーズのエアリ&マリレから報告を聞くラギィと僕。

この時代、アキバに開いた"リアルの裂け目"の影響で腐女子がパワーに覚醒、スーパーヒロイン化する現象が続出中w


「今のところ目撃者はナシ。でも、夕食のレシートはある」


クリニックの応接室には"Uper Eats"の食べ残し。定番の中華ナンだけど、冷めた炒飯とか、よく食べられるょなw


「2人分か。このカード番号だと、払ったのは多分お客の方だな。ラギィ、誰のカードかわかる?」

「もちろん。支払い時刻は18時02分。死亡推定は?」

「20時です」


死体を検分している万世橋(アキバポリス)の鑑識が答える。


「"Uperディナー"の相手が怪しいな」

「YES。犯人の可能性が高い。そのカード番号、急いで調べて」

「もしコレが超科学系ドラマ(スーパーナチュラル)なら熱帯魚の脳に電極をつけて、水槽の中から見た光景を再現するんだけど」


ココで3人目のメイドが登場。あ、因みにヲタッキーズのエアリ&マリレは2人ともメイド服。ココはアキバだからねw


で、スピアもメイド服。しかも谷間強調のセクシー系←


「スピア。殺人現場にドレスコードは無いわょ」

「ラギィ、貴女と違って私は夜のお仕事がアルの…胸ばっかり見ないで、テリィたん!」

ROG(了解)


ハッカーのスピアは、秋葉原D.A.(特別区)大統領の補佐官で超天才ルイナの相棒だ。車椅子のルイナに代わり良く現場に出る。


「銃槍は複数。恐らく22Hz口径の音波銃で撃ってる。顔面にルージュの伝言"下劣セラピスト。お前の終わりだ"?文法が間違ってるわ。お前の、ではなくて、お前は、だわ。誰が、誰を、誰に、は文法の基本」

「おいおいルイナ。恐らく人生の崖っぷちから落ちた被害者の遺体を前に、今ソレを逝うか?」

「犯人は、言葉の誤用と言う罪も犯したってコト。作家のテリィたんならわかるハズ」


ルイナは補佐官の激務の合間に(趣味で?)僕達ヲタッキーズの仕事を手伝ってくれる。彼女自身SATOの顧問でもある。

南秋葉原条約機構(SATO)は"リアルの裂け目"からの脅威に対抗する防衛組織でヲタッキーズはSATO傘下の民間軍事会社(PMC)だ。


「スピア、タブレットを動かして被害者に抵抗の痕とかナイか探してみて」

「OK、ルイナ。両腕にアザ」

「も少し死体にかがみこんで。犯人の毛髪や指紋が残ってないか探して」


スピアはタブレット片手に死体をまたぐ。


「テリィたん!」


谷間をチラ見してたのがバレるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


第1発見者の夫からの事情聴取が始まる。


「アシリはプロ意識が高く、私に患者の話をするコトはありませんでした」

「リアルご帰宅は、いつもこんな時間ですか?」

「彼女は月に何度か、カルテを描くために残業するコトがありました。そーゆー日は、私は友人と食事をして、それからココに迎えに来ていました」


イケメンだ。何となく敵視←


「今宵の奥様の夕食の御相手は御存知ですか?」

「さぁ…電話した時は何も言ってなかったし」

「お電話されたのは、いつ頃ですか?」


マメに電話スル野郎だ。ますます敵視w


「6時頃"スク水バスケ"の観戦に行く前です」

「何を話しましたか?」

「たわいないコトですが、些細な行き違いから口喧嘩をしてしまった。最後の電話だったのに、愛していると伝えなかった」


何と泣き出す。イケメンの涙にときめくラギィ笑


「ありがとうございました」

「もう今日は帰っても良いですか?」

「もちろんです。この度は御愁傷様でした」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「警部!神田同朋町で音波銃の銃殺体です。"blood type BLUE"」

「やれやれ。ブルームーンの夜はホント大忙しだわ。ヲタッキーズの2人で行ってもらえる?」

「ROG!ジャニとホットミルクでぬくぬくのハズだったのに…あ。今の、ナンで言っちゃったのかしら」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「夕食のカード払いは、夫のジェソが電話した直後だわ」

「夫にも言えない相手と内緒のお食事?」

「文法が苦手な奴だけどな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田同朋町の殺人現場。


「マリレ、シン彼氏とホットミルクデートなんかしてるの?気持ち悪い」

「だって…その方がジャニは良く眠れるからって」

「私の場合、テリィたんのジョークで眠くなるわ…あら、スピア。どんな感じ?」


超天才ルイナの相棒ハッカーのスピアが先に来てるw


「静かに。今、ルイナが遺体と話してる」


顔を見合わせるエアリとマリレ。


「ソレで、遺体は何と言ってるの?」

「胴体を音波銃で1発撃たれたと。38か45Hz口径。至近距離。背後から撃たれたそうょ」

「冷酷ね」


答は、スピアが手にしたタブレットから。


「人間ナンて冷酷な生物ょ」

「IDはあった?」

「財布も時計も何もナイんだって。被害者の顔見知りがナンチャラって警官に話してるトコロ」


ナンチャラ?


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)に捜査本部が立ち上がる。


「被害者は、元数学教師のフラン・アンダだって」

「捜査は私達でやろうか?」

「あら。お願い出来る?コッチは手一杯だわ」


メイド達に事件を振って、僕の方を向くラギィ。


「"帰りにパンを買うのを忘れずに"ナンて買い物用のメモとは違うわね」

「殺したばかりの遺体の顔に、ルージュで描いたメッセージだ。絵になるな」

「殺すほど伝えたいんだから、かなーり重要なメッセージのハズょ」


僕は、頭をヒネる。


「ソレなのに、間違った文法で描くか?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ヲタッキーズは会社組織で、僕がCEO。僕の推しミユリさんが役員で、エアリとマリレは社員だ。メイド服だけどw


「で、遺体はどんな状態だった?」

「倒れてたわ」←

「…どんな体勢で?」


エアリとマリレの2人は、僕に背を向けたママw


「撃たれてた」←

「じゃあアリがちな強盗殺人だな?楽勝だ」

「テリィたん。言っておくけど強盗殺人が1番厄介なのょ」


クルリと振り返る2人。


「獲物はランダムだし事情は複雑。捜査の腕が試されるワケ」

「そうか。まぁ手伝いが欲しかったら声かけて」

「手伝い?テリィたんが私達を手伝うって?」


ナンなんだ?その上から目線w


「心配ご無用ょ。テリィたんとラギィ組の事件より先に解決してみせるわ」

「大きく出たなw」

「ねぇココは1つ面白いコトをしてみない?どっちの事件が先に解決するか賭けるの」


エアリは眉をひそめるw


「殺人事件ょ?そんなの不謹慎だわ…1万円」

「1人につきか?」

「待って!テリィたんSTOP」


立ち上がる僕を抑えるメイド達。額を寄せ合う。


「ラギィはともかく、ミユリ姉様には絶対内緒。姉様に知られたら…"雷キネシス"で黒焦げにされるわ」


マリレは大袈裟に震え上がりながらも…大きくうなずく←


「OK。秘密、殺人、賭博。全部僕の大好物だ」

「ヲタらしく正々堂々と戦いましょう」

「望むトコロだ」


僕は拳を出す。その上に拳を載せるエアリ。その上に…ペッと唾をつけ拳を載せるマリレ。露骨に嫌な顔をするエアリw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷(メイドバー)のバックヤードをスチームパンク風に改装してみたらヤタラ居心地良くなって、御主人様方の回転率は急降下だw


