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異世界甘味処 木の実  作者: 兼定 吉行
帝都へ、指導、好機
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ナギ、行き詰る

 何を出すべきか……。

 夏らしいもので、並大抵ではなく、見た者の度肝を抜くようなインパクトのあるもの……。

 すぐに頭に浮かんだのは泳ぐ金魚を中に閉じ込めた錦玉羮(きんぎょくかん)

 これならば季節にも合ってるし、必ずや各国の高官にも驚いて貰えるはずだ。

 しかしそこには、大きな問題があった。

 錦玉羮を作るために必要な、寒天が無いのだ。

 葛を使って代用しようにも、透明度が寒天程は無いから錦玉羮に厚みを出せない……。

 葛切りのように薄く細くするか、葛の透明感を活かすには、葛餅のように餡を薄く包むか、そういう使い方でしか透明感を使えないという問題があった。

……ならいっそのこと、ゼラチンを使おうか? 

 一瞬そんな考えも過ったが、それは自分自身が一番許せない妥協の仕方だったため、即座に却下する。

……ダメだ。

 錦玉羮はいいアイディアではあるんだけど、実現出来そうもないな……。

 他の何かを考えなきゃ……。

 睡眠不足による疲れの蓄積から、寝ている間に下半身が子孫を残そうと逆に元気にでもなっているのか、いつもの三割増しくらいにプレイ内容がえっちな夢を連日見続けた。

 夢の中で童貞の僕が到底知り得ないような性技を使い、あの手この手で搾精を行うエレミー似のお姉様。

 僕は断じて、断じてロリコンでは無い……はずなのだが、もしかしたら無意識の内にエレミーに劣情を抱いているのだろうか? 

 寝起きでエレミーと顔を合わせる度、気まずさプラス照れ臭さのようなものを覚えてしまう。

 うーん、インモラル。

 そんな僕の気も知らず、エレミーはマイペースにいつも通り寝ぼけ眼の、すっとぼけたような顔をしていた。

 この仕事は朝が早いから、お子様には仕方ないか。

……いやまあ、僕も元の世界の基準では十分に子供なんだけれども。

 早朝に商品を作り、売り場に展示。

 営業開始後は和菓子作りと接客の両方もこなす。

 そして夜は翌日の仕込みと、問題の会談用茶菓子をどうするかの思案。

 しかしいいアイディアも出ないまま、更には体も心も休まらないまま日にちばかりが過ぎていく。

 僕は完全に悪循環に陥り、行き詰まっていた。

 その上会談までもう二日しか無いというタイミングで、エレミーが突如こんなワガママまでも言い出す。

「ナギ、休みが欲しい」

 一瞬「こんな時に何言ってんだコイツ」と憤ったが、確かにまともな休みはこれまであげていなかったなと、逆に反省させられた。

 定休日も決めておらず、店を休む時は帝都で別の仕事をしている時で、あんなものは到底休みなんて呼べない。

「……わかったよ、明日は休むといい」

「うん」

 エレミーが居なくては客を捌き切れないので、必然的に店も休まなくてはならなくなる。

 だがそれも仕方ない。

 いや、むしろいい機会なのかもな。

 僕も根を詰め過ぎていたんだ。

 そんな状態じゃアイディアだって浮かんでこないはずさ。

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