EP30 戦いって必要ですか?
「_______________ジョンさん、なのか?」
勇者一行が驚いた表情を見せる。剣には血がこびり付き、その前には巨大な体躯を誇ったであろう魔王の遺体が転がっていた。
「やぁ、ライデイン........久しぶりだね?」
体感で言うとニ、三日なのだが、女神が言うには既に幾ばくかの月日が立っているらしい。
(此処が演技の見せどころか.......)
女騎士と聖女を寝取るまでの道筋は頭の中で既に完成している。後は実行するだけだ。
「ジョン!魔王を倒したのか!」
ヴォルフガングが嬉しそうに大きな斧を掲げる。
「待って、様子が可笑しい。」
女騎士ヴァレンタインがヴォルフガングの前へと手を出す。
「ぐふ、あはははは!!私が!私が今から魔王だ!!」
高らかにバカ笑いをし、鎧が漆黒へと染まっていく。ちなみに漆黒へと染まっていくのは女神にあらかじめ頼んでおいたからだ。
「鎧が闇に包まれていきますッ!」
聖女ルナマリアが動揺とした様子で仲間たちへと叫ぶ。
「みんな、あれは__________敵だ。」
勇者ライデインの台詞と共に戦闘態勢へと入る勇者一行。
「酷いな、私は君達に刃は向けていないだろうに?くく」
「なら!その禍々しいオーラはなんだ!一体何をしたんだ!」
瀬名は魔王の遺体へと指を指し事実を告げる。
「魔王を倒したんだよ。私一人でね___________そして呪いを受けた。闇が私の精神を蝕んでね、くく、今は晴れた気分だよ!」
「呑まれたの、ですか......?」
聖女は冷や汗を浮かべながら問う。
「呑まれた、か。違うな、受け入れたのだ!私は友を救い出せなかった........魔王に殺されるなか、ありがとうと口にした彼の最後の顔が.........脳裏に焼き付くんだよ。私には力が足りなかったんだ.....力さえ在れば........彼を救えたんだッ........私に...力が...」
悔しそうに嘘の説明を演技する。
「........あんちゃん」
ヴォルフガングは拳を強く握りしめる。
「もう誰にもあの様な顔はさせない......私が......いや、俺が魔王になり世界を一つにする。」
剣を鞘から抜き、ライデイン達へと向ける。
「その第一歩として勇者よ......お前を殺す__________戦いの火種となりかねない貴様をな。」
勇者は聖剣の光を強くする。希望の光が目の前の者を敵と認めた証拠だ。
「ジョン、やめるんだ.......こんな無駄な戦いはしなくていいんだ!お願いだ、剣を収めてくれ!」
「あんちゃんッ!!考え直してくれ!」
ヴォルフガングも勇者に同調し、止めるように言う。
「ヴォルフガング、貴方は故郷にでも帰れ。そしてか弱い女子供は斬りたくない.......去ってくれると助かる。」
あくまで敵はライデインだけだと告げる。
「騎士である私を愚弄するか!」
「勇者様をお守りするのが聖女としての努めです!引くわけには行きません!」
「ライデインは俺の戦友だ。そいつを死地に置いて帰るなんて俺には出来ない。なぁ頼むジョンよ......剣を置いてくれ。俺はお前とは戦いたくない!」
ヴォルフガング、本当に良い奴だなぁ.....
「そうか________掛かってくるがいい。魔王は此処にいるぞ?」