「嫌だわ、事件で賭けをスルなんて」

「そぉかな。捜査を楽しむのは悪いコトじゃナイ。そもそも既に死んでるし」

「そっか。で、テリィたんは今宵もお仕事?」


ヨーグルトドリンクを飲みながら聞いて来るスピア。


「かもね。なんで?」

「今日はシン彼のオエンのお誕生日ょ。"チョベリバ(スクールキャバ)"のアフターでスイーツを食べに行く予定なの。最近オエンとギクシャクしてたから、何か特別なコトをしてあげたくて」

「ソレは良いコトだな。古今東西、スイーツは恋の特効薬だ。ただ12時までには帰れょ」


ム・リ・よ…スピアは声に出さずに答え、お出かけだ。

代わりに、正面はミユリさん。メイド長自らの御給仕w


「若いって良いですね。最近はホロ苦いコトしかなくて」

「ミユリさんはロマンチックだな」

「知ってます」


コーヒーカップで乾杯スル。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


弁護士ロシュ・ラシュが任意で万世橋(アキバポリス)に出頭。


「YES。ココは私のカードで支払いました。亡くなった精神科医のアシリ・コズイは親友で、私が帰るまでは生きていました」

「ロシュさんは、何時に帰ったの?」

「7時頃。何なら宣誓しますが」


ソレにはおよばないと手を振るラギィ。


「その後は?」

「事務所の同僚弁護士と"ぱれんばん"に飲みに行った。11時まで飲んでたわ。アシリから電話があったの。少し話がしたいって。でも、その時は知らなかった」

「何を?」


ロシュの美貌が曇る。


「警告スルとか、出来るコトはあったハズょ」

「ねぇ彼女の用は何だったの?」

「弁護士の私からアドバイスが欲しいと。先週の金曜日、彼女の身に何かが起きた」


思わズ身を乗り出すラギィ。


「何かって何?」

「言わなかったけど、きっと患者のコトょ。接近禁止命令を出したいと言っていたわ」

「誰を?」


横から訂正スル僕w


「誰に、だ」

「言ってくれなかった。あの時、ちゃんと説明してもらえば良かった」

「…(アシリに?ソレとも、アシリを?かしらw)」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ラギィがスマホを切る。


「金曜の夜のコトは、夫のジェソは何も知らなかった。アシリは、よっぽど口が固かったのね」

「患者との守秘義務と言うプロ意識が高過ぎルンだ」

「ソレが高じて殺されたのカモ」


デスクから立ち上がると刑事のカポンが合流。


「ラギィ。親友で弁護士のロシュはシロょ。スポーツバーに7時15分に現れて11時頃に帰ったって。夫のジェソも10時頃までスク水バスケを観戦してた」

「やっぱりアシリが金曜日に診た患者かしら」

「アシリのカルテを見られないかな」


ラギィは首を横に振る。


「令状がないからダメ。とりあえず、患者名から前歴者を探してみるわ…あら?」

「…エリクさん、ありがとうございました。お悔やみを」

「では、失礼します」


メイド服のエアリ&マリレ組がアジアンな夫妻を見送る。

ニコニコ笑いながら、余裕の上から目線で僕の方を見る。


「不安丸出しって顔ね、テリィたん」

「何か手がかりか?」

「YES。被害者は、毎晩散歩してた。そして、現場の公園にタムロするのは…」


僕は即答。


「公園デビューのヤンママか?」

「いいえ。ストリートギャングょ。かなり荒っぽい連中」

「彼等は、いつもそこにいるのか?」


矢継ぎ早に質問を浴びせるw


「概ねYES」

「じゃあ犯人じゃナイな。たまり場で殺したら絶対に捕まるからね」

「テリィたん。私達の鼻を折ろうとしてる?」


まだまだ余裕カマすメイド達。天誅が必要だ。


「ソレなら、コレはどうだ?"ウチの被害者"は、接近禁止命令を出そうとしてたンだぜ?」

「誰を?」

「(誰に?だけどマァいいやw)ソレは捜査中。でも、甘い響きだろ?接近、禁止、命令…」


イライラする2人を尻目に、踊るようなステップで本部を出たトコロでマグカップを持って立ってるラギィと直面スルw


「あら?テリィたん、御機嫌ね」

「あの、今、ちょっちヲタッキーズに…」

「ラギィ!見つけたわっ!」


刑事のカポン・スキィがスマホの画像を振り回すw


「ハルロ・スルハ?何処の国の人?」

「とにかく、過去に複数の暴行歴があって、今は夫婦で毎週金曜日にセラピーを受けてるの」

「カポン!アンタはエラい!」


ジャケットを引っ掛け現場へ急ぐ僕達。カッコ良い。

エアリ&マリレも急いで立ち上がるがタッチの差で…


「あ!待ってぇ!」


目の前でEV(エレベーター)のドアを閉める…じゃなくて、閉まる←


「テリィたん!」

「ねぇ!何スルの!」

「卑怯よっ!テリィたん」


閉まったドアの向こうでエアリ&マリレが騒いでるw


「階段よっ!」

「…テリィたん、今の何?」

「何のコト?」


第2章 素敵な予感


ハルロ・スルハは肉屋さんだw


「おおお。第六感が働くょ!多分、この人が犯人だ。ホボ間違いナイ!」

「ハルロ・スルラさんですか?」

「また店先に出したゴミの苦情か?!」


ハルロは、肉切り包丁、というより、ほぼマサカリなんだけど、頭の上から振り落とし、文字通り豚肉を叩き切ってるw


「えっと…とりあえず、その包丁を置いてくれますか?」


ハデな音を立てて肉を叩き切り、店の外へ出るハルロ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ハルロさん、昨晩は何処に?」

