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異世界甘味処 木の実  作者: 兼定 吉行
重圧、苦悩、終局
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縁の下の力持ち

 タイムリミットは残り一日。

 この日ばかりは店を臨時休業させて貰い、僕は朝から目一杯重曹を使った仕掛けのバランス調整に勤しんだ。

 今日だけで幾つの試作品を作っただろうか。

 その成果の結晶。

 ついに明日の会談に出すための和菓子が完成する。

 それを見たエレミーが訊ねてきた。

「それ、凄い綺麗。……出来た?」

「ああ、出来たよ! 今日は久し振りにたっぷり眠れそうだ」

「そっかー」

「試食してみる?」

「するー」

「失敗作もメニメニあるけど?」

「全部食べる。メニメニ食べる」

「オーケイ! じゃあ後片付けは任せたよ」

「任せろー」

 そう言って彼女がポンと腹を叩く。

「じゃあ僕はまだ早いけどもう寝るよ。おやすみエレミー」

「おやすみ」

 これで会談がうまくいけばいいけど……。

 そう願いながらベッドに入り、僕は目を閉じた。

 するとすぐに意識は薄れ、夢すら見ない程の深い眠りにつく。

 そして瞼に強い朝の日射しを感じて、気持ちよく目が覚めた。

「……んん、いい朝だ」

 久し振りに熟睡出来たなぁ。

 スズメも元気にチュンチュン鳴いてらぁ。

 さ、帝都に向かう支度をしようか。

 ベッドから起き上がり、部屋を出ようとドアノブに手をかける。

 しかし……。

「……あれ?」

……開かない。

 ノブは回るのだが、どうやら表で何か物でもつっかえているようでドアが重く、何回やっても何回やってもどうしても開かなかった。

……詰んだ、出れない。

 これぞホントの詰ん出れ(ツンデレ)……とかバカなことを考えている場合ではない。

「このっ!?」

 体勢を低くし、全体重をかけてドアを押す。

 するとドアはズズッと動き、その後一気に開いた。

 同時につっかえていたものがゴロンと床に転がる。

 それを見た僕は心臓が止まりそうになった。

――ヒィッ!? 

 しっ、死んでるっ!? 

 そこにあったのはエレミーとレフィーの二つの死体……かと思われたが、よくよく耳を近付けてみるとちゃんと静かな寝息を立てている。

……よかったぁ。

 危うくこの家が大島てるに載るとこだった……。

 ホッと胸を撫で下ろした僕は、あることに気付いた。

……ん? 

 二人の服が、所々破けているじゃないか……。

 その理由を推察した時、なぜ彼女達がドアに張り付くようにして眠っていたのかを理解する。

……そっか。

 この間の刺客みたいに、僕の知らない内に何者かの襲撃があったってことか。

 それをこの二人だけで対処して……。

 ケガは無さそうだけど、こんなボロボロになってまで……。

 僕が何も気付かずに夜ぐっすりと眠れていたのは、コイツらの頑張りのお蔭だったんだな。

 だったら僕はこの二人の陰の努力に報いるためにも、精一杯頑張らないと! 

 その後二人をなんとかこの細腕で持ち上げてベッドにまで運んでから、僕は気合いも充分に帝都へと向けて一人出発した。

 そこでセバスの部下のメイド達に、調理場まで案内される。

……よし、やるぞ。

 聞いていた通りに予定をこなしているならば、僕の作業開始とほぼ同時刻にエリュシカとイズ王の会談が始まっているはずだ。

……お互い頑張ろうな、おチビ姫! 


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