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非霊感少女の視る世界  作者: くだか南
9/10

12.

12.


信号はすでに変わり、吉岡先生と奥さんが乗った車は、もう視界から消えていた。

香那実に囁かれ、あの車を見た時、思わず声が出そうになった。

あの車の中には、何もいなかった。

ソレは、車の外にいた。

ボンネットの上、運転席に被さるように、フロントガラスに貼り付いていた。

赤黒い、ナメクジのようなドロリとしたモノ。

ジュクジュクと、全身から赤い液を流して、フロントガラスを汚していた。

ソレは、黒いモヤのようなモノ抱いていた。

黒いモヤは、目玉があって、助手席の方をじっと見ていた。

とても怖いモノだった。

とても哀しい色をしていた。

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