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試行錯誤

インスピレーションが浮かんだ瞬間書かないと忘れてしまう!

 19.覚悟を決めて

「マサル殿、守護竜様からお会いしたい旨があると聞きましたが如何なさいました?」


「今日で私達は帰らせてもらうのですが、その前に王城に宿泊するという貴重な体験をさせてもらったのでそのお礼にこれを。」


 そう言うと俺は傍に置いておいた布を引くとそこにはバスケットボール大の魔水晶が露わになる。


「こ、これ程の大きさでなんと言う魔力密度…これを?」


「はい、差し上げます。大体魔力が500万ほど入っておりますので何かに使えるのではないかと。」


「ごっ500万!?500万MJ(マジュール)となるとこの都市の全魔道具供給が数年、いや数十年はこれ一つで賄えます!これは守護竜様に献上するか国宝にすべき至宝!こんな物をお礼で貰う訳には!」


(あ〜、これはめんどくさい事になりそうだな)


「分かりました、王様の言葉に甘えましてそれを金貨2000枚で売らせてもらいます、更に欲を言えば王様からの礼状とこの事を王室に代々伝えて頂きたいです。」


「当然です、いえ寧ろ金貨が安すぎますよマサル殿。」


「それは今後私達が困った時に助けて貰う為の前金、でございます。」


「!なるほど、そう言われたら納得するしかありません、マサル殿も強かですね。」


「ありがとうございます。」


 無事王様に魔水晶を渡す事も出来、折角だから馬車で帰ろうと思ったがルビィが寂しそうな顔をしていたので結局帰りもルビィに乗せてもらう事にした。ただ帰りは行きよりも2日時間かかったのは気付かない振りをする


「ただいま〜」


「「「「「お帰りなさいませ、ご主人様。」」」」」


「俺が留守の間に何もなかった?」


「えと、お客様が客室でお待ちしております。」


「え?今?」


「3日ほど前からです、お客様の身分もあり蔑ろにする訳にいかず空き部屋を勝手に使わせて頂きました。申し訳ありません」


「いやそれはいいんだけど…」


 俺に身分の高い知り合いなんていないんだけどな、と考えながら客が待つ部屋へ行く。


 コンコン


「お待たせして申し訳ありません、家主のマサルです。」


「いえいえ、こちらこそ急に尋ねてしまい悪いね。どうぞ入ってきてほしい」


「失礼しま…え?」


 そこにいたのは明らかに人ではない翼の生えた天使の様な人だった。


「自己紹介をしよう、私はこの世界を管轄している座天使のフォアエルだ。君が異世界から来た旅人だね?」


「えっと…はい、そうです。あの跪いたりした方がいいですか?」


「それは君に任せるよ。」


 座天使を名乗るフォアエルが冷えた笑顔を見せる、俺は穏便にすませる為にとりあえず跪く。


「へぇ意外と謙虚なんだね、他の天使達から聞いた異世界人はもっと傲慢だったと聞いていたけど。まぁいい、私が君に会いに来た理由は1つ。約束をしてほしいんだ」


「約束?」


「契約と言ってもいい、君が与えられた力に溺れてこの世界を滅茶苦茶にしないと誓って欲しい。」


「それは構いませんが、もし誓いを破るとどうなるんですか?」


「天罰が下る、とだけ言っておこう。どうする?誓うかい?それとも今から私と対立するかい?ここら一帯がどうなるか分からないがね。」


「俺は世界を滅茶苦茶にしたいなんて思ってないですから誓いますよ、ですが滅茶苦茶にしない程度の事は許して欲しいです。」


「ほう、例えば?」


「お金持ちになるとか…」


「はっはっはっ、実に人らしい願いだな。その程度なら好きにして構わないさ、では契約するとしよう。」


 フォアエルから魔法をかけられ半透明の鎖が俺の体に縛り着く、数秒もするとそれは消えて右手には何かの紋章が浮かび上がる。


「これで契約完了、右手の紋章は我らから認められた証だ。私の信者にそれを見せれば害される事はないだろう。」


 そう言うとフォアエルは魔法を唱え目の前から消える。


「はぁぁぁ、緊張したぁぁ…天使とか初めて見たぞ、なんて言うか神々しかったな。」


 《あれは不味いですね、早急に対処方法を考えなければ。》


「敵対しようと思わないでナズナさん!?でもまぁ、いつかとんでもない敵と出会うかもしれないから戦力の増強はしてもいいかもね。あ〜怖かったけど意外と優しそうでよかっt」



