再度城へ
少々不安は残るが店を数日間臨時休業にし、イドの帝都への入り口である城壁の門へまでやって来ると、あの僕に金貨を三枚投げ寄越した門兵が、こちらに目を合わせないように気を付けで天を仰ぎながら言った。
「ナギ様とお連れのエレミー様とお見受けしました! 許可は下りています、どうぞお入り下さい!」
おやおや?
僕に気付かなかったフリで通す気かな?
でもそうはいきませんよー。
僕は門兵の顔をしつこく覗き込む。
「あれれー、どこかで見た顔だなー」
すると彼は水魔法でも食らった後のよう、顔中にブワリと大量の汗をかいた。
その上訊いてもいないことを語り出す。
「自分はァッ!?」
あっ、声裏返った。
「本日付でここには配属されたばかりでありまぁす!」
「STAP細胞はあります」みたいな言い方で無理のある嘘を吐く門兵。
……ま、これ以上いじめてやるのはやめて差しあげようか。
最後に僕は大事な店の売上金、金貨三枚を門兵の足元に放ってやった。
金貨は「チャリンチャリン!」と石畳の上を跳ねて散らばる。
それを見て青ざめる門兵に言ってやった。
「お仕事ご苦労。それは僕からの労いの気持ちだから遠慮無く受け取りたまえ。無能君」
しっかりと復讐していくStyle。
土下座させないだけまだ優しいよなぁ?
門兵は氷系魔法でも食らったかのように、表情を強張らせている。
いい気味だ!
こうして因縁の帝都へと、僕は舞い戻った。
美しい石レンガや焼きレンガ造りの街並みを眺めつつ、その奥にそびえる立派な城へと向かう。
するとそこでは、一国の王にでもなったかのような厚待遇を受けるのだった。
「ナギ様、エレミー様。お待ちしておりました。中へご案内致します」
近衛騎士団が両脇に最敬礼する中、案内役の可愛く美しく気高さすら持ち合わせた本物の生メイドに連れられて、僕らは長い通路を進んでいく。
そうして通されたのは謁見の間。
そこにはセバスとチェルシー……そして金ぴかゴテゴテ装飾のなされた玉座には、ちょこんと座るエリュシカの姿があった。
メイドが跪いた姿を見て、僕とエレミーも慌てて真似をした。
「姫殿下様、お二人をお連れ致しました」
「うむ、ご苦労。そなたは下がってよいぞ」
「はい」
そう言ってメイドは、部屋を後にしてしまう。
ああ、メイドさん。
本物のアイラブメイドさん……また会う日まで。
僕がメイドを目で追っていると、エリュシカが言った。
「さ、形だけの謁見も済ませたし本題に入りたい。私の執務室に移動するぞ。ついてまいれ」
「はい」
この場に居た五人で執務室に移動し、僕とエレミーとエリュシカとで同じ卓を囲う。
セバスとチェルシーはエリュシカの傍らで立ち続けていた。