「何ゴトだょ?」

「精神科医のアシリ・コズイさんを御存知ですか?」


動物の返り血を浴びた前掛け姿は、まるでハロウィンだw


「モチロンだ。センセは、俺のセラピストだ」

「昨晩殺されました」

「何だって?!おい、ウソだろ?センセが殺された? 」


大した驚きようだが、迫真の演技の可能性もアルw


「昨夜の7時半から9時までどこに?」

「10時まで店にいた」

「誰か見てますか?」

「従業員だ。客もパラパラ来てる」


もしかしたら、彼は犯人じゃないカモと思い始めたけど、ココは強気の姿勢を崩せない。コッチも賭け金がかかってる。


「従業員は、客観的な第三者とは言えないぞ」

「おい。何で俺が犯人だと思うんだ?」

「アンタには、脅迫や暴行の犯罪歴がアル。犯罪歴ってのはな、1回ついたら一生消えないンだょ」


ガラにもなく決めつける僕。自分で自分が嫌になるw


「だから!俺は、セラピーに…通ってる。気を落ち着かせるために。センセに教わった。俺を傷つけているのは、俺自身ナンだと」


ハルロは、必死に落ち着こうとしている。しかし…


「E加減にしろっ!ハルロ・スルハ!金曜の夜、何があったかだけ、早く言えっ!」

「…う。確かに"何か"があったが、俺の診察の時じゃナイ。俺の前の患者の時だ」

「え。どーゆーコト?」


ラギィが身を乗り出す。


「妻と待合室に入ると声がした。内容はワカランが、男はひどく興奮してた。怖くなって様子を見ようとしたら、男は去った」

「男の顔は見た?」

「いいや。別のドアから出て行った。センセはヒドく動揺してたけど、俺達は夫婦でセラピーは受けた。とてもタメになった」


ハルロは殺してナイなトホホw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「肉屋のハルロ夫妻の前の患者は、ショル・ヒンク。2年間毎週セラピーに通ってるわ。カポン・スキィ、犯罪歴は?」

「無いわ、ラギィ」

「2年もセラピーに通って、昨夜、突然キレたってコト?コーヒー淹れて来るわ」


ラギィと一緒に立ち上がると、カポンに手首を掴まれるw


「賭けのコト、聞いたわ。私はコッチに賭ける」


折り畳んだ万冊を僕に押しつけるw


「参加は大歓迎だ。他に賭ける人がいたら教えてくれ」


ところが…


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「さぁ行くわょ」


紫、青、橙のレオタード女子3人をしょっぴくメイド2人。


「おいおいおい!ソッチの被疑者は、若いストリートギャングじゃなかったのか?」

「あ。連中は、テリィたんの言う通り、みんなアリバイがあったわ」

「じゃそのレオタード軍団は?」


エアリ&マリレは余裕の笑顔だ。


「事件当夜、現場付近にうろついていた宝石泥棒(キャッツアイ)。特別警戒中に忍び込んで一網打尽」

「しかも、被害者の銃槍と同じ、45Hz口径の音波銃を所有してたわ」

「僕も取り調べを手伝うょ」


ドアの前に立ち塞がるエアリ&マリレ。


「彼女達、弾道分析の前に自白しちゃうカモ」

「弁護士は?」

「必要ないと言われたの」


ココは金に糸目をつけずに逝こう。


「わかった。僕が紹介スルょ」

「アラどーしたの?テリィたん、もしかして不安?」

「な、何を…ヤバいのはソッチさ!」


鼻と鼻がくっつきそうな距離にエアリw


「テリィたん。じゃあ倍賭けにスル?」

「いやいや。ベストセラー作家のテリィたんにダメージを与えるのは、お金よりも恥ょ。負けたら、テリィたんはメイド服を着るの。1週間メイド服を着て出勤」

「未だ甘いわ。さらに、頭を丸めるのはどう?おぼっちゃまなテリィたんには、無理?」


マリレまで、鼻がぶつかる距離で挑発して来る。

僕は、ラギィをチラ見してから、余裕で逆挑発←


「やってやる!このホットミルク野郎w」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


取調室。僕がデスクを叩くと、誰よりラギィが驚くw


「ヒンクさん!貴方は、確かにアシリの患者だね?」

「初めて会った時から捨てられるとわかってた。みんな僕を捨てるんだ…」

「アシリさんは殺されたのょ。貴方を捨てたんじゃなくて」


横からラギィの援護射撃w


「あぁ!前の妻と同じだ!」

「前の妻?」

「俺が窒息死させた。そう。前の妻にも言われた。貴方の愛で窒息しそうって。だから、彼女は俺を捨てたんだ!」


ん?もしかして…ラギィが急に猫撫で声w


「ヒンクさん。アシリとの最後のセラピーは、どんな感じでしたか?」

「せっかく効果が出て来たのに皮肉だょ。今が1番センセが必要な時なのに、センセがいないナンて…」

「先週、クリニックで怒鳴り声がしたそうですが」


瞬間、遠い目をするヒンク。


「先週の金曜はクリニックに行ってなひ…」

「おい!君は予約してたんだぞ!」

「だから、1時間前にキャンセルしたんだ…」


僕は、引き続き居丈高な刑事役だw


「何?キャンセルだと?」

「急に胸が熱くなって、緊急治療室(外神田ER)に行った。150万円も払ったのに、結局パニック発作だった!」

「胸が熱くなる?150万?」


彼は…狂ってる。早々に切り上げるラギィ。


「もう結構です。ありがとう、ヒンクさん(お大事にw)」

「でも、セラピーのキャンセル料がかからなかっただけ、まだマシだった…」

「まぁ。セラピー代は踏み倒したの?」

「夫とランチするので好都合だったと言ってたょ…」


勝手に立ち上がり、歩き去るヒンク。止める気も起きナイw


「因みに、よくある間違いだけど、センセの死は、彼にとっては皮肉ではなくて悲劇だ。万一、センセの手で彼が治れば皮肉とナル」

「(どーでも良いわw)ソレにしても、火を噴くような取り調べだったわね。何でソンなに萌えてるの?」

「え。何のコト?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


取調室を出たら、カポンが制服警官2人を相手に万札のやりとりをしてるwラギィに気づいて咳払い、警官を追い払う。


「カポン・スキィ、どうだった?」

「アシリのカードから夫婦がランチした場所が特定出来た。従業員が夫婦を目撃してるわ。なぜ覚えてたかと言うと、2人がハデな夫婦喧嘩をしてたから。特に夫のジェソは、怒鳴りながら帰ったって」

