世界線航、二度目の異世界へ。
現実世界、世界線航は再び異世界へと召喚された。
勇者歴100年7月1日12時00分。
「おわ! 眩し! ……ってなんだ。また見覚えのある場所だな」
そこには剣と魔法のファンタジー世界が広がっていた。
「感じとしては、この前来た。電脳都市ライデンだな。うん、看板にもそう書いてある……て日本語かよ……ファンタジーなら読めない文字にしろよ気合入れろよプレイヤー達」
そこでキョロキョロ見まわしてから気づいたことが一つ。
「あれ? 神妹のサキは?」
決定的なことに気が付いた。
「え!? まさか今回は神様という名の付き人も居ないの!? うわマジで異世界ボッチ召喚じゃねーか! これ何てハードモード?!」
そう言えば、あいつら前回イージーモードとか何とかかんとか言ってたような気がする。
「あれ本気だったんだ、マジで手加減してたんだ。するってーとココは盤上の駒達の世界で……神様たちは観えないけど。駒を動かしてるってことか……おい、何か返事しろよ」
返事はない、ただの空気のようだ。
「サキが俺という名の駒を動かしてるのか? いや、俺は俺の意志で動いてるからそんなこと無いと思うけど」
兎に角、最初の小熊獣人の関連でヒントはもらった。そういう事にして、ポジティブに進んでいこう。
「えーってーと。この街にはあの小熊のくぎゅう? も居るのか、だとすると助けるフラグ? でも召喚された場所も違うし」
というか、何だか空気が違った。そう、雰囲気というべきものが決定的に違っていた。
と、そこへ。
爆発音と炸裂音と轟音が同時に遠方から響いて来た。途端に土煙が何かの戦闘機でも破壊したんじゃないか!? と思えるほどのうず高く舞い上がった。
「おわ! な、なんだ!?」
地響きと共に、村人ABCが逃げながら叫ぶ。
「逃げろー! 『四重奏』と『最果ての軍勢』が戦ってる! 巻き込まれるぞ!」
「大熊じゃねーよ、もっと天災の怪獣が戦ってると思った方が良い!」
「モンスターが居ても街の外の方が安全だ! 兎に角ここから離れて!」
人の波が逆流して津波となって押し寄せて来た。
「ちくしょう! 手がかりがねえ、小熊だ! 小熊に会いに行こう! あいつどこ行った!?」
だが、あっちに進めど。こっちに迷えど。前回に来た道路が見つかったので、記憶を頼りに探したが。小熊と出会えなかった。
「何がどうなってるんだ!? まるで盤上に小熊の駒が居ねえみたいじゃねえか! ……!?」
その時、ふと何かを感じ取った。
(そうだよ、ここが例えば。カードゲームの世界で、あいつら神々が遊んでるのだとしたら。フィールドに同じモンスターないしキャラクターが居ない事だってあり得る。小熊が手札に居るのか、墓地に居るのか、除外されてるのか、はたまたデッキにそもそも組んでないのか。それを盤上に居る俺だけじゃ判断がつかない。同じ場所に居ない以上、フィールドにセットされてないものと考えた方が良い)
「てーなると。ちょっと怖いが新キャラカードの特殊効果でも拝んだり。知ってからじゃなきゃゲームにならねえし、そもそも遊べもしないって事か。上等だぜ! おっと、まずはセーブだ!」
するとゲーム的なステータス画面が出て来る。
《勇者歴100年7月1日12時30分。『爆発音と探索中の航』の所でセーブしました。》
「よかった、このステータス画面は出る。てことは、デイライフの特殊能力は継続中って事か! ……、今デイライフって言ったけどちゃんと効果は発動するのか? もう一度強く念じながら……デ!」
と、その瞬間。彼方からビュウ! と。風の少年が吹き飛んで、地面にクレーターを作った。世界線航はその衝撃波で吹き飛ぶ。
「ぐへえ!? 痛ぇー!?」
血だ、血が自分の体からポツポツと出ている。爆発で脇腹に小石がかすった。
「うひー! あいつツエエなあ~」
