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いきなりの試練

続くかも…?

 3.自問自答

 分かりやすく改めて説明してもらい俺は深いため息をついた「なぁ〜るほどねぇ〜」


 まさか違う世界の俺がこんなにも努力家で優秀だったとは…何事にもバランスがあり、無能な俺がいるなら有能な俺もいるってか?なら仕方ないよな、うん。


「それで?この世界線で科学を学びに来たお前、いや俺…だぁー!ややこしいな!!お前向こうでの名前は!あとお前は態々なんで俺に逢いに来たんだ?」


「おぉ、名乗ってなかったな、俺の名はアルコーヴァ・カッフェだ、そりゃお前こっちの世界に来たんだからこっちの俺に挨拶するのが礼儀だろ」


 礼儀なのか?普通は世界を渡る事はないから礼儀も何もない気がするが…ともかく


「ほんとにそれだけなのか?」


「それだけd、そうだお前、えーっと名前は…」


日野(ひの)(まさる)、優がファーストネームな」


「そうか優、俺の名前は長いからな、カフと呼んでくれ」


「カフ?」


「愛称ってやつだよ」


「なるほどな。それでカフ、なんか俺に質問しようとしてなかったか?」


「あぁ、そうそう。優は異世界系の小説とか好きか?」


 こいつ、さっきから思ったけどなんでこっちの世界に詳しいんだ…下調べしたのか?


「少し読んだりするけど…カフはなんでそんなに詳しいんだよ」


「あーなに、下調べとしてこっちの情報を調査用ゴーレムを送り込んだり魔法で調べてたからな、難しい事じゃないさ」


 こいつ、マジで優秀だな…


「それで異世界系小説がどうしたよ」


「いやあれは面白いな!魔法が無い世界なのにあんなに魔法で色々考えたり科学を使って無双したり…娯楽として読んでいたが実際いくつかのアイデアを得た作品もあったぞ!」


 マジか…異世界系の小説家もすげぇな…


「それでなんだが優は異世界に行ったら何かしたいとか妄想はしてないのか?何でもいいぞ、もしかしたら思わぬ収穫になるからな!」

 なるほどね、それで訪ねてきたのか。


「うーん、そうだな。基本俺は小説内の能力を俺ならこうするなって感じで想像するだけだから自分で何かを考えたりはしないかな…あっでもずっと思ってたことはあるぞ」


「お?なんだなんだ言ってみてくれ」


「大体小説の主人公ってチートな能力貰ってばっかで苦手なんだよな、自分の能力は無いし現代科学の力を自分の力みたいな顔でドヤ顔したり、殺しに来た敵を許して何なら仲間にしたり、ハーレム作ったり…」


 最後のはただの嫉妬だ


「そんな主人公ばっかりで俺なら能力を使わず自分の力で生きてやりたいって思ってたな」


「ほう…?」


 カフの目つきが鋭くなり声のトーンが落ちた


「ならやってみるか?何の能力も貰わずに異世界生活を」

 そういうとカフは徐ろに立ち上がると魔法を使いだした


「は?いやいや想像はするけど今の俺じゃ異世界に行ってもすぐに死ぬって分かってるから!現代人でニートな俺の貧弱さ舐めんな!!」


 威張る事ではないだろう


「そうか?その割にはほんの少し筋肉が付いているし大丈夫だろ(笑)」


 鼻で笑いながら適当なこと言いやがる…筋肉って言ったって運動不足にならない為に家で少し筋トレしてるだけだ。とてもサバイバルで生き残れるようなものでは無い


「心配するな、ナイフ位はくれてやる。お前も少し異世界ってやつを楽しんできたらいいよ」


 そういうとカフは魔法を発動させ俺を異世界に飛ばそうとする


「おい!空間にヒビ入ってる!!マジか!マジで飛ばすのか!?絶対許さんからなぁぁぁ…!!!」


 そう叫びながら俺は空間の狭間から異世界に飛ばされた…


✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂


 4.自業自得?

「はぁ…マジでアイツやりやがった…異世界でどうしろってんだ、ナイフはありがたいけど…」


 どうやら飛ばされた先は森のようだ、人が入れない大きさの空間の狭間から服やら靴やら手紙が飛んできた。


『優へ、魔物も魔法も比較的弱い世界に飛ばしたのでどうか気軽にサバイバル生活を楽しんでほしい、俺のいた世界でもないから保証はしないが。そこで生きていけば野生の勘も養えるだろうし男なら強くなりたいだろう?まぁ1ヶ月もすれば回収してやるから安心しろよな。親愛なるもう1人の自分カフより』


 あいつ無駄なお節介すぎんか…それとも心でも読めるんか…心の中で異世界に飛ばしてくれないかな〜ってワクワクしていたのがバレたのかと思い、ドキドキしながらカフへ苦情やら感謝やら複雑な気持ちを向けつついそいそと服を着替えるのであった。


