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奴隷と主人と倫理観

意外と話が長くなってしまった…あとボロが出ないかビクビクしてる

 11.奴隷の扱い方

「マサル様はどんな奴隷をお望みで?」


 営業スマイルを向けてくる目の前の男性は奴隷商の店主だ、ナズナの案内で奴隷市場に来たものの思ったよりも奴隷が多くて決めかねる。


「えーっと、剣を扱える男の奴隷が欲しいんですよね、あ〜あと生意気な女の奴隷も。」


「な、生意気な女ですか?あぁ…マサル様もお好きですねぇ」


 何かに納得した様子の店主は“ニチャア"という表現が合うような少し汚い笑みをこぼした、おおかた俺が生意気な女を屈服させるのに興奮するタイプの男だと思ったのだろうが…まぁそういうプレイも嫌いじゃないがそれが目的ではない。


「では暫しお待ちを。」


 俺の条件に合う奴隷を探しに奥へと店主は戻り、その間に俺は色んな奴隷を観察していた。


【鑑定】


「うーん、良いスキル持ってる奴隷は早々いないかぁ、あの子可愛いな、でも性病持ちか…あの子火球使えるのか、でもブスだなぁ…」


 元の世界なら批判されそうな事を呟きながら俺は奴隷観察を楽しんでいた。


「お?精霊術師で精鋭騎士!すげぇレアな子がいるじゃん、どれどれ…」


 どれも強い職業な筈なのに何故奴隷になっているか気になるが、その子を見て一目で分かった。


「マサル様、奴隷の選定がすみましt…あぁ、その女が気になりますか。曰く何処かの高名な騎士団長だったらしいんですが、戦で負け慰み者にされた挙句四肢を切り落とされていて、とても商品にはならないんですけど無理やり買い取らされてしまって…困ったもんです。」


 見ただけで悲惨な扱いを受けたんだろうと分かるほどの生気のない表情に藻掻く事すら出来ない体。元は整った顔に抜群の体型だったのだろうと思うと余計に心が痛む、そしてとても俺の琴線に触れた。


「それはともかく、こちらにマサル様がお気に召すような条件に当てはまった奴隷達はこちらです。左から元盗賊に村の用心棒、最後に元冒険者の男です。」


「意外と少ないですね。」


「戦える男の奴隷は戦力になる為需要がありますし、そもそも手強いので手に入れようとして手に入るものではないですから。」


 それはそうか、漫画とか読んでたら男の奴隷とか何の需要があるんだって思ってたけど重労働だけじゃなく、護衛とかモンスター狩りが出来るならそれなりに需要は高くなるか。


「じゃあ、戦える男より戦える女の方が需要は低いんですか?」


「まぁ、そうなりますな。力仕事なら男の方が使えますし、夜伽用なら娼婦館に身売りした女の方が顔も勝りますからな。」


 うーん、じゃあ無理に戦える男の奴隷買わずに戦える女の奴隷を買う方が安上がりか?でも折角買うならちゃんと剣術教えてくれる方が良いし…とりあえず鑑定してみて良いのがいれば買おうかな。


 元盗賊は、うん。見た目が悪いし能力値もさほど良くない、用心棒さんは能力値が高いけどスキルがあまり無いな。じゃあ、やっぱり元冒険者の人かな、冒険者としてのアドバイス欲しいし。


【ライド】

 Lv.9:魔剣士

 体力:25

 筋力:25

 素早さ:20

 知力:15

 器用さ:10

 魔力:15

 スキル:格闘術(Ⅰ)・剣術(Ⅱ)・火球(Ⅰ)・風刃(Ⅰ)


 魔剣士って結構レアじゃね?でも全体的に能力値あんまり高くないな、全部平均的?器用貧乏って奴かな??


「その元冒険者にします、いくらですか?」


「こいつはそうですね、金貨15枚ですかな。」


 《(優様、少々高く見積もられているかと。値切りが可能です)》


 だよな、俺も高くね?って思ったもん。いくら需要があっても150万はちょっと手が出しにくい。


「うーん、少し高いですね、まだ買うのでもう少し安くしてもらえませんか?」


「そう言われると断りずらいですな、ならこの女を買い取って頂けませんかな?マサル様の要望通り生意気な女でしてね、こいつも冒険者なんですが素行が悪く口も悪いため何度か返品を食らってまして。こいつとセットで金貨20枚でどうですかな?」


