流局
ジャッジマンが審判を下す。
「時間です、神妹サキ様。〈長考のし過ぎ〉により流局。神姉ヒメ様の勝ちとなります」
サキは悔しそうに脱力する。
「だーもー! きっつー! 何さこれー!きっつーい!! もう一局! 同じ盤面でもう一局!」
と言ったが、ヒメは「いや」と返答した。
「サキには早すぎる局面だった、または駒の能力が強すぎた。しかも脈絡もなく登場……これでは勝負のつけようがない」
「……つまり?」
「私は、この勝利を受け取らない。つまり二人とも、この局面を無かったことにして流す。流局だ」
「でも、棋譜は残すんでしょ?」
「当然、下手な立ち回りでも立派な局面だ」
「じゃあ一局目はこのまま流局して、二局目に突入ってことね」
「ああ、こう言っちゃなんだが。デイライフは面白い。私達が、ループであっても〈死にゲー〉としなければ良いだけの話だ」
「なるほどね、これはそういうゲームか」
「次は、もっと情景を楽しむことをおすすめするよ」
「あいよわかった」
ジャッジマンが進行する。
「それでは二局目に入ります」
「先手は?」
「サキからで良いよ」
神妹サキが手を動かす。
「んじゃお言葉に甘えて」
盤面は煌びやかな景色を写し出した。