ワールドカップ
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リポーター:世界中を熱狂の渦に巻き込むサッカーワールドカップがここケニアで行われています。
そしていよいよ今夜日本は開催国ケニアと対戦します。
我々は昨日ケニア代表主将のロッカ・ロンガ選手にインタビューすることができましたので、ご覧下さい。
ナレーター:前回大会、日本はフェアプレーポイントの差でグループリーグを勝ち抜きベスト4に進出、今回はそれ以上の成績を狙うがその前に立ちはだかるのがアフリカの雄・ケニア!
ロンガ:それまでの日本に対する印象はチームに規律があり身体的にも俊敏性に富んでいる手強いチームというものだった。現に四年前、グループリーグで対戦した際俺たちは本当にいい勝負をしたし、試合後はスタジアムの観客が両チームを讃え俺たちもまたお互いの健闘を讃え合いグループリーグ突破を誓い合った。だがその後あいつらはまるでライオンを狩りに行こうと誘っておいて森へ行ったら俺1人だった(※字幕注 日本ではテスト勉強してないよね?うん、してない。と言いつつちゃっかり勉強して良い点を取る友達のような意味)
のような行動をとったんだ。たとえルールとは言え俺たちの国ではそんな事は絶対にしない。日本がグループリーグを突破したと聞いたときそしてその戦術を聞いた時はマジでありえないと思った。結果的に俺たちはグループリーグで敗退したが、その悲しみより日本の戦い方を心底軽蔑したよ。それ以来日本に対する印象は小賢しいと言うものに変わった。日本で小賢しいというのがどのような受け取られ方をするのかは俺は知らない。だが俺たちの国では男じゃないと言われるようなものだ。だからこの4年間俺たちは常にボールを狙い続けるサッカーをしてきた。ある意味日本が俺たちのアイデンティティーを確固たるものにしてくれたように思う。俺たちは止まらない。常に獲物を狙いつつ息の根を止めるまで戦う。そう、やるか、やられるかだ。今回奇しくもまた同じグループで日本と対戦することができとても喜んでいる。今回は紛れもなくリベンジマッチだ。1-0なんて試合はしない。怒りに目覚めたライオンが日本の奴らに本当のサッカーを教えてやる!サッカーはボールを蹴ってゴールに入れる競技だ!あいつらが泣いても足を止めてもゴールにタマをぶち込み続けてやるぜ!
インタビュアー:
非常に強い決意を感じるお話ですが、日本も4年前より強くなっていると思います。何か対策はありますか。
ロンガ選手:
もちろん。俺たちの日本に対するイメージはクレバーで抜かりなく決して油断ならない相手だ。正直前回奴らが取った戦術は俺たちの誰もが想像もしなかったものだ。ある意味奴らはサッカー界の革命児だ。
奴らがなぜこのような悪魔的な手を思いつくことができるのか…うちの監督はこう言ったよ。「川に逃げ込んだシマウマはもう二度と陸に上がれない。」(※字幕注 絶対絶命、つまり日本に勝ち目はなかったはずという意味かと。)だが俺には1つ思い当たるものがある。
まず日本と言う国は他のどんな国よりもクレイジーだ。何もかもが違うんだ。俺はサバンナで生まれ育ち15でヨーロッパへ渡りプロサッカー選手として世界中を見てきた。俺の中ではアフリカはほぼ同じだ。ヨーロッパもそう。アジアも広いが大まかに分ければほぼ同じようなものだ。だが日本だけは全く違っていたんだ。俺はある日日本での試合を終えレストランへ行った。そこで料理を注文し待っていたところやけに賑やかな音楽が聞こえてきた。君は日本人だからわかるだろうが日本では公共の場が静かなため音楽が聞こえることはとても珍しい。普段の俺だったらどこでどんな音楽が鳴っていようが気にもしないがやはり日本で音楽を聞くと、「なんだこの音楽は」と気になって反射的に顔を上げた。するとテーブルの間を音楽を流しながらロボットが俺の料理を乗せてこちらへ向かってくるんだ。しかもそのロボットは、猫だ。俺はもうそいつから目が離せなくなっていた。一体ここで何が起きているんだと。そのロボットは俺の机の横に止まりお料理が届きましたと言った。もうその瞬間俺はこいつに夢中になっちまった。キュンですと言う言葉を知っているか。あの時の俺はまさにキュンです。
日本で体験する様々な出来事はそれまでの俺の世界をぶち壊す。そして新しい世界を見せてくれる。日本はいつだってそうだ。今回のワールドカップでも日本は何かしてくるだろう。対戦相手の1人として警戒している反面、一体何をしてくるのだろうとワクワクしているのも本音だ。明日は世界中が注目する試合になるだろう。