成り上がり
「お前の作った菓子を食べた際のヤツらの顔を見たかナギよ!? 感動の声を聞いたかナギよ!? あのザイオンの高官すらも目を剥いて驚いておったぞ!? 傑作だ! 私も鼻が高い!」
会談終了後、僕とエレミーを部屋に呼びつけたエリュシカはご機嫌でそう語った。
どの人がザイオンの高官だったのかはわからないが、僕の和菓子も認められ、エリュシカにも喜んで貰って何よりだ。
悩んだ甲斐があったってものだな。
「これも姫殿下が立派なキッチンを用意して下さったからです」
僕が礼を言うと、エリュシカは顔を赤く染める。
「そ、そうか、気に入ってくれたか! うむうむ」
その様子を見ていたセバスも、満足そうに微笑んでいた。
ティータイム後に行った会談の続きでは、調子を取り戻したエリュシカが優位に立って話を進められていたと、セバスからも感謝される。
ここまで明確に誰か人の役に立つということは、今までの僕の人生では無かったことだ。
それも一つの国の命運に関わることなら尚更だろう。
「今回の働きに見合った報償金も既に用意してある」
上機嫌なエリュシカはそう言うと、指をパチンと鳴らした。
するとセバスが何やら、布で覆われたお盆のようなものを僕の目の前に置く。
「これは?」
そう訊ねると、セバスが布を取り去った。
そこにあったのは、皇家の紋章が入った金の延べ棒三本。
ギョッとするのを通り越して、僕はギョギョーッとしてしまう。
「お、黄金の鉄の塊(意味不明)でギョざいますねっ!?」
この発言に近くに居たチェルシーが、軽くキレながらこう言い返した。
「鉄など入っているものか! 間違いなくそれは混じりっけ無しの純金だ! 皇家の紋章が目に入らないのか!?」
目ニハ入リマセーン!
――とか冗談でも言おうものならぶっ殺されそうなので黙っておく。
それにしても……。
僕はこの世界に来た初日のことを思い返していた。
最初は金貨三枚を投げて渡されたというのに、今では延べ棒三本か……僕も随分と成り上がってきたなぁ。
この調子でイドを大陸一の国に押し上げて、さっさと元の世界に返して貰うぞ!