「おい。」


 振り向くと消えたはずのフォアエルが戻ってきていた、そして明らかに機嫌が悪い。


「ど、どうしたんですかフォアエル様?」


「道具の癖に私に反抗するとは生意気だな。」


 《我が主人の身を護っただけです、あなたこそ盗聴や覗き見は失礼では?》


「えっ…」


 どうやら俺はフォアエルから監視されていた様で、それに気付いたナズナが遮断したようだ。


「世界の為だ、お前が生意気な態度を取るならお前の主人を殺しても良いんだぞ?主人が俺に殺されても良いのか?」


 《その時は何年、何十年、何百年かけてもあなたを殺します。》


 フォアエルとナズナの殺気で部屋が軋み空間が歪む。


「…ふん!紛い物の神の眷属風情が…」


 最後の呟きを聞き取れなかったがフォアエルが消え部屋から殺気が無くなる、俺は思わず尻もちを着いた。


 《申し訳ありません、優様。御身を危険に晒してしまいました…》


「いいよいいよ、俺の身を案じてしてくれたんだろ?寧ろありがと、ナズナがいてくれてほんとに心強いよ。」


 《勿体なきお言葉…ですがこのままでは不安が残ります…ですので優様の身を護る為ゴーレムを作りたいと思うのですがご許可頂けますでしょうか?》


「ゴーレム?ナズナゴーレム作る魔法無いよね?」


 《はい、ですが私自身ゴーレムであり、私の核情報をコピーすればゴーレムを作る事は出来るかと。》


「そうなんだ!分かった、許可するよ。俺もビクビク怯えるのは嫌だからね!ナズナと一緒ならどんな事でも覚悟出来る気がするよ。」


 そうしてナズナによるゴーレム制作が始まった。


✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂


 20.ゴーレムと実験

 フォアエルと邂逅した日からナズナは鉱石魔法を使い様々な鉱石を作り出していた、凄く硬い鉱石から柔らかい鉱石、液体状の鉱石や魔水晶も作っては複雑に組み合わせていた。それから1ヶ月


「優様、優様。おはようございます」


「ふぁあ…おはよう…ん?誰??もしかしてナズナ…?」


 俺のベットの前には黒髪ロングでとても清楚なお姉さんといって感じの美女メイドが立っていた。


「私はナズナお姉様ではございません。」


「ナズナ、お姉様…?」


 《おはようございます優様、ようやくゴーレムが完成致しました。【完全自立式成長人型ゴーレム】でございます、個体名はございませんので名前をお付け下さい。》


「すげぇ!めちゃくちゃ凄いよナズナ!どう見ても人にしか見えないし綺麗だ!っていうかナズナお姉様って呼ばれてなかった?」


 《私の核情報をコピーした存在ですが、独立行動が出来るように私とは違う人格をインプットし私の姉妹として作成しました。》


「そうなんだ、でもナズナから生まれたなら母と娘って感じじゃ…」


 《何かおっしゃいましたか?》


「いっいや、なんでもないです!名前…名前決めないとね!」


 ナズナから謎の圧力を感じ俺は必死に話を逸らす。


「ナズナの妹というか、もう1人のナズナだから…ナズナ草の別名とか分かる?」


 《…ペンペン草や三味線草ですね。》


「三味線、シャミ…シャミはどう?」


「ナズナお姉様と同じ草の名前…気に入りました!私は今日からシャミと名乗らせて頂きます。」


「気に入ってくれて良かった、それでシャミは何をするの?」


「はい、私は成長型ゴーレムなのでナズナお姉様が覚えていない様な魔法も覚える事が出来ます、ですので1から学ぶ事になりますが魔法の研究をしたいと思っています。」


「凄いじゃん!じゃあ空間魔法とか是非覚えて欲しいね。」


 《その前にシャミには【自動修復】と【自動魔力回復】を覚えてもらわないといけません。》


「ナズナの魔法は覚えてるんじゃなかったの?」


 《殆どの魔法をコピーさせる事は出来ましたが私の【自動修復】と【自動魔力回復】だけはカフ様にしか付与出来ない特別な魔法を使っておりますので、シャミには一般的な【自動修復】と【自動魔力回復】を覚えさせたいと思っています。》


「確かナズナの回復方法は別宇宙から無制限に魔力を持ってくるんだったよね?一般的な修復魔法や魔力回復はどうするの?」


 《普通は空気中の微細な魔力を吸収したり魔水晶を取り込む事で魔力の回復を行います、ですがその方法だと余りにも時間がかかってしまう為カフ様は私を別宇宙から魔力を吸収出来るようにしたのです。》


「それまでにシャミの魔力は無くならないの?」


 《魔力の自動回復が出来ない為かつ私の核情報を詰め込む為に身体中の魔水晶に1000万MJ(マジュール)注入しておりますし、人間と同じ様に食事を摂ると体内で有機物を魔力に変換する事が出来るようにしていますので暫くは大丈夫かと。》


