ラスト
……出来ればこの大成功、昨晩頑張ってくれたエレミーにこそ見せたかったな。
そう思いながら辺りを見ていると、いつの間にか部屋の隅の方で給仕のために待機していたメイド達に混じって、同じくメイド服を着たレフィーとエレミーの姿があることを発見する。
「あっ」
……そっか、あの後二人でこっちに来てたのか。
僕の視線に気付いたレフィーが、ニタリと口元を歪めた。
そしてエレミーがコソコソと部屋の隅を通り、僕の隣にまでやって来る。
「ナギ」
「来てたんだね」
コクリと頷いてから、エレミーが言った。
「ナギは魔法使いだね」
「えっ? いや、知っての通り僕は魔法なんて使えないけど?」
「使える」
「使えないよ」
「今使った」
「使ってないよ?」
「使った」
一向にその主張を曲げる様子の無いエレミーが、突然ニッコリと微笑んでから言う。
「みんなを笑顔にする魔法」
「……」
改めて周囲を見回すと、高官達だけで無く、メイド達も笑顔ではしゃいでいた。
セバスも、チェルシーも。
そしてこの大騒ぎの中、丁度イズ王とエリュシカが笑顔で握手をする場面を目撃する。
……そっか、これが僕の魔法なのかもな。
だとしたなら、なんて素敵な魔法だよ……。
――って、恥ずかしい台詞禁止っ!?
更にエレミーがとんでも無いことを告げた。
「あと朝はお姫様抱っこ、ありがと」
「おっ!? ……起きてたのかよ」
「秘密ー」
「いやいや……まったく」
僕がエレミーから顔を背けると、今度はエリュシカと目が合う。
その瞬間彼女はパチリと、小悪魔のような笑顔でウインクを寄越した。
……生意気な。
ガキが女の顔をするんじゃないよ。
……さ、そろそろ醤油の仕込みも次の工程に移っていい頃合いかな。
っていうか移らないと……。
寒天を作るために必要な天草も今の内に探さなきゃだし、今からやることが山積みだ!
ああ忙しい忙しい!
休んでる暇なんて無いぞ!
こうしてプレッシャーすら力に変え、仲間達から助けられながらも、僕はこの国の存亡と大陸平定への道のりに大きな貢献を果たした。
だが今回のことも、まだまだ始まりにしか過ぎない。
これからも僕はサラーガ以外の国々の、その長達と和菓子を通して代理戦争を行っていくことになるのだ。
これはジョジョで言ったら所詮は第一部だし、ラノベで言ったらまだ一巻程度のもの。
僕らスイートナイツのナイフォン救世伝説は、まだ始まったばかりだ!




