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第4話 ノームの住む異世界?! そんな俺に魔導書が?!

小さいおじさんと時空の割れ目に落っこちと思っていた俺だったけど……


じつは、とんでもないことに巻き込まれてる?!

 小さなおじさんのような人々が、俺を待ち構えていた。罠だったのか?! 嵌められたのか、俺は。それとも……。


 そう思う間もなく、沢山の小さなおじさんたちの間から、一人の小さなおばあさんが前へ進み出る。


 周りのおじさんたちは道を、そのおばあさんが歩みやすいように、開けていく。

 

 おばあさんのような人は、俺の目をじっと見つめる。


 それが暫く続いたので、俺はつい身構えてしまう。

 だが、その目は畏敬の念に満ちているようにも見えた。


「おお、間違いない! 古よりの言い伝え通り! 伝説の大魔法使いさまが現れたのじゃ!、約束通りお越しいただきありがとうございます」


 小さなおばあさんは膝をつき、深々と頭を下げた。


 え? 俺? 俺が伝説の大魔法使い? 何を言っているのか、さっぱりわからない。


 すると、小さなおじさんに見える人々が、ひゃっほー! と大声をあげ、飛び跳ねるたり拳を上に挙げて、大喜びしている。なかには踊りを舞っているものさえいる。

 

 にわかに始まった爆発的な喜びに、俺はあっけにとられた。

 

 すると、一人の小さな少女が、小さなおばあさんの脇に静々と歩み寄る。なかなか顔がかわいらしく、年の頃13,4歳のようだ。今の俺と同い年くらいか?


 気のせいか頬が上気しているように見える。


「ささ、大魔法使い様が御越しあそばされた。宴の準備じゃ」


 そうあばあさんが言うと、小さな少女の小ぶりな手が俺の手を取り、人々の中へ連れ込む。


 いかに身体が小さくなったとはいえ、それでも俺には小さすぎる椅子が用意され、そこに腰を下ろすと椅子がバキっという音とともに真っ二つに割れた。それをみていた、皆が大笑いとともに、歓声があがる。


 その歓声を合図にしたかのように、宴席が設けられる。

 

 小さなテーブルに、とても手の込んだ器が並び、その上には山の幸や肉料理がなどが取り揃えられていく。その脇ではどんどんと手際よく料理が作られていった。


 どうやら、俺が最初に出会った小さなおじさんがここを出てから準備を始めていたかのようだ。

 

 おじさんやおばさんのような人々が踊り、俺の手元には小さくて、でも、趣向を凝らした美しい杯を握らされた。その杯は本当に美しく、小さくても手の込んだ小さな宝石がちりばめられている。


「ささ、どうぞ大魔法使い様、ぐいーっといってくだされ」


 小さなおじさんの一人が杯に液体を注ぎ込む。俺は鼻を近づけて、臭いを嗅いでみた。

 どうやら果実酒のようだ。毒じゃないよな? 


 周りの人々がジーっと見つめるなか、思い切って飲み干した。美味い! ほんのりとした果実の香りとともに、適度なアルコールの刺激がのどを潤す。


 俺の隣に1つの席が設けられ、そこに先ほどの可愛らしい小さな少女が腰をかけた。頬を染め、俺の盃に酒のようなものを注ぐ。


 ジーっとみつめられると飲まないわけにはいかない。グイっと飲み干す。やっぱり美味い!


 俺の腹がぐぅと鳴くと、おじさんたちは手の込んだ器に料理を乗せて、どんどん俺の周りに並べていく。

 さぁさぁ、どうぞどうぞ、と勧めてくる。それらを口に運んでいる最中に、さきほどの小さなおばあさんが、俺の前に歩み寄り、口を開く。手にはなにやら大きな本のようなものを持っている。表面がいやにキラキラと光り輝いている。LEDかなにか?



「まずは、伝説の大魔法使いさま、我らを長年脅かしてきた、グリュフォンを退治してくださり、誠にありがとうございます」


 え? あの怪鳥をやっつけたのって、あの小さなおじさんじゃなかったの? 俺?


「そして、その衣……。間違いなく伝説通りですじゃ」


「ちょちょちょ、ちょっと、待ってよ。俺なんにもしてないし、ただの通りすがりだし、それに突然こんなところに飛ばされて、何がなにやら……そのわからなくって……」


 こんな宴の主役に祭り上げられて、しかも伝説呼ばわりされ、さらに大魔法使い扱いされてさすがに後ろめたくなってきた。

 それに酒もまわってきたせいか、今までの思いを矢継ぎ早に口から飛び出した。


「ご安心なされませ。そのようなことも予言されております故に」


 おばあさんは、装飾の施されたなにやら高価そうな本を開くと、そこから眩い光が溢れだした。


 あたりから、おおおおおと驚愕ともとれる歓声のようなものが挙がる。


「おお、この古より伝わりし本の通りじゃ。そのもの現れし時、眩き炎が上がり同じ焔の色の衣を纏い、そしてこの伝説の書、光を上げそのものを眩く包み込むという……」


 その本の開かれたページからあふれた光は、俺を包み込んでいる。炎と同じ衣って俺、部屋着のジャージの上が赤いだけなんだけど。


「それ、何か勘違いしてるかも……」


 そう口を開いて、眩く光の本の文字が目に入った。


「あれ? これJavaScript(ジャバスクリプト)の本じゃ……」


 ひょっとして、俺が買ったあの本?!

 そう口を開くと、本の中の文字が光りだした。


「おお! さすが大魔法使いさまじゃ、魔法書を解読なされた! その呪文は……」


 すると、本のページが勝手にペラペラペラ……とどんどん捲れていく。そして、本に書かれているスクリプト命令が勝手に頭の中へ入ってきた!? 


 俺は、スクリプト言語は得意じゃないのに、なぜか本を見ていると、暗記していたように頭の中でHTMLタグや命令文が、速読しているようにスラスラと入ってきた。


 そして、本は最後のページまでめくれると最後に白紙のページで止まった。


「あれ? ここには魔方陣が描かれているはずじゃなかったっけ?」


 つい口に出ていた。


「魔方陣ですと?! 失われし項の事までご存知とは!! さすがは、大魔法使いさまじゃ!」


 みんなの歓声がさらに強いものとなって俺に襲い掛かってきた。


「我ら、樹木のノーム、スモノゲ一族の守り神にして大魔法使いさま! 我らをお救い下さる、伝説の存在ですじゃ!」


 え?! いまなんて? ノーム? 


 ノームってあのファンタジーの小さくて鉱物なんかのありかに詳しい、細かい工芸細工が得意な奴? 


 そう考えると、この盃や器のやに手が込んでて、美しいものを持っているし、身体も小さいし、みんなおじさんみたいな風貌、これってマジ?!


 ひょっとすると、俺はファンタジー世界に飛ばされた?!


「これで一安心ですじゃ。我らをお救い下され……どうか、お願い致しますじゃ……」


 そう、おばあさんの風貌のノーム(人じゃなかったんだ……)が地に頭がつかんほどに下げると、他のノームたちも帽子をとり、頭を下げてきた。


 どうやら、俺は何者かから彼らを救わないといけないらしい……。



 って俺、こんなに小さくなってるし、なんにもできないんですけど?!

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