もう普通に強い
僕は先程からずっと気になっていたことについてエレミーに訊ねた。
「……あのー、ところでエレミーさん?」
「ん?」
「あなたのチャームが効いて無いのか、まだ立っているヤツらが二人程居るのですが?」
「もちろんチャームは女には効かない」
「いや、男も一人居ますが?」
「ホモにも効かない」
「あ、そういう……」
「もうちょっと成長すれば、男女中性関係無く魅了出来るかもしれないけど、とにかく今は無理。私まだ処女だしキスもしたこと無いし、正直なところチャームの力に関してはサキュバスの中では最弱クラス」
つまり結局状況は、僕達のピンチのままってことじゃ!?
「それを先に言えポンコツゥーッ!? ってか僕のことをどっ、どどっ、どどど童貞とかバカにしといて、エレミーも処女なんじゃん!」
「仕方ないだろー。それとも私にハレンチなことをさせる気かー?」
「しろよっ! サキュバスだろっ!?」
「……確かに」
「気付くの遅っ!? いやそんなことよりも、この状況をどうするの!?」
こっちの手の内をコントのように明かしてしまったことで、残った刺客二人の殺る気スイッチを既にポチッてしまっている。
「まあ落ち着けナギ」
「落ち着けないよ!?」
「チャームに頼らずとも、こうなった私は十分に強いんだ」
本当かよ……。
そんな僕からの疑いの目を気にする様子もなく、簡単そうにエレミーはこんなことを言ってのけた。
「私達サキュバスはヴァンパイアやエルフのように魔法は得意。上級魔法だって容易く扱える。例えばこんなものとかな……」
エレミーが片手を女暗殺者に向かってかざして呟く。
「鎌鼬の輪曲」
すると彼女の体は、真空により生じた無数の刃でその身を切り刻まれた。
服はボロ切れと化し、艶かしい体が露になる。
「おおっ!?」
僕はもう本日何度目かになる驚きを、飽きもせず繰り返した。
なんてエッッッ……恐ろしい魔法だ!
エレミーは冷静に説明する。
「今のは風属性の単体最強魔法。力はセーブしたけど」
更に彼女はこんなことも言い出した。
「それに体術だって質量を増した筋肉と鋭い爪、それに羽による立体的な高速移動でパワーアップしてる。見てて」
ヒュッという風を切る音と共に飛び出し、一瞬の内にホモへとLGBT無差別平等コンボアタックを打ち込み、あっという間にボコボコにのしてしまう。
まさに電光石火。
ぴっ(P音)かちゅーっ!
「どう? これがサキュバスの本気」
速過ぎて何も見えなかった……。
「……」
……先程の発言は撤回しよう。
チャームに頼らずとも……ヴァンパイア程では無いにしろ……それでもサキュバスは、十分過ぎる程に強いッ!