「アシリは、夫のジェソに接近禁止命令を出そうとして、友人の弁護士ロシュに相談してたのかしら」


僕は腕組みして唸る。


「こーなると、ジェソのスク水バスケを観てたと言うアリバイも怪しいな」

「プンプン臭うわ」

「ねぇカポン・スキィ」


友人である女刑事を振り向く。


「何?ラギィ」

「ジェソを調べて」

「わかった」


そのラギィの背後から別の女刑事が万札を見せる。頷く僕。


「特に彼の仕事や経済状況をね」

「了解したわ」

「ラギィ、コーヒー飲むか?」

「結構ょ」


僕は、万札をピンピンする女刑事のトコロに逝く。


「私も参戦スルわ」

「大歓迎だ」

「警務課も賭けたいって」


ラギィは捜査本部のホワイトボードの前で、暫く考えていたが、ジェソの写真を遺族から容疑者へ移動。

時系列の"スク水バスケ観戦"のトコロに大きく"?"をつけながら…不意に周囲に鋭い視線を飛ばす。


「げ!」「あわわ」「やべぇ」


ボードを見てた警官が慌てて視線をズラす。刑事や鑑識も蜘蛛の子を散らすように逃げる。逃げ遅れ女子を呼び止める。


「ステナ・グーテ?」

「ラギィ!貴女のホワイトボードの使い方、素晴らしいわ!」

「貴女の推理を聞かせて」

「今、ファイリングが忙しくて…」


この時、署内のざわめきの中でなぜか僕の囁き声が…


「じゃあコレは喜んで僕がお預かりしておくょ」


ラギィが振り向くと、何と僕は万札を集めてる最中w


「テリィたん!」


鬼の形相をしたラギィが、ツカツカと僕の方へ歩み寄るや、僕の手から万札入りの茶封筒を鷲掴みにして取り上げるw


誰も動くな(don't move)!テリィたん、何コレ?」

「ガールスカウトのクッキー代だ」

「そうょ」「そうだわ」「異議なし」


一斉にうなずく警官、刑事、鑑識、掃除のおばさん…


「ガールスカウトクッキーの注文を集めてる。ラギィはどーする?」

「初耳だわ。スピアがガールスカウトに入ったの?」

「そう。実は活動的なハッカーなんだ。アラサーだけど」


ソコへ天恵のタイミングでヲタッキーズ乱入w


「あぁ最悪だわ!」

「どーしたの?」

宝石泥棒(キャッツアイ)の弾道分析がハズレ!レオタード姉妹の音波銃と一致しなかった」


失意(ザマーミロw)のエアリ&マリレに万札入りの茶封筒を突きつけるラギィ。背後で、僕は必死に喉を掻き切る仕草w


「ど、ど、どーしたの?ラギィ、何ゴト?」

「貴女達、殺人事件の捜査で賭博してるのね?」

「まさか!神田明神も照覧あれ!違うわ!」


しかし、神田明神は僕達を見放す←


「全く信じられナイ」

「だから、ガールスカウトクッキーだって」

「テリィたん!ガールスカウトがクッキーを売るのは2月ょ!恥ずかしく思わないの?いい加減にして!」


ラギィは出て逝く。無言で罵り合う僕とヲタッキーズ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


玄関ホールでラギィに追いつく。


「ねぇラギィ!悪かったよ。間違ってるとは思ったけど…」

「ラギィ、信じられないわ!タイヘンょ!」

「カポン・スキィ?あのね。今の私は、ちょっとやそっとのコトじゃ驚かないから!」


僕達に追いついたカポンから特ダネが飛び出すw


「先月、ジェソは妻に3000万円の生命保険を掛けてる」

「げっ!マジかょ?」

「私も賭ける!」


ラギィは、折った万札を僕に押し付けるw


第3章 スク水バスケ観戦


早速ジェソに任意出頭を求める。


「だから!生命保険は妻のアイディアだった」

「そう?ソレを証明出来る人がいるの?」

「ソレは…必ずいるハズだ。えっと、彼女の友達とか…」


たちまち歯切れが悪くなるジェソ。


「奥さんの大親友は、生命保険の話は聞いてないと言ってるわ。ソレどころか、貴方に接近禁止命令を出したいって相談されてる」

「そんな馬鹿げた話あり得ない。我々は愛し合っていた」

「あら。先週の金曜日は例外?」


不倫を責める正妻気取りのラギィ←


「な、なんのコトだ」

「レストランで大喧嘩して、貴方は怒鳴りながら帰ったでしょ?大勢が目撃してるの」

「そりゃ夫婦なんだから喧嘩ぐらいするよ。結婚してんだから当然だろう?アンタ、結婚は?」


グッと詰まるラギィw


「な、何を喧嘩してたの?」

「覚えてない」

「何で覚えてないの?」


僕は、マジックミラーに向けてメモを見せる。


"Beckett is in on the bet.you're toasted"


"ベケットも賭けた。お前らはおしまいだ"昨夜見てた海外ドラマの中でイカした表現があったので、早速使ってみるw


「なんで私達が見てるとわかったの?」

「ソレでラギィは取り調べに(リキ)が入ってるのね!」

「しかし…テリィたんの元カノって、どーして全員わかりやすい性格なの?」


取調室の隣の部屋で、マジックミラー越しにコッチの捜査の進み具合をスパイしていたエアリとマリレが地団駄を踏む。


「私は"地下コロシアム"のスク水バスケの会場にいた!」

「知ってる。そして、一緒にいたのはヲタ友のスキプね?」

「素敵だょな、ヲタ友のために必死に口裏を合わせてる」


旧万世橋駅の跡地に建設された"地下コロシアム"はアイドル系スポーツのメッカだ。スク水バスケのホームでもアル。


「ホットドッグ屋に聞いてくれ。覚えてるハズだ!」

座席番号(シートナンバー)は?」

「どうして?飛行艇に搭乗したワケじゃナイ」

「言えるでしょ?昨日のコトだモノ。忘れたなんて言わせないわ」

「スキプに聞け。スキプがチケットを取った」

「じゃあ1度も席を立ってないのか?ハーフタイムで退屈になって外に出たら席に戻れナイじゃナイか!」

「アンタ、スク水バスケを知らないな?スク水のハーフタイムショーを見ない奴はバカだ…因みに、ホームチームのベンチ近く」


途端に隣室のメイド2人が大激怒w


「プラチナシートだわっ!」

「どんだけ儲けてるの?」

「推しは誰かしら…あら、何処へ行くの?」


立ち上がるマリレ。一方、取調室では。


「離婚を考えたコトは?」

「離婚?何でだ?」

「離婚ょ!り・こ・ん!」


エアリも後を追って隣室を飛び出す。


「私は離婚は考えてないし…妻も殺してナイ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジェソの取り調べを終える。何となく徒労感←


「で、逮捕出来そう?」

「無理だわ。状況証拠しかナイもの」

「家宅捜索の令状でも取ろう」


ギャレーで一服と思ったら先客がいる。


「エアリ?マリレも…TVを見てるわ」

「うーんギブアップしてタオルをリングに投げ入れた?」

「そっか。お疲れ様、ヲタッキーズのお2人さん。何してるの?」


余裕かまして声をかけるラギィw


「昨夜のスク水バスケの試合を見てるの。ほら、今はオンデマンドで見られるから」

「好プレイ続出ょ!…あら、またタイムアウトだわ。3度目?まだ半分も終わってないのに」

「つまり、コレは昨夜の8時前の画像ってコトね」


ヤタラ説明口調のマリレは、リモコンで画像をストップ。

ややっ?画面は両手を挙げ大歓声のジェソのUPで停止w


息を呑む僕とラギィ。ニヤニヤ笑いのメイド達w


「あらぁ?ジェソ・コズイだわ?」

「昨夜の8時には"地下コロシアム"でスク水バスケを見てたのね…あら?もしかして、コレは完全なるアリバイ?どーしましょう」

「テリィたん。メイド服のサイズは6?8?…16かしら」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の"潜り酒場(スピークイージー)"。


