さぁ、探索者になってみよう! ②
「そこを何とかお願いしまーーす!!」
「…………さ、流石にダメです」
「どうして何ですか!? 昨夜はあんなに『熱〜い夜』を過ごした仲じゃないですか!?」
「ちょっ!? してませよ!! 貴方、良くもまぁそんな嘘をつけますね!?
───て、ていうか。そもそもの話………私が許可を出せない理由は貴方自身が1番分かっていまよね?」
探索者ギルドの中身は以下にもこれ以上の出来前はない! と、思うような内装。
そして、カウンターに居る受付の女性がジト目で光星を見ている状況が現在進行形で続いていた。
え? 俺が何をしているかって? 勿論もう探索者の登録は済ませた。だが、これは盲点だったな………
「上下ジャージ姿に木刀1本でモンスターと戦うなんて、馬鹿を通り越していっそ清々しい程のアホなんじゃないですか!?」
「いや、俺だってアホという自覚はありますよ! けどですね、貴方も見ましたよね俺の履歴書!」
光星は頭をグリグリと地面にこ擦り付け、人前をお構い無しに土下座を許されるまでし続けていた。
………プライド? はて、そんなの美味しいのか? そもそも男は黙って土下座だろ!!
「……………………はぁぁぁあ。分かりました、しかし条件が2つあります。
───1つ目は、無理してモンスターと戦わない事。まぁ、死んでしまったらお金を稼ぐも何も出来ませんからね。
───そして2つ目は、ちゃんとした装備が揃うまでは必ず1階層だけしか探索をしないでください。
………ていうか、貴方聞いるん………です……か?」
光星の目の前にいる受付の女性───高橋凪々はメガネをグイッと上げ人差し指を立て付け、丁寧に規則を結びつかせていた。
だが、規則を言い終えようとすると同時に前を見た瞬間、光星は探索者ギルドの出口へと時間が惜しいのか全力ダッシュをしているのが遠くから良く見えていた。
「はぁぁぁぁぁあ。へ、変な人が探索者ギルドに来てしまいましたね」
人知れず人生で過去1番のため息を零しながら、先程、登録の為に貰った資料を片付けようとした時、ふと視線がある所に留まった。
「『藤原光星』? 何処かで聞いた名前でしたが………何処ででしたっけ?───」
「凪々ちゃん! 今、向こうのヘルプに行ってくれるかしら?」
「えぇ、了解しました。すぐに行きます!」
後に、探索者ギルドの会長の知り合いであった、という事を凪々が知ったのは1、2週間先の話であった。
も、ものすごいフラグ匂が立ってしまってるぞ!?