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ファイナルクエスト  作者: びでばき
3/5

異世界から来た女剣士

 翌朝。

 すっかり生気を取り戻した2人は「北の端」を目指して歩き始めます。

 しばらく歩くと大きめの城壁が見えてきました。

 私は

「久しぶりの街だ。ここで「グルガン」と「デルフェス」に会えるかもしれない」

 と思わず口ずさみました。

「エイミー」も嬉しそうです。

 早速中に入ります。

 城壁の中に入ると、店は賑わい、人が多くいて、活気があふれています。

 しかし、彼らは予算が少なかったのです。

 取り合えず腹がが減ったので、何かを食べよう・・・と店に入ります。

 店は混雑していました。

 私はサンドイッチを買い「エイミー」と分け合いました。

 その時でした。

 どこかから

「キキー」

 と声がしました。

 その声の主は間違いなく船着き場で出会った猿でした。

 相変わらず他人を襲って生計を立てていました。

 私は猿に近づくと猿は

「キキー」

 と嬉しそうにすり寄っていました。

 私は盗まれた金を持ち主に返して、サンドイッチのかけらを口に近づけます。

 猿はそれを「一気食い」した後

「キキ、キキ」

 とねだってきました。

 しかし、私は予算切れで買い与える事が出来ません。

 その時、店内にあったポスターに「賞金が出る闘技場ゲーム開催」と書かれていました。

 私は

「ここで予算が増えるのなら、参加してみようかな」

 と思い、闘技場まで足を運んでみました。

 闘技場は、多くの人であふれかえっていました。

 私は人並をかき分け、受付に着きました。

 申し込む人が多くて、待たされる羽目になりましたが、何とか受付を済ませ「エイミー」の元へ帰ってきました。

「エイミー」が心配そうに見つめる中、私は順番を待ってました。

 少し時間がたったその時、闘技場が騒がしくなりました。

 闘技場では、モンスターが逃げ出さないように「結界」を張っているのですが、何者かの手によって破られてしまったのです。

 しかも逃げ出したのは最強ランクのモンスター「三つ首龍」でした。

 モンスターが暴れまくっているため、街は大混乱に陥りました。

 闘技場の参加者たちもモンスターの暴走を食い止めよう…と立ち向かいますが、逆にやられてしまいます。

 私も他の参加者とともに剣を振り下ろしますが、こちらの攻撃にモンスターはやられようとしていません。

 逆に「三つ首龍のモンスター」は、私の体をめがけて噛みついてきます。

 絶体絶命のピンチでした。

 その時「長髪の女剣士」が、あっさりと首を切り落としたのです。

 私は怯えていたのか、何もしゃべらずに黙っていました。

 すると彼女は

「何もしようとしないだけじゃない」

 と言われました。

 そして続きざまに

「私の名前はトライブ。オメガピースからここへ飛ばされてきたの。コラボとか言って」

 と話しかけます。

 私は相手が自己紹介してきたので名乗らないとまずいと思い

「助けてくれてありがとう。私の名前はアックス」

 と、自己紹介します。

「トライブ」は、挨拶もそこそこに、剣を振り上げ「三つ首龍のモンスター」にとどめを刺します。

 街の中に静寂が訪れました。

 闘技場の支配人は

「トライブ、危機を救ってありがとう」

 と言い、報奨金を渡します。

「トライブ」は報奨金を受け取ると、支配人に

「オメガピースに帰りたいが、どこへ行けばいいのか?」

 と聞いてきます。

 すると支配人は

「オメガピースねぇ。知らないな」

 と答えます。

 私はとっさに

「北の方へ行けばあるんじゃないかな?」

 と言い「トライブ」に

「今kら北の方へ行くんだけど、一緒に旅についてくれないか?」

 と誘います。

「トライブ」は

「いいよ」

 と言ってついて行くことになりました。

 私と「エイミー」、そして猿と「トライブ」は街から出ます。

 しかしあの町でも「グルガン」と「デルフェス」は見つかりませんでした。

 私は

「もっと海岸側を通って行ったらどうか」

 と話しかけます。

 私の記憶の中では確か村があった気がしました。


 そして歩くこと数時間。辺りが暗くなった時、遠くのほうに明かりを見つけました。

「村だ!」

 と私が叫びます。

 駆け寄ろうとしたとき突然大地が揺れて「モンスター」が現れました。

 私は

「何もしていないところを見せつける!」

 と言わんばかりに突進していきます。

 彼女は慎重に進んでいきます。

 私は剣を振り上げ、先制攻撃します。

 しかし、周りは暗闇の中。

 私の気合も攻撃もかすってしまいました。

 そんな中でも、冷静にモンスターをしとめる「トライブ」を見て私は一言

「すごいなぁ。さすが強い女剣士だ」

 と感激していました。

 しかし「トライブ」は浮かない顔をしていました。

「トライブ」は

「なぜ攻撃に参加しようとしなかったの?」