珍しく御帰宅ゼロだ。カウンターにクリーニングから戻ったメイド服がかけてある。そっと手を伸ばし当ててみたら…


「テリィたん!」


突然、声をかけられてメイド服を取り落とすw


「わ!わ!わ!スピアか。何だょどーした?」

「テリィたん?今、ミユリ姉様のメイド服を…キモいわ!不潔ょ!」

「確かにキモいが、クリーニングしたばかりだから不潔ではナイ。で、何?」


スピアは、ミユリさんのメイド服を指差し絶句していたが、気を取り直し、エラい剣幕でまくし立て始める。あぶねぇ←


「テリィたん。信じてたコトが台無しになったコトってある?」

「小学校3年の時にエリちゃんのお誕生会で…さては、オエンだな?」

「最悪だったわ」


僕は、スピアと向き合い、深呼吸して受け止める準備。


「何があった?」

「タリナょ」

「誰それ?」

「ど派手なキャバ嬢ょ大きな…」


巨乳の仕草をスルw


「昔、蒲田のお店でオエンを見た、太客だったって。アフターしてたら営業かけて来た。その後は2人で盛り上がっちゃって」

「ソレは残念だったな」

「不思議なのは、オエンったらタリナのコト、全然覚えてナイの。なのに帰り道、こんな偶然スゴいって大はしゃぎだった。まるで…」


結びの文句は僕と異口同音。


「運命だって」

「….私に勝ち目はないわ」

「スピア、元気出せ」


ハグする…このスピアより巨乳?どんだけw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「テリィたん、何処にいるの?!」

「今、エレベーターに乗ってる」

「全く何処へ行ってたのょ!」


捜査本部のフロアでエレベーターのドアが開く。

目の前に、スマホ片手にイライラしてるラギィw


「どーした?何か進展か?」

「"向こう"にね」

「今度はレオタード3兄弟でも捕まえたのかな」

「団子系?でも、随分と熱心ょ」


なるほど、エアリとマリレがハイタッチしてるw


「あ。ラギィとテリィたん!マリレ、どーする?サワリだけでも教えちゃう?幸運のお裾分け」

「そうね。ウチの被害者は、数学教師を定年後に神田山本町でアパート経営に乗り出した。賃貸料は固定。3部屋あって7万円と破格なの」

「ところが、入居した娘夫婦は、その家賃を払えズ滞納、被害者は娘の夫に何度も金を貸し、最近では断ってる…」


万国共通の"金にダラシない義理の息子問題"だw


「あら、電話だわ。もしもし…ホント?直ぐ行くわ。マリレ、行くわょ」

「何だ何だ何だ?CEOに業務報告を怠るな。報連相は仕事の基本だぞ」

「ごめんネ、CEO。後でまとめて報連相スルわ。Ciao!」


ミニスカを翻し、走り去るメイド達。


「何なの?イヤな予感がしてきたわ。事件は解決して欲しいけど…」

「頭を丸めても良いのか?!」

「なんで私まで坊主になるの?」

「だって、参戦しただろ!」

「でも、私も剃るナンて言ってないモン」


問答無用。ウィーンと口ずさみ?ながら、頭を剃る仕草をスル僕。不愉快そうに同じジェスチャでスマホに出るラギィ。


「ラギィ…OK、わかった。直ぐ行くわ」

「誰から?」

「超天才サマからお呼び出しょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「マジ?本人って確か?…そう。じゃ」

「ヤメて、エアリ。聞きたくナイ!」

「バーテン2人とマネージャーが証言したわ。被害者の義理の息子エリクは、午前0時(正午)まで、自分のお誕生日会でバーにいたって。髪を剃るコトになったら、私のツインテ、マリレの頭に載せてあげる!」


その時、検視局フロアでエレベーターのドアが開き、目の前でエアリがマリレの頭を指差し何か騒いでる。ナンなんだ?


「ヲタッキーズ、ナンでココに?」

「テリィたん達こそ」

「僕達は、ルイナに呼ばれたンだ」

「私達もょ」


すると、僕のスマホをハッキングしてルイナの画像←


「私が両チームを呼んだの。2つの事件はつながってる」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


検視局。死体2体を前に神妙な顔の両チームw


「この後、首相官邸で経済対策の策定に向けて予算規模を決める会議に出なくちゃイケナイの。だから手短かに済ませるね。先ず、元数学教師フランの遺体に"オルトケイ酸"が付着してた」

「オールトの雲?」

「いいえ。塩水に含まれる特殊な成分ナンだけど」


"大ヲタク共栄圏"が提唱される昨今、秋葉原D.A.大統領府首席補佐官のルイナは、国の経済会議には必ず呼ばれる。

彼女は、その合間をぬって"趣味のスーパーヒロイン絡みの犯罪捜査"を行っては、僕達を助けてくれているワケだ。


「その塩水の成分ってのがどーかしたのか?」

「塩水に混在する微細な藻まで調べれば、その塩水の由来がわかる。つまり、その塩水がどこの塩水かがわかるってワケ」

「つまり…被害者は海水浴をしてた?ビキニで」


この夏は暑かったからなw


「うーん遺体に付着してたオルトケイ酸は、微量だから海水浴ではナイし、初老男子だからビキニもナシ。でも、問題は全く同じ藻類を含む塩水が精神科医アシリの遺体にも付着してたってコト」

「え。2人の被害者は、同じ場所で海水浴してたってコト?」

「だから、海水浴じゃなくて塩水に接触してたってコトね。ビキニは…アシリってアラサーでしょ?」


ストレッチャーに載せられた2体の遺体を見比べる僕達。


「偶然、同じ藻類が付着スル確率は?」

「生きてる間に同じ指紋の人を見つけるのに等しいわ」

「…どこの塩水かまでワカルの?」

「世界中の塩水のサンプルがあれば照合出来る」


そんなの無理じゃん。学校みたいに挙手スル僕。


「はい、テリィたん」

「付着は少量の水分でもOK?」

「えぇ塩水ならね」


スマホからは明快な回答。


「確か、アシリのクリニックの水槽にニモみたいなクマノミが泳いでた。クマノミは海水魚だから、あの水槽は恐らく塩水だな」

「スゴい。テリィたんの観察力と推理はホームズ並みね!」

「うーん恐らくNIMOってAV女優のせいだわ。麻丘めぐみ似だからテリィ様のストライクゾーンだってミユリ姉様がマークしてた」←


げっ。バレてたかw


「で、で、で、でも、その水槽に手でも入れない限り、両方に付着しないんじゃないのかっ?!(ムダに大声になるw)」

「鑑識が撮った画像を見ると水槽の上の方に塩がこびりついてた。温水が蒸発スル際に空気中に塩分が拡散されてた可能性がアル。確かに、そのクリニックにいた人間なら水槽の塩水が付着していてもおかしくないわ」

