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異世界甘味処 木の実  作者: 兼定 吉行
物件探し、準備、開店
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下処理一の型

 それから僕とエレミーは不動産屋から斧とスコップを借り、何よりも先にまずは葛の根を切って掘って切て掘って掘って掘り返す。

「もうこれ樹じゃねぇのかな」というレベルにまで成長した葛の蔓が目につく度に心が折れそうになるが、諦めるもんか! 

 途中「もう飽きた」とぐずりだしたエレミーだったが、「これが甘くて美味しいお菓子になるんだけど?」と言ってやると、「そういうことは先に言って。モチモチベーションに関わってくるから」と目を光らせ、そこからはやる気を取り戻した。

 単純なヤツめ。

 あとモチモチベーションてなんだよ。

 ……和菓子の才能あるな。

 そして日が暮れる頃には葛の根の量は、なんと軽トラック一台分くらいにまで積み上がる。

 まだ敷地の半分も作業は終わっていないというのに……だ。

「くっくっく」

 つい笑いも溢れてしまう。

 だってこれで材料費がかなり浮いたんだから! 

 葛の和菓子作り放題だヤッホゥ! 

 ここでエレミーが、疲れた顔で訴え掛けてくる。

「ナギ、疲れた。何か甘いもの食べたい。あとご飯」

「あ、ああそうだね。でも甘いものはすぐには出せないから、二、三日待って欲しい」

「えーそんなに?」

「その代わり、晩御飯は外へ食べにいこうか?」

「やったー」

 外食を済ませて再び緑の家へと帰ってくるなり、エレミーはすぐに寝てしまった。

 彼女の可愛らしい寝顔を見ながら思う。

 そりゃ疲れるよなぁ。

 今日は小さな体で頑張ってくれたし……。

……よし! 

 僕はもう少し頑張って、ちゃんとエレミーに甘くて美味しいものを食べさせてあげるぞ! 

 そんな訳で、一人だけ延長戦突入だ! 

 葛の根をゴシゴシと水洗いして土や汚れを落とし、鎚で叩き潰す。

 そりゃもう親の仇かマゾ野郎をぶつように、フルパワーでボッコボコになるまで。

 うん、明日は筋肉痛だね。

 次によく叩いた葛の根を水に漬け、成分を揉み出すようにしっかりと洗った。

 水が茶色く濁ったら葛の根を取り出し、成分の溶け込んだ汁をざるで濾す。

 これで一先ずは終了。

 後は一晩このまま寝かせ、明日は作業の続きだ。

 ヘトヘトになりながら床に就き、僕は泥のように眠った。

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