すると瞬間、チリン。と鈴の少女がもう一人。
「あんたが油断するからこんなことになってんじゃない! 最初から本気出しなさいよ!」
「いやだって、あいつら本当にツエェぞ?」
白い煙の中から人影が2つコツリコツリと歩いて来た。右は普通のモブそうな学生服の少年、左は黒いパンクな服装の少女。
「出し惜しみは無しだ、文。俺から先に動くが、いいな?」
「勝手にしな! 私は悠々高みの見物でもしゃれこみますよーだ!」
街に半径25メートルにも渡り、ぽっかり空いた地面のクレーターの中で。彼ら彼女らは各々の主張をぶつけ合う。
「僕の名は不動武、こっちは不動文。風の精霊、センクウ。火の精霊、ヨスズ。お前たちを秩序維持のため逮捕する」
少年センクウと少女ヨスズは2人そろってハモリながら。
「「うるせー! しらねー!」」
と言った後。爆風と烈火を解き放って攻撃した。
が、その力はオセロ型の神器が五芒星の陣形を取り、精霊達の力をあさっての方まで吹き飛ばして。爆発四散した。
世界線航は、その業火に燃える町々と惨状を見つめながら。
「何だこの超火力は!? 初心者の街って確か言ってなかったっけ? あいつら難易度設定間違えただろ!?」
(パラメーターもHPゲージも、何なら特殊能力も不明。もうここで。この辺で引き返すか? デイライフを使うか? だって、こいつらのやってる技の数々って。まるでどっかのアニメの最終決戦みたいな。作画と気合の入りようじゃねーか! 無理! 死ぬ! 逃げたい!)
一応名前だけは解った状況、死んだら終わり。しかも自分は一般人で腹を負傷中。足手まとい。というか負傷者。
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!!!
ジュ!
それだけだ、それだけで。
世界線航は、彼は死んだ。
……。
――。
――――おーい。
なんだ、誰の声だ?
「私だよー。神様の妹、サキだよー」
なんだよ、今さら来たってもう遅いじゃねーか。
オレ、もう死んでるんだぜ?
「まだだよ」
なに?
「何のためにデイライフの1番最初のルールを。【念じたりしたら】って入れたと思ってんのサ」
1:デイライフと魔法を唱えたり念じたりしたら、24時間以内をループすることが出来る。
なに?
「今は瀕死状態ってやつだからさー、今ならまだ間に合うよ? さあ、唱えてごらん」
おい、神妹。
「なに? もう死ぬよ? すぐ死ぬよ? 今死ぬよ?」
ゲーム終わったらぶっ飛ばす!
「ぷふふ!」
――――デイライフ!!!!――――。
ガカチジジュジシャジグォガジバジュガジィィ―――――!!!!
《デイライフが発動しました。5分前、『爆発音と探索中の航』までロードします。》
そして俺の意識は再び覚醒した。
◆
~メタ世界、神様の間。~
「なに? エレメンタルワールドの続きをやれだぁ?」
神姉ヒメは疑問文を神妹サキに投げかける。
「……、確かにアレは完結出来て。続きもこの状態なら書けるが……、でもアレ人気も出なかったし」
「この期に及んでまだ、人気の良し悪しとか気にする? 思考を鈍らせるだけだよ」
「人気は大事だろうが、面白い物語を作るのがわしの仕事だ!」
「だったら、ここでその話もシナリオに組み込んじゃえばいい。どうせハイファンタジーだし」
そして、今ある盤上を見つめる。……確かに組み込めないことは無い。
「ん~どうなってもしらないぞ? 自信も無いぞ?」
「これ以上下がることも無いってばさ。それに行き当たりばったりのプロット進行でしょ? 進行してからじゃなきゃ解らないってばさ」
……、一理ある答えだった。
「どうなっても知らんぞ」
パチ。と駒を一歩動かした。盤上のシステムが自動的にそのアクセス解析を受理する。
《世界観にエレメンタルワールドの設定が組み込まれました、ストーリーを進行します。》




