表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非霊感少女の視る世界  作者: くだか南
6/10

8.

8.


「で、何か見えてんだろ、な?」

「なんの事だか」

香那実はナントカフラペチーノを私の前に置いた。

場所は外資系のコーヒーショップの端っこ。

2人掛けの席で、私と香那実は向かい合っている。

「まあまあ、ダークモカチップフラペチーノ飲みねえ、私の奢りだ」

「それは、ありがとう」

「で、吉岡に憑いてる高原さんの怨霊とか、見えてんだろ?私だけに話してみろよ」

「唐突だな、なんでそんな事になるんだよ」

「いや、だって、高原さんの生き霊が、吉岡を見てたんだろ?お前の霊力の成せる技だろ」

「霊力!新しい用語を添えるなよ」

「まーまー、で?」

「じゃあ、私の目に映った、本当の事を言うよ、吉岡先生には何も視えない」

「マジで?」

「マジで」

「じゃあ、高原は誰に殺されたんだよ?」

「お前、先生を殺人犯に認定してたのかよ、よそでは言うなよこんな事」

香那実は無言で腕を組んだ。

下になった右腕の指先が、こちらに爪を向ける。

「香那実、爪、キレイになったね」

瞬間、香那実が笑顔になった。

「分かった?ちょっと気分変えようと思って、ネイルサロンでハンドケアしてもらったんだ、やっぱ爪を磨くだけでもプロは違うね」

香那実は顔の近くで手を広げる。

笑顔が眩しい。

犬の件から、まだ暫くは、沈んだ色だったけど、最近では明るく、解放されたような色になっている。

香那実は笑顔で話し続けている。

とても、魅力的な、キレイな顔。

それこそ常人離れした、整った顔だ。

俗な言い方をすれば、モデルさんのような美しい顔をしている。

黙っている時も、口元に、あるかなしかの微笑みを浮かべている。

修学旅行で見た仏像のような。

優しい微笑み。

背中まで伸びた長い黒髪が、艶やかで眩しい。

真剣な表情は凛々しく、しかし次の瞬間には大口を開けて屈託なく大笑いする。

誰からも好かれる、誰もが憧れる存在。

香那実と向き合うと、何故、私のような、ちんちくりんの、くせっ毛の、野暮ったい顔の障害者と仲良くしてくれるのか、いつも不思議に思う。

だから私は、香那実の隣に居続けたい。

その笑顔を、すぐ隣で見ていたい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