「つまり、元数学教師のフランは、殺される前には、あのクリニックにいた?でも、死亡推定時刻を見ると、アシリの方が先に死んでるわ」


戦慄の推理が腐女子…じゃなかった、浮上w


「犯人は、最初からクリニックにいた?」

「塩水の成分は、犯人を通してフランに付着」

「つまり、2人を殺した犯人は…同一人物?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の粗末な応接セット。


アシリの夫ジェソとフランの娘ザベラとその夫のエリク。

ソレゾレに任意で出頭を求めた結果 3人が一堂に会する。


「強盗じゃなかったの?」

「無作為な殺人だと聞いてたぞ」

「ソレが違ったようです。ジェソさんの奥さんも同じ日に殺された。2つの殺人は一見無関係ですが、無関係に見えるように演出された可能性があります」


3人は、ソレゾレ顔を見合わせる。


「私達は、2つの事件のつながりを知りたいのです。先ず、コチラがコズイ夫人です」


精神科医アシリの画像をアンダ夫妻に見せるラギィ。


「コチラがフラン・アンダ氏」


元数学教師フランの画像をジェソに示す。


「それぞれ見覚えはありませんか?ジェソさん、どう?」

「…すまないが、ナイょ」

「お父さんがセラピーに行ったコトは?」

「パパ?ないわ。パパは数学教師ょ?奥様には失礼ですが、セラピーなんてハナから信用してなかったわ」


ザベラ・アンダはキッパリ。ジェソは肩をスボめる。


「なるほど。コチラは、アシリさんの患者リストです。この中に見覚えのある名前がないか、ご確認いただけますか?」

「ナイわ」


一瞥してアッサリ答えるザベラ。ラギィが諭す。


「もう1度、ユックリ見てください」

「おい!ホントに2つの殺人はつながりがアルのか?住む場所も仕事も違うし…」

「言えばいいさ。人種も違うって。俺達はヲタク。自分は一般人(パンピー)だって」

「いいや、ただ単に違いが多過ぎると言いたかっただけだ」


人種問題だ。仲裁も兼ね斬新な視点を提供←


「2人が同じUFOを目撃したり、陰の政府の極秘情報を偶然に知ってしまった可能性もアル」

「あ。つまり、2人をつなぐ可能性は無限にアルというコトです」

「…グロウ・ブナー?」


ザベラ・アンダの素っ頓狂な声。


「え。ザベラさん、誰ソレ?」

「忘れた。でも、この名前に聞き覚えがアルのよね…5年位前だけど、パパがモンスターペアレントから暴行を受けたコトがあって…教育委員会を巻き込む大事件になったの。その時のモンスターペアレントがグロウ・ブナーだったわ!」

「なるほど。令状をとってカルテを見てみましょう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の捜査本部。


「どうやら、被害者の元数学教師フラン・アンダは、教え子が親から、つまり、グロウ・ブナーから虐待を受けていると学校に報告したようです」

「ソレをグロウ・ブナーは根に持ってるのね?」

「YES。結果、グロウ・ブナーは夫婦でセラピーを受けるようになったが、その甲斐なく離婚。離婚訴訟の場で、夫であるグロウ・ブナーに不利な証言をしたのが、精神鑑定を行ったアシリ」