「へぇ、冒険者してたのに顔も良くてスタイルも良いのにもったいない。ならこの子を貰おうかな」


「へっ!なんだいあんたそんな細い体して。あたいを躾ける事が出来ると思ってるのかい?プッ!」


 説明通り口が悪いし唾飛ばしてきた…よし、こいつにしよう。


「やめんかこいつ!【締縛(タイトニング)!】」


「うぐっ!くそ…」


 店主が魔法を唱えると女に着いていた首輪の様なものが締まり、女が苦しそうな声を出す。


「それが奴隷を束縛する呪文ですか?」


「そうです、直接唱えなくとも相手を見て念じたり、主人に害を及ぼそうとしたら自動で締め上げます。」


 なるほど便利だけど打ち合いの訓練する時に反応しないかな、少し不安だ。


「じゃ、その男とこの女、あっちょっと待ってくださいね。」


 俺は男の奴隷に近付いて話しかける。


「あなたの仲間か大切な女性はいませんか?その人もついでに買い取りますよ。」


「な、何故ですか?」


「もしいるなら離れ離れになるのは悲しいでしょ?あっ疑ってますね…現実的に言えば人質みたいなもんですよ。」


「人質と言われましても奴隷なので裏切る事は出来ませんが…もしいるとして貴方はその子を世伽に呼びますか?」


「あぁ、その心配はいらないです。世伽用は別で用意すると誓います、いるんですね?」


「…はい、います…同じ冒険者仲間で恋人のユタが。」


「店主さん、そのユタって子も買います。あとあそこの四肢欠損の人も。」


「はいはい毎度ありでs…なんと?あの慰み者にもならなそうな女もですか?」


「まぁ、使い道は色々ありそうですし、ね…」


「わかりました!あの女も買ってくれるということで合計4人合わせて金貨25枚でどうでしょう!特別価格ですよ?」


 あの男と女で金貨20枚として男の恋人が金貨8枚位しそうだけど、結構まけてくれたのかな?どうだろうナズナ


 《そうですね、通常より金貨2〜3枚ほど安いかと。》


「それでお願いします。」


「えぇ、マサル様とは長い付き合いになりそうなので安く致しました。今後もし奴隷を買うならご贔屓にお願いしますね?」


 なるほどそういう事か、流石商人しっかりしてる。


 4人を受け取り奴隷市場を抜けると宿に戻る。


「まずはこの子を治さないとな、ナズナ出来る?」


 《お任せください、【全治癒(オールヒーリング)】・【状態(アブノーマル)異常(コンディション)浄化(リフィケイション)】・【精神(スピリッツ)正常化(ノーマライゼイション)】》


 他の奴隷達はナズナに驚き更にナズナが放つ魔法に呆けていた。


「あれ?私は…ここはどこだ…?」


 正気を取り戻した女騎士さんは状況が把握出来ずにキョロキョロしていた。


「貴方は奴隷として売られていて、それを俺が買いました。次いでに体の傷も治しておきました。」


「そうだ…私の腕!脚!!えっ…全部、ある…なっなんで、どうやって…うっうう…あ、あり、ありがとう…ありがとうございます…」


 自分の体が元に戻っているのを確認して安心したのか女騎士さんは泣いてしまった、それから女騎士さんが泣くのを待ち落ち着いた所を見計らって話し出す。


「改めて俺は皆を買いましたマサルです、俺に剣術を教えて欲しくて買いました。」


「はぁ?それだけで奴隷を買うとかあんた金持ちなのかい?良いとこのお坊ちゃまなんだろうn…」


「【締縛(タイトニング)】」


「ぐえっ!」


「いきなり突っかかってくるとは思わなかったけど、あなたの役割はそれです。舐められるといけないと思ったので1人晒し者が欲しかったんですよね」


「ぐっ…それだけの為にあたしを買うとかあんた馬鹿なんじゃn」


「【締縛(タイトニング)】」


「ぐぇぇ…」


「どんどん反抗してくださいいくらでも締め上げますので」


 満面の笑みでそう言うと女も火が着いたのか暴言を吐きまくる。女が暴言を吐くと俺が締め上げる、また暴言を吐いて締め上げるを繰り返し、それを見ていた他の奴隷達は“うわぁ…"といった表情でドン引きしていた。なんならナズナも引いていたような気がする。