「んで、どうしようサバイバル術なんてしらんし、何が食べられるかも知らないから早速詰んでないか?やっぱりチート能力貰わないと人は無力だよなぁ」とボヤきながら俺は森を歩いていた


「とりあえず飲み水確保の為に川目指すか!」と歩き続けたものの一行に景色が変わらずそのまま夜になった、生き物にも出会わずにいた俺は無警戒のまま草むらに身を預け眠った。


 二日目、ナイフを振り回しながら歩き続けていると遠くに猪のような生き物が何かを食べていた、幸運な事に食事中だからか、こっちにまだ気づいてる様子はない。昨日は何も食べずにいたのであいつを狩ろうとにじみよる


(野生動物なんて初めて狩るからこれが正攻法か分からんが、しゃがみながら少しずつ近付くしかないか…)


 そんな事を考えながら草むらに入り近付いていき猪との距離が1m程度になった時、猪も辺りを警戒しだした


 気付かれたかと焦ったが気付いてる様子はなく、生物の気配を感じたから辺りを見渡した程度だろう。緊張で手が震えながら俺は猪に襲いかかった


「ッ!?ピギィ!」


 猪の首にナイフを突き刺しながら振り払われないように猪の体にしがみつく、深く刺さってないからか暴れる猪に何度も何度もナイフを突き刺す


「この野郎!刺されてるのに元気よすぎだろ!!このっ!このっ!」


 1度も反撃を受けなかったおかげで猪と俺の攻防は10分程度で終わった。


「はぁぁぁ…めっちゃ疲れたしアドレナリンどばどばで手が震えてるわ…」そう言いながら震えてる手をほぐす


「命の奪い合いはゲームでもよくあるし、やっぱ人は争うのが好きだよなぁ、だってこんなに…気持ちいいし」


 初めて奪った命を前に謎の高揚感が全身を包んでいた。


「にしてもこれ…どうやって解体して食べようか…ていうか火をおこさないと駄目じゃん…」


 せいぜい魚程度しか捌いた事の無い現代っ子の俺は猪を解体する事の前に火をおこす所から出来ずに途方に暮れていた。


「はぁ…はぁ…テレビとかで木の棒クルクルしたら火がついてたけど、初心者じゃそう簡単にいかないよなぁ」


 火をおこそうとして1時間、辺りは暗くなり始め手元が見えなくなってきたので火おこしは諦めた。


「まぁ新鮮だし少しぐらいならよく噛んで食べれば大丈夫だろ」

 そんな軽い気持ちで猪の肉をナイフで削ぎ、食べる。


「うっ…美味くない…血抜きとかしなかったからか?まぁ吐くほど不味いって訳じゃないしお腹減ってるし食べるか…」


 初めての狩りを思い出しながら次はああしよう、次はこうしようと言いつつ猪肉を食べていた。


 深夜

「お腹いってぇ…」

 見事に腹痛になり目を覚ました。


 悶えながら目を開けると月明かりはあり真っ暗では無い為何かが動くのが見えた。狼だ、猪肉の死肉を5匹程度で貪っていた。


(ヤバイヤバイヤバイ)

 脳が一気に目を覚まし、腹痛に悶えながら狼達から離れようとするが物音で気付かれた。


「「「!!」」」


(あ〜これ終わった〜)


 狼達が一斉に振り返りこちらを見た、俺は既に諦観しながらもフラフラと立ち上がり、ナイフを構える。


「クソがよォ…1匹位道連れにしてやるからさっさと掛かってこいよ…」

 声は弱々しいが覚悟は決まっていた。


「ガゥ!」


 狼達が3匹纏めて一斉に襲いかかってきて両足に1匹ずつ、首を狙って1匹が飛びついてきた。


「クソが!」


 両足に噛み付いてきた狼達を無視して俺は首を狙ってきた狼に対し全力で対応した、首を噛まれる前にナイフを持っていない方の腕を噛ませ、その隙にナイフで狼の目を狙って思い切り刺し、押し込む。


「ギャン!」


 狼が離れようとするがもう遅い、火事場の馬鹿力かナイフは狼の目を突き抜け脳天を刺した。噛まれていた腕は離されたが骨が折れたのだろう力が入らず、激痛が走る。


 未だに足に狼が噛み付き血が出ているからか、意識が朦朧としてきた。弱肉強食、俺が猪を狩った様に狼が俺を狩る。既に覚悟はしていたが痛いものは痛いし死の直前になるとやはり怖い。


(あぁ…これで死ねるのかニートになってからいつ死んでもいいと思ってたけど最後に楽しい思いができたな…)

 そんな事を思いながら倒れて目の前が暗くなっていく。


 《主の危機を感知、ハードサバイバルモード終了、ここからは異世界チートモードを始めます》

 意識が失う前そんな声が聞こえ、1本のナイフが空中に浮いていた。

小説読んでると小説書きたくなるよね…楽しい

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