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異世界甘味処 木の実  作者: 兼定 吉行
重圧、苦悩、終局
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ひらめき

 とにかくこれでサラーガの国の内情や、イズ王の人となりも少しはわかった。

 それらの情報は会談のための茶菓子を作るために、とても重要なことだ。

 ありがとう、レフィー。

 骨折の件は絶対に許さないけどな。

 こうしてぼんやりとだが、何かを掴みかけているような感覚が僕の手に宿る。

 でも後もう一つくらい、新たな何かが必要だ……。

 翌日の仕事中。客が途切れたタイミングで、僕は従業員達にこんな話を振った。

「ねえ、みんな」

 エルシー、エレミー、ミルキー、フィーレの視線が一斉にこちらを向く。

「例えばの話だけどさ、もし世界に雨が降らなくなったらどうなると思う?」

 フィーレがジト目で僕のことを見てくるが、気にしない気にしない。

 例え話だから許せ、レフィー。

「喉が乾いて死んじゃう」とエルシー。

 ミルキーは「日々の鍛練でかいた汗を、軽い気持ちでは水で流せなくなるな」と、思いきりチェルシー目線で語った。

 キャラ忘れんなリアクションに困るわ。

 そしてエレミーは「雨が?」とおうむ返ししてくる。

「うん。雨が降らなくなったら困ることは沢山あるだろうけど、エレミーは何が一番困る?」

「んー」

 ぽけーっとした顔で天井を仰いでから、彼女は意外なことを訊ねてきた。

「花も枯れる?」

「当然そうなるね」

「……紫陽花が見れないのは寂しい」

「そっか、そう言われるとそうだね。紫陽花が見られないのは寂しいよね」

「うん」

 いつもは食べ物とち○ぽのことばかり考えてるくせに、しおらしいことも言うじゃないか淫夢の亜人ちゃん。

「紫陽花かぁ……」

 僕がそう呟くと、突然ミルキーが思い出したようにこんなことを言い出す。

「そういえばサラーガの国花はハイドランジアだったな」

「えっ」

「国にはそれぞれ定められた国花というものがあるのだ。我らがイド帝国は誇り高き白ユリ。貴様も皇家の紋章くらい、目にしたことがあるだろう? そしてサラーガの国花はさっきも言った通りハイドランジア……紫陽花なのだ」

「いや、だからキャラ……」

 僕のことも店長じゃなくて貴様とか言っちゃってるし……って、待てよ。

 これは……。

「紫陽花……それにユリか……」

 その時、一筋の閃きが脳裡に走る。

 もう、これしか考えられない!

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