「1000万!?凄いな、ていうかMJ(マジュール)ってグラーザンの王様の言ってた単位だよね?何なのそれ。」


 《単なる単位ですので魔力量1なら1MJとなります。》


「なるほどね、いやぁにしてもほんとに人にしか見えないなぁ…触ってもいい?」


「私は優様の物ですのでお好きなだけお触り下さい。」


「ヤバい…スベスベもちもちで手に吸い付く…一生触ってられるな…」


 《むっ…》


 俺はシャミの肌を触れる事に夢中になってしまいナズナの機嫌が悪くなるのに気付かなかった、そしてシャミを皆の前に連れて行く。


「これから一緒に過ごさせて頂くシャミと申します、ナズナお姉様の妹として精一杯皆様をサポートいたしますのでどうぞよろしくお願いします。」


「何このすっごい美人!ナズナさんの妹ってどういう事!?」


「こんな人がいるなら私はもう夜伽のお役御免だろうな…」


「それに何というか、溢れ出る気品がまるで王族…や、やめてくれユタ、メイスは痛い…」


「…ふんっ」


 みんな喜怒哀楽色んな感情が混じった感想を呟いてるけど、何とか仲良くなれそうかな?一言だけ言っておくか。


「シャミは限りなく人に見えるけどゴーレムだから夜伽とか呼べないよ、だからこれからも頼むよレンカ、ナスハ。」


「そうなのか!わ、分かった!任せてくれ。」


「しょうがないね、あたいのご主人はご主人だけだし。」


 レンカはあからさまに嬉しそうに、ナスハも分かりずらいが安堵していた。


「それにしてもゴーレムかぁ、自立思考が出来るなら誘導ミサイルとかの代用も出来そうだな〜」


 《自立思考ゴーレムで誘導ミサイルですか、優様も中々エグい事を考えますね。ですがふむ…なるほど参考になります。》


「ほんと?参考になる?ならさ、俺の世界のおとぎ話みたいなもんだけど神の杖っていう宇宙空間から落とす鉄の塊みたいなのがあるだけど…」


 ナズナの参考になればと俺は上機嫌で色々な化学兵器ー実際にある物やゲームとかで出てくる近未来兵器などーの話をした、ナズナも興味深そうに話を聞いてくれて俺は久しぶりに昔を懐かしんだ。


 俺はレンカ達と訓練や冒険者稼業、シャミは魔法の研究、ナズナは新たなゴーレムの作成研究を進め更に1ヶ月が経った。そんなある日の夜


「まさかスコールに純魔力産の魔水晶与え続けると魔法を教える事が出来るなんて…なんだ?」


 俺はその日の振り返りをしながらベッドに入ろうとすると先客がいた。


「…」


「…ナズナ?」


「!そうです!ナズナです!!何故お分かりになったのですか!?」


「いや、見たことも無い美少女だから勘で…」


「流石は優様!それに美少女なんて…///」


 ナズナと判明した美少女は16〜17歳くらいでシャミが美人系ならナズナは可愛い系でゴスロリとか地雷系の服が似合いそうな感じだ。


「照れてるナズナも可愛いけど先に説明してもらえるかな…?」


「承知致しました!この体はシャミと同様の素材で作っておりますが私自身が使えるように人格はインプットしておりません、ですので本体であるナイフからこの体に意識を移動したり又はナイフにいながら簡単な指示で動く【連動式人型ゴーレム】でございます!」


「凄いね…後なんかテンション高くない?」


「やっと完成した事と人型になった事で感情を表現しやすくなった為少し表現力が大きくなっているのかと思います!」


(少しか…?)


「それでナズナはなんで俺のベッドに?」


「優様は仰いました、もし私が人型なら好きになっていると。人型になれば抱いてやると…」


 えっ言ったっけ?なんか似た様な事は言った気がするけど抱いてやるは言ってない…はず。


「抱くといってもその体はゴーレムだろ?」


「ちゃんと疑似生殖器は備えております。」


「マジか!凄いなナズナ!!」


 思わず頭を撫でまくる。


「はぅ…それで優様は私を抱いてくれますか?」


 ナズナは捨てられそうな子犬の目をして上目遣いで見てくる。


「それはズルすぎる!」


「キャッ!」


 嗜虐心を唆るような見た目で誘われたら本能が抑えられるはずもなく俺はナズナを一晩中可愛がった。


「昨日は素晴らしかったです優様…」


 妙にテカテカしてるナズナを連れて皆の所へ行く。


「ご主人おはよー、お?ナズナさんもおはよう。相変わらず可愛いねぇ」


「おはようナズナ殿、遂に叶ったのだな。」


「あぁ、ナズナさんですか、おはようございます。」


「ナズナ様ぁ、人の体も素晴らしいですぅ…」


「はい、皆様おはようございます。」


 ナズナとナスハ達が何事も無く挨拶をする。


「え!?皆知ってるの!なんで!?」


「皆様には前もって報告と口止めをしておいたんです、優様にサプライズしたくて!」


 そう言えば前もサプライズでシャンプー作ってくれてんだっけ、意外とサプライズ好きなんだよなナズナ。そんな事を思い出す


「また驚かされちゃったな。」


「ふふ、サプライズ成功です!」


「じゃあ皆も集まったし朝ごはん食べるか!」


 なんだかんだ元の世界よりも充実した異世界生活を送っているよなぁと思いながら俺達は食堂へ向かった。

この世界基本的にまともな人が多いので争いになりにくい!

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