やっと2つの事件が重なる。


「つまり、グロウ・ブナーはアシリに敵意を持っている。彼は今、何処にいるの?」

「5年服役して先月仮出所してます」

「そして、2人の被害者を"繋げた"のか」


ラギィは、僕を見る。


「誰もがつながってるってコトの証明だわ。決して偶然なんかじゃナイ」

「なるほど。人は、人と人の間で、初めて"人間"となる。事件はつながってルンだ。そういえば、賭けはなし?」

「当然」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


東秋葉原の薄暗い裏通り。サイレンは鳴らさズに、しかし、賑やかに赤い警戒灯だけ回転させ入って逝く覆面パトカー。


「やべぇ警察だ」

万世橋(アキバポリス)?」

「逃げろ」


暗闇の中で何事かしていたストリートキッズが、文字通り蜘蛛の子を散らすように覆面パトカーと逆方向へと走り去る。


「2つの事件が一気に解決する記念日ね」

「ハロウィンには未だ早いわ。単なる偶然かもしれないし」

「テンションが下がっちゃうょ。ラギィはマイナス思考だな。事件に偶然はない」


全員が防弾チョッキ、音波銃装備。僕は"SF作家"と白文字で大描きされた、対テレパス用の特注ヘッドギアを被る。


「僕が描く全てのSF小説の基本だ。偶然はあり得ない」


暗い路地裏を完全武装で進む。先頭のラギィが、角を曲がった先で、ドラム缶に腰掛けパルプマガジンを読む男を発見。


「グロウ・ブナーだわ。行くわょOK?…GO GO GO!」

万世橋警察署(アキバP.D.)万世橋警察署(アキバP.D.)!」

「手を上げろ!早く手を上げルンだ!」


全員が音波銃、拳銃、短機関銃、火炎放射器、ロケットランチャーを構えて突っ込む。因みに、僕の担当は擲弾筒だ←


「グロウ・ブナーね?ラギィ警部ょ!」

「な、な、な、何だ?先週、仮出所のミーティングをサボったからか?」

「先週じゃなくて毎週でしょ?せっかく丸腰ナンだから、お風呂に入ってょ臭いわ。で、先週の火曜はどこに?」


素早く身体検査を済ませラギィが"職質"←


「警部サン、こりゃドッキリか?」

「いいえ。貴方は殺人容疑でリアル逮捕されるトコロ」

「火曜の夜、俺が人を殺したってか?」

「ソレも2人」


思い切り大笑いするグロウ・ブナー。


「警部サン。俺はマジシャンか?」


ズボンの裾をめくると…足首に追跡装置。赤ランプが明滅w


「どーだ。かっこいいだろう」

「おっと」

「最新型だぞ。風呂にも入れる」


なら、入れょ。


「いいか?鳴らすぞ?立ち会ってくれ」


闇夜に脚を伸ばすと…追跡装置が鋭く鳴動←


「1週間前に仮出所して、今はこのGPSで見張られてる。俺の世界は、この電柱の手前までってコトだ。誰を探してるのかは知らんが、犯人は俺じゃナイ」


かろうじて、僕はつぶやく。


「…スゴい偶然だな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


朝焼けが摩天楼を染める頃。ヘトヘトになって僕は御帰宅←


「テリィ様、様子が変ですょ?」

「ミユリさん。実は、捜査に確信があったコトが、タダの偶然だとわかったんだ」

「例の殺人事件ですか?」


御屋敷(メイドバー)には僕1人…というより、明け方に僕が無理に店を開けてもらったンだ。ミユリさんはパジャマにカチューシャw


コレは…萌えるなw


「殺された被害者同士はつながってたのに…2つの事件同士はつながっていなかった」

「よく調べれば、アキバにいる誰もが何処かで繋がっています。ソレが、この街の良いトコロですから」

「繋がっているフリも出来るしね」


ダメだな。僕がマイナス思考だw


「そうそう。繋がってるフリといえば、スピアのリアルドラマにも展開があったのです」

「え。あのアフターでのオエン争奪戦か?」

「ええ。キャンプで一緒だったとかいう、スピアをしのぐ巨乳のタリア」


瞬間、探るような目で僕を見るミユリさんw


「あ、あぁ。あの"運命の再会"をしたって奴だっけ?」

「その子、実は蒲田のキャバに在籍したコトはなかったそうです。オエンに近づきたくて、全部でっち上げの捏造をしたんですって」

「そっか。そりゃその子の将来が楽しみだ…」


その瞬間、ハッとスル僕←


「そうだょ。偶然が過ぎルンだ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その足で万世橋(アキバポリス)の捜査本部に顔を出すと…何と全員いるw


「テリィたん。グロウ・ブナー、やっぱりハズレだった!」

「足についた追跡装置のGPSも確認済みょ」

「そっか。今朝、サブスクでゴジラ、地上波でモスラをやってた。やっぱり偶然ってあるんだな…ラギィ、大丈夫か?」


デスクに座ったママ寂しそうに笑うラギィ。徹夜か?


「なぜか今回の捜査、母の事件を思い出すの。被害者フランの娘ザベラは、パパが死んだだけでもショックなのに、私達の捜査は二転三転。遺族は、なぜ殺されたかを知りたいだろうに」


意見を差し控えているとラギィのスマホが鳴る。


「はい、ラギィ…そう。ありがとう。水槽はハズレだって」

「くそ!何で?」

「遺体の塩水と一致しなかった」


どーやら鑑識も徹夜で調べてくれたよーだw


「行き詰まりね。この事件、どうなってるの?グロウ・ブナーには確信があったのに」

「ソッチは、ジェソが犯人で決まりだと思ってた。"義理の息子"のエリクも全力で怪しいけど」

「全員、臭うのは確かだ。絶対に何処かで繋がってるハズなんだがな」


全員で頭を抱える。その煩悩?を断ち切るようにラギィ。


「ねぇ!考え過ぎてわからなくなってきたわ。新たな視点で捜査しましょう。お互いに事件を交換スルの」

「そーね。そーしましょ」

「待て待て待て。待ってくれ。もう1回お願い!」


ラギィの言葉は、初夜の鐘、じゃなかった、除夜の鐘w


「どーしたのテリィたん?私、お互いの事件を交換しましょって言ったけど」

「お互いの事件を交換?ソレって可能なのかな?」

「何のコト?」


小学校時代に図書室で読んだ本を思い出す。


「"見知らぬ乗客"だょ!」

「ヒッチコック?」

「僕のは、少年少女推理小説全集だったけど…有力な容疑者は2人上がっているが、それぞれ完全なアリバイがある。だが、事件はつながってる。つまり、この事件のつながりは犯人達さ」


ラギィは、未だ腹落ちしないようだ。


「ジェソとエリク?」

「YES。彼等は、殺したい相手を交換して殺した。だから、それぞれアリバイがアルんだ。僕達は、被害者にばかり注目してたから全体を見失ってた。なぜなら、犯人が入れ替わってたから」

「ジェソは、10時に"地下コロシアム"を出てる。クリニックから通報したのは11時47分。コロシアムは32丁目、クリニックは18丁目。20分で着くハズなのに2時間近くかかってる。なんで2時間もかかってるの?」


全員がホワイトボードの前に殺到。推理がヒートUP!


「それはさ。その間にフランを殺してたからさ」

「殺害時刻は11時。フラクを殺し、47分後にクリニックへ到着。妻の遺体を発見したと通報?」

「一方、エリクは6時3分退社し、アシリ殺害は8時。楽勝で9時15分にバーに現れ、お誕生会をスタート」

「事件を交換すれば、2人のアリバイは崩れる!」


第4章 結末は偶然過ぎて


ビルから飛び出して来たジェソに声をかける。


「ジェソさん、お時間良いかしら?」

「あ、警部さん。どうも。何か進展ですか?例のアシリの患者が犯人だとわかったとか?」

「いいえ。でも進展はありました」


ジェソの愛想笑いが微かに曇る。


「ほぅ。ソレで?」

「事件当日のコトで質問良いかしら?」

「容疑者は未だいないのですか?」


神経質に口を挟むジェソ。


「今、確認中です」

「今からクリニックを片付けなくてはいけないので、歩きながらでも良いですか?」

「結構ょ。スク水バスケ観戦の直後は何をしました?」


いよいよジェソの顔から笑顔が消える。


「な、何でソンなコトを?」

「別に。時系列を確認してるだけです」

「…未だ僕が犯人だと疑ってる?」


爽やかに首を振るラギィ。


「アシリの殺害は100%疑ってません。ただ、スク水バスケ観戦の直後にクリニックに行ったと伺ったモノで」

「そうだけど」

「では、クリニックまで2時間もかかったのはナゼ?」

「彼女が、未だ仕事中だと思って暇つぶしをした」

「ブ、ブー」


昭和なクイズ番組の不正解ブザーをマネる僕。


「な、何だ?ウソをついたとでも?ソレで闇市の露店に寄ったンだ」

「どこの?」

「7丁目か26丁目だと思う。それから"マチガイダ"でホットドッグを食べたょ」


"マチガイダ"は、アキバの老舗ホットドッグステーションで、僕達のアキバの溜まり場(アドレス)ナンだけど、最近では…


「ソレは"元祖マチガイダ"かな?同じマチガイダって店でも"元祖"と"本舗"と"熱々"と、この近くにも7店舗ぐらいアルんだ」

「ソレ自慢か?…何なんだょ未だ疑われてる気分だが」

「コレも捜査のためです」


畳み掛けるようなラギィの一言。


「その後で一旦家に戻った」

「証明出来る人はいますか?」

「あぁ隣人とか」


頃合いを見て切り上げるラギィ。


「以上ょ。ありがとう」


小走りに走り去るジェソ。その先から汽笛が聞こえ、お台場行きの黄色いフェリーが出航スル。危うく飛び乗るジェソ。


「神田リバーからの"水上バス"だ。お台場行き?」

「塩水の正体を発見したわ」

「みんな水上バスの乗客だったんだ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の捜査本部が黄昏に染まる。