 と、私に問いかけてきます。

 私は

「暗闇の中で攻撃目標を見失ったから……」

 とボソッと答えました。

「トライブ」は

「そうなんだ」

 と答えます。

 確かに私は目がよくないのですが。あまりにも暗かったので攻撃できなかったことを「トライブ」に伝えることに一生懸命説明しました。

 しかし、説明を聞いてくれるはずはありませんでした。

「トライブ」は

「たとえ困難な状況下でも、抜けられる道がある。だから戦うのじゃない?」

 と言ってきます。

 しかし私は

「これでも一生懸命戦っているつもりだよ」

 と答えます。

「トライブ」は一言

「わかった」

 と言ってうなづきました。

「エイミー」が

「アックス、トライブさん、村で休みましょう」

 と提案します。

 3人プラス1匹は、村の入り口に来ました、

 見回りの門番に「トライブ」が

「泊まるとこありますか?」

 と聞きます。

 すると門番の1人が、奥に行き、宿屋の親父と話します。

 数分後。

 門番が出てきました。

 そして

「宿が開いてるからいいよ」

 と答えます。

 3人プラス1匹は宿屋にたどり着きます。

 彼らたちは疲れていたのか、夕食もそこそこに済まして寝てしまいました。


 翌朝。

 彼らたちは遅い時間に置き始めました。

 私は

「体が痛い…まいったな」

 と言います。

 一方の「トライブ」は体を伸ばしていました。

 その後「トライブ」は「はぁ」と一息つきました。

 そして

「いつになったらオメガピースに帰れるのか」

 と一言漏らします。

 私は本音では彼女にずっといてほしかったと思いました。

 しかし、人それぞれには居場所があります。

「トライブ」も帰りたい場所に戻る気持ちは痛いほどわかります。

 私も「ファイナルクエスト」の世界に入れるわけがありません。

 なぜなら、ここは現実と離れた世界なのですから。

 いい加減「先に進みたい」思いでいっぱいになります。

 しかし「先へ進む」には、プレイを続けないといけません。

 私たちはお世話になった村を出て、北のほうへ向かいます。

 しばらく歩くと「(ほこら)」が見えてきます。

 世界に8つしかない「ナチュラルクリスタル」が祭ってある祠です。

 その中に入ることにしました。

 その中は(おごそ)かな空気に満ちてました。

 その祠の真ん中には「ナチュラルクリスタル」が輝きを放っていました。

 私は

「そういえば、ナチュラルクリスタルは未来を予想できるはず」

 と思い出し、その中にある小さな穴をのぞき込みます。

 そこには、苦しむ「グルガン」と「デルフェス」の姿が見えました。

「一体、どこにいるんだ?」と思ってナチュラルクリスタルに問いかけます。

 するとそこから緑色の光が北西の方向へ伸びていきます。

「そこに仲間がいる」

 私はそう確信し、祠を出ようとします。

 その時「トライブ」が

「オメガピースの場所を教えて」

 と言います。

 すると祠の中の壁に穴が開きました。

「ここからオメガピースに帰れるのね」

 と興奮しながら穴を抜けようとします。

 ちょうどその時。

 壁の奥からモンスターが現れました。

「トライブ」が

「えっ?」

 と驚きましたがすぐさま臨戦態勢を整えます。

 私が

「助太刀しますか?」

 と言いましたが「トライブ」は

「いいよ。これは私の戦いだから」

 と言ってバトルします。

 モンスターは「トライブ」の猛攻に圧倒されて倒れてしまいました。

「トライブ」と別れの時が来ます。

 彼女は

「またどこかで会いましょう。一緒に冒険して楽しかったわ」

 と言い残し、壁の穴に入っていきます。

 私は

「あっ」

 と言いましたが、壁の穴は「トライブ」が入るとすぐに閉じてしまいました。


 私は「トライブ」が消えていくのを見届けた後、しばらく「ボーッ」としていました。

 しかし、彼女が持ってた「冷静さ」と「心の強さ」は正直言って「見習うべきもの」だと感じてしまいました。

 確かにゲーム上では強い…とはいっても実際はこんなに弱い自分に嫌気がさしてきた…というのが素直な感想だったのです。

 そして、すべてを見通せる祠で私がやることはまだありました。

 離れ離れになった仲間たちを探すことです。

 幸い、祠の力でいる方角が分かったので、北西の方向に向かいます。

 祠で見た「苦しむ2人」に一刻も早く追いつければ…という「使命感」で満ち溢れていました。

 辺りは暗くなってきました。

 私たち2人と1匹は「モンスター」がいないことを確認して結界を張ってテントで寝ます。

 しかし、なかなか寝つけません。

 疲れがたまっていたこともありますが、やはり「トライブ」のことが気になって仕方ありません。

「考えても仕方ない。これは私の戦いでもあり、エイミーの戦いでもあるのだから」

 と思い直し、毛布を引っ張り、瞳を閉じます。

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