「…」


「もう反抗しないんですか?」


「…」


「【締縛(タイトニング)】」


「ぎぎっ!ちょっとなんでよ!」


「面白くてつい…」


 遂に生意気な人が屈服したので次に移る。


「とりあえず皆さんの名前を教えてください。」


「俺はライドです。」


「わ、私はユタ…です。」


「レンカ・キーライトです、主よ。」


「…ナスハよ。」


 1人めっちゃ忠誠心高そうな人いたけど、まぁいいか。


「とりあえずライドさんとレンカさんに稽古つけてもらおうかな、あと世伽だけど普通に手を出すからね。あっでもユタさんには手を出さないよ、ライドとユタの自由恋愛は許可します。」


「ありがとうございます。」


「あ、ありがとう…ございます。」


 なんかいまいちユタさんに信用されてない様な…まぁそれはそうか、時間をかけて慣れてもらうしかないな。


「はぁー!?何それずっるぅ!」


「あ、主よ。私はその…世伽の経験が少なくてだな…」


 うるさい奴はほっといてレンカさん可愛いな…


「その代わり雑用を他の人より多めにやってもらいますね、とりあえず今から外に出て水浴びして身なりを整えてもらいます。」


 宿を出て街の外へ行く途中服があまり綺麗じゃなかったので買いに行くことにした。


 ✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂


 12.奴隷とお風呂

「ねぇ、あんた」


「【締縛(タイトニング)】」


「ぐぅ!ご、ご主人…」


「どうしました?」


「ご主人が持ってるナイフ、さっき喋ってなかった?ありゃ一体なんだい?」


「あー、後でまた紹介するけど今は特別なナイフってだけ言っておくね。」


「ふーん?」


 そんな話をしながら古着屋に着くとそれぞれ3着ずつ普段着や下着を買い、レンカとナスハは世伽用のランジェリーを2着ほど買わせた。


「ご主人も物好きだよねぇ、ほんと…」


「ほ、ほんとにするのか…いや恩を返す為だ、覚悟を決めなければ…」


 ナスハが呆れ、レンカは顔を赤くしながら何かをブツブツ言っている。


「よし、ここでいいかな。ナズナ、お願い」


 《承知しました、【鉱石魔法】・【物質操作】》


 人気がない開けた場所に着くとナズナが硬い鉱石を生成し、それを物質操作で湯船の形にし、それを包み込むように壁を建てた。手際が良い


 《【水溜まり(パドゥル)】(IV)・【火球(ファイアーボール)】(IV)》


 湯船の中に水を溜めた後で【火球(ファイアーボール)】を放ち丁度いい温度まで温める、これで即席露天風呂の完成だ。なお男女には分けていない


「よしシャンプーとかは無いけど水浴びよりはマシかな、ナズナ作れないよな?」


 《…明日までに作っておきます。》


「いや作れって言った訳じゃないよ!?」


 《私は優様の補助をするように創造されました、それなのに優様の望むものが用意できないとは…私自身が許せません。》


 ヤバいナズナさんの変な地雷踏んじゃった…


「そ、それはともかく皆に挨拶してナズナ!」


 《私、人工知能搭載ナイフ型ゴーレム、ナズナと申します。皆様どうぞよろしくお願いします》


「なにこれなにこれ!?ご主人、これ…いやこの子何!?めちゃくちゃ可愛いんですけどー!」


「す、凄いな…冒険者の時には見たこともない武器だ…」


「ほ、ほんとですね…凄い力を感じます…」


「これが主の力…凄い。」


 皆思い思いの感想を呟く、もはやこれを見るのが1つの趣味になりつつある俺はレンカに訂正をする。


「ナズナは他人…?から貰ったもんだから別に俺の力じゃないんだよ、この中だと俺の次に偉いと認識してほしい、なんならナズナが1番偉いまである。」


 《優様、お戯れを。》


「へぇ〜凄いんだぁ、ご主人ナズナ…さんの等級とかあるの?」


「勿論あるよ、秘宝級だよ。」


「へぇ〜…はぁ!?ないない!何言ってんの?秘宝級は一般人が持ってていいもんじゃないから!」


「ん〜証明するの難しいな、まぁ別に証明しなくてもいいか。」


 魔法使いがいればよかったんだけど、まぁいないものは仕方ない。


「そういえばユタは職業なんなの?」


「私は白魔術師です。」


「はぇ〜白魔術師、回復とか補助系の魔法が得意なのかな?」


