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異世界甘味処 木の実  作者: 兼定 吉行
物件探し、準備、開店
18/87

深粉吸

 エレミーが葛餅にフォークを刺す。

 そしてそれを口元へ「あーん」と運んだ。

……どうだ? 

 果たして葛餅の食感は、この世界の住人に受け入れられるだろうか? 

 僕は固唾を飲み、エレミーの表情を窺った。

 パクリ。

 彼女が葛餅を口に入れた、その瞬間――! 

「――ゴッフェッ!? ブウェッフォッ!! ガハッ!?」

 思い切り噎せて、僕の顔面にきな粉を飛ばしてきた。

 それを手で拭いながら言ってやる。

「口に入れる時に息を吸ったらダメだよ。肺にきな粉が入るから」

「ケホッ、ケホッ……そういうの先に言って」

「ごめん」

「まったく……」

 なぜ僕が悪いことになっているのかがわからないが、改めてエレミーは葛餅を口に入れた。

 そして咀嚼を始める。

……どうだ? 

 僕は感想が気になったが、なかなか彼女はそれを言ってくれない。

 しかしそれは葛餅の食感を楽しんでいるからだということが、その表情から見て取れた。

 ようやく口の中を空にしたエレミーが感想を述べる。

「ひんやりしてて、ぷりぷりで、今日みたいな暑い日にぴったり」

 よし! 

 狙い通り! 

「こんなに歯切れのいい食感初めて。ゼリーみたいなのに、ゼリーとは違う。なんか不思議」

 多少戸惑ってはいるようだが、どうやら葛の食感は受け入れられたようだ。

「でもこれにそっくりなのが、初めてナギに会った時に貰ったお菓子の中にあった」

「ああ、そういえばあの中にも葛を使った玉すだれがあったね。……それで、今食べたものの味はどうかな?」

「粉にした芳ばしい大豆と溶かしたコクのある黒糖が、凄い合ってる。混ざりあったとこが特に美味しい。あと葛自体にもうっすらと独特な香りがあって、それがいい」

「そ、そっかぁ。よかった……」

 さすがに僕にも葛の香りまでは感じられないが、とにかくこの世界の人にも葛の和菓子が通用しそうだと一安心する。

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