「警部!エリクも水上バスで通勤をしてました!」

「やった!つながったわ」

「ソレだけじゃありません。遺体の塩水と神田リバーの水が一致しました!」


みんなが僕を見る。妄想作家の独壇場だ。


「エリクは昌平橋から、ジェソは和泉橋から水上バスに乗船し、2人揃ってお台場に向かう。2人はいつしか話をスルようになる。きっかけは世間話だった。スワローズのコトとか同じ船に乗るメイドの話だったりする。次第にジェソが妻アシリの愚痴を言い出し、エリクは義父のアパートの話を始める。交換殺人の計画は、人気のない水上バス船尾のオープンデッキで立てられた…」

「ソレで神田リバーの水が付着したのね」

「YES。そして、その成分は、アシリの殺害中にエリクからアシリへ移る。フラクの場合も同様に、フラクの殺害中にジェソからフラクに付着した…」


思う存分、妄想力を発揮し、心地よい疲れに身を委ねる僕。


「ダメょテリィたん。全部、状況証拠ばかり。自白がナイと検事が納得しないわ」

「そーね。自白を取らなきゃ!どっちが先かしら?」

「もちろん、僕達さ。な、ラギィ?」


詰め寄る僕とラギィに一歩も引かないヲタッキーズ。


「テリィたん、そーは行かないわ」

「じゃ賭けは再開だな?」

「えぇ再開してやろうじゃないの!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


左右を警官に押さえられながらも、堂々と取調室に入って逝くジェソ。同じく警官に挟まれたエリクと出くわして驚く。


「あら。スゴい偶然ね」


はしゃぐラギィ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


取調室のジェソは強気だ。


「フン。そんなふざけたホラ話、裁判員は信じない」

「裁判員は賢いわ」

「裁判は、それぞれ個別に行われる。私は、何のつながりも動機もない殺人罪で裁かれる。その複雑な事情を、裁判員は理解出来るかな?」


鼻で笑うラギィ。


「ふーんソコまで考えてたんだ」

「確かに面白い仮説だが間違いだ」

「水上バスでエリクと約束したんでしょ?自白するな、自白さえしなければ、自分達の罪は、絶対に証明されないって」


鼻で笑い返すジェソ。


「エリクとは初対面だ」

「毎朝、同じ水上バスで通勤してルンでしょ?」

「そんな奴100人といるょ」

「主犯は貴方ね?」

「何だソレ?ウマいのか?」


微かに動揺するジェソ。


「共謀の場合、必ず主犯がいるの。従順なエリクは、主犯にとっては都合の良い性格だわ。でも、妻のアシリは従順じゃなかった。彼女は、プロ意識の高いセラピスト。決して言いなりにはならない」

「じゃ何故ソンな女と結婚した?」

「ソレは、貴方が毎日、自分自身にスル質問。ソレで気づいた。妻はいらない。ペットで充分」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


一方、取調室のエリクは弱気だ。


「野心のある検事に当たるとやヤバいわょ」

「直ぐに死刑になっちゃうの」

「秋葉原D.A.の場合は、薬物注射ね」

「でも、自白すれば話は別ょ」

「そりゃ誰だって余計な裁判はしたくないモノ」

「終身刑で済むわ」

「裁判長も別の奴でポイントを稼ぐコトを考える。例えば、ジェソとかね」


エアリとマリレの延々と続く切れ目の無いマシンガントークに、我慢が出来ずに、根を上げるエリク。もうヒト押しだ笑


「俺にだって黙秘権がアル!だから、その飴と鞭の態度はヤメてくれ!」


その時、ドアがバタンと開き、両手は万歳、喜色満面の僕とムーンライトセレナーダーに変身したミユリさんが現れるw


「相棒のジェソが全部吐いたわ!」

「あぁ姉様、何てコト?ヤメてょ!」

「主犯は、貴方だって供述書にサインをしてる。賭けは私達の勝ち。賞金はもらったわ!」


エリク・アンダが"落ちる"。


「おい、待ってくれ!待て待て!…俺じゃナイ。全てジェソのアイデアなんだ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


左右を警官に押さえられつつもエリクに襲いかかりそうな勢いのジェソ。同じく警官に護られるように挟まれたエリク。


ソレゾレ連行されて逝く。


「エアリ、貴女は最高にクールだったわ」

「貴女もね。アイスマリレ」

「お見事だったわ。ムーンライトセレナーダー」


ギャレーでラギィも合流。


「主犯より容易だと思って従犯から先に落としたのね?セオリーどおりだわ」

「私達も、ミユリ姉様が来た瞬間、演技してると見抜いた。お陰で私達もソレに合わせて演技が出来たわ。ね、マリレ?」

「YES。私達もみんな見抜いて演技をしたのょ」


ラギィもエアリもマリレも、みんな強がってるw


「あらあら。今回は全員"僕らはウソつき"なのね」

「エアリとマリレがホンキで悔しがったから、エリクは信じたんだと思うぞ」

「もーどっちでも良いわ。賭けは私達の勝ちだから」


おや?エアリとマリレがハイタッチしてる?


「おいおい。どーしてそーなルンだょ?」

「当然でしょ?自白させたのはコッチだモノ」

「ん?自白に追い込んだのは私達だけど…」

「ミユリ姉様。ソレはサッカーで言うトコロのオウンゴールって奴ょ。つまり、私達の得点になります」


わかったような、わからないような、微妙な顔をするムーンライトセレナーダー。僕を見るので、もう一押ししてみる。


「とにかく!サッカーは良くワケラナイけど、野球なら僕達の場外ホームランだ!」


慣れないバッティングポーズをスルとミユリさんがボールが飛ぶ仕草に手をヒラヒラさせて合わせる。さすがメイド長。


「でも、ソレは私達の攻撃の回だった」

「エアリ、そのぐらいになさい。貴女達は、怖がってバスを降りてなかったの」

「でも、姉様。バスを運転してるのは私達でした。そして、夜空にはキレイなブルームーン」


どーでも良いやと最後尾を歩いてた僕に、ムーンライトセレナーダーの変身を解き、メイドに戻ったミユリさんが囁く。


「私のメイド服の匂いを嗅いでおられたとか」

「えwいやなに脱がす時に手間取らないようにと思ってさ」

「そうですか。素敵です、テリィ様。うふっ」



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"ブルームーン"をテーマに、サイキックの精神科医、元数学教師、共謀の主犯に従犯、その妻、親友の弁護士、メンタルクリニックのユニークな患者達、敏腕警部の同僚達、スク水バスケのヲタク、営業熱心な巨乳、監視装置を足首につけた男、殺人犯を追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズに敏腕警部などが登場しました。


さらに"人生に偶然はあるか"をテーマに元カノ会長の恋路を邪魔する巨乳なども描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、今や我がモノ顔で歩くインバウンドに埋め尽くされた秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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