「そうです、後はアンデッドに効く魔法とか…でもあまり強い魔法は使えません…」


「そうなんだ、あっお湯が冷めちゃうから入ろうか。何かあったら困るから男女には分けないけど真ん中に大きな岩でも置いとけば体隠せるかな?」


 とりあえず女性が先に露天風呂に入った後に俺とライドが入る、露天風呂の周囲をナズナが結界を張ってくれて見張りもしてくれる。ナズナさんに頭上がんねぇっす


「はぁ〜良い気持ち〜、久しぶりの風呂は最高だな。向こうでもずっとシャワーだったしな、あっナスハは俺の前に来い、何するか分かんないからな。」


「そんな事言って、あたいの裸が見たいだけでしょ〜。いや〜んご主人のえっち〜」


「【締縛(タイトニング)】」


「ぐぇっ!もう冗談じゃん…」


「正解だから何かムカついて…」


「えっ!?いや、な、何言ってるんだよご主人…///」


 あからさまに照れてる、意外とウブなのか?にしてもナスハに対しては敬語じなくても話せるようになってきたな、意外とあぁいうのがタイプなのかもしれない。認めたくないが


「ご主人いま失礼な事考えてなかった?」


 こいつ心が読めるのか…!?


「そ、そういえば、ライドどう?熱くない?」


 話の変え方は何時になれば上手くなるんだろう。


「丁度良いですよ、それにしてもお風呂なんて滅多に入れるものじゃなくて少し感動してます。」


「何度か入ったことあるみたいだね?」


「そうですね、火山の近くの街では市民も使えるような大衆風呂と呼ばれるものがありましたので何度か入った事はあります。」


「そんなのがあるんだ面白いね、そういえばライドは魔剣士だったんだよね?剣術とか教えられる?」


「ご存知でしたか…魔剣士は剣士よりも劣り、魔法使いよりも劣るまさに器用貧乏なのです。ですので基礎は教えられますが、より専門的な技術ですとキーライト殿に指南された方が良いかと。」


「そうなんだ。でも冒険者としての経験があるから冒険者としての助言もあれば教えて欲しいな。」


「あっ!ならご主人あたいも冒険者してたから役に立つよ!」


「ナスハは何の職業だったの?」


「あたいは盗賊さ!」


「あぁ、なんか納得する…」


「戦いはあんまり自信ないけど冒険者の心得なら任せてほしいね!」


「頼もしいね」


 そんな話をしながら割と楽しい時間を過ごし、宿に戻り食事をして俺達は1日を終えようとしていたが問題に直面した。


「困った、部屋1つしか借りてないからベッドが足りないや。」


「ご主人…」


 これにはナスハも呆れていた。幸い4人部屋が空いていたのでそこを奴隷達様に借りて事なきを得たが、ゆくゆくは自分の屋敷が欲しいなと考えてみたり…皆が4人部屋に行こうとするのを見て俺は1人に声をかける。


「レンカはあとで部屋に来て」


「ッ!?は、はい分かりました…」


 レンカは顔を赤くしながら4人部屋に行く、ふぅ…よく誘えたな俺。もう緊張でガッチガチだったけど何とか噛まずに言えた。


 ベッドで横になっていると扉がノックされる。


「どうぞー」


「しっ失礼します…」


 レンカが今日買ったランジェリーを着て部屋に来た、えっちすぎる。


「めっちゃ似合ってるね。」


「ありがとうございます…」


「「…」」


 こんな時なんて声をかけたらいいか分からず無言になってしまう、陰キャは辛いよ。


「早速ベッドに入ってきて、今日はもう眠いからすぐにでも寝付けそう。」


「え?あっはい、失礼します。」


 ベッドに入ってきたレンカを抱き枕の様に扱うとレンカはとても震えていた。


「ごめんね、覚悟決めて来てくれたんだろうけど今日は手を出さないよ、疲れてるし俺なりのポリシーがあるから。」


「ポリシーですか?」


「うん、手を出す時は相手を好きになってからって決めてるんだ、まぁ相手の気持ちは考えてないからただの自己満だし、レンカの事はもう既に好きになってるから今すぐにでも手を出したいけど。ほんとに今日はもう眠いから今度にする…」


 そう言いながら寝落ちしてしまう、眠りに落ちる前に見たレンカの顔はよく見えなかった。でも震えは止まっていたような気がする。

女に手を出さない奴はカッコイイみたいなのは嫌いなのでどんどん手を出します、男は獣なので。

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