1/10
1.
(「あがき」と言う名の「あとがき」で、、、
1.
「何々、また霊でも見えてるの?霊感少女」
放課後、香那実が話しかけてきた。
「だから、私に霊感なんて無いし、そもそも霊もいなければ、霊感なんてのも存在しないって、何度も何度も言ってんだろ」
私は面倒くさく答える。
「いや、だって、実際何か見えてんでしょ?常人には見えない何かが?」
「常人とはけったいだな、確かに私には何かが視えてるけど、それは、私の脳と左目の障害のせいだよ」
私は紫外線カットの眼鏡をずらして、右目を閉じて、香那実を見上げる。
「その障害で、霊が見えるようになったんじゃないの?」
「いやいや、私だけにしか視えてないんだから、私に原因があるって方が、合理的だろ、ちゃんと脳と左目に障害があるんだし」
「あ~、ロマンが無いなあ、沙咲良は」
「人の障害をロマンで美化しないでくれ」
「でも、何か見えてたんでしょ?社会の授業中、やたら窓際の方を見てたよ」
(見られていたのか…)
「じゃあ、帰り道に話してやるよ」
私は立ち上がり、カバンを持った。