R.I.P
人生でこれほど水を美味しく感じたことはない。
冷静さが取り戻されていくのを感じる。
貧すれば鈍するという言葉があるが、どうやら本当らしい。
…使い方、間違っている気がする。
やはり寝不足だ。
迅速に動こう。
バックを開けると籠っていた臭いと共に彼女の寝顔があらわれた。
…相変わらず整った顔立ち。
ガムテープを剥がし、汚れたタオルを浴槽に投げ捨てる。
パジャマ姿の彼女が横たわった。
…。
そういえばなんでパジャマ姿なんだろう?
学校、休んでたのだろうか?
着ている服を脱がし、下着姿にする。
とても華奢な彼女の肌は泥やら煤やらで汚れているが色白で、とても健康そうには見えない。
あばらもやや浮彫になっているし、胸も小ぶりだ。
…起きたらご飯を作ってあげよう。
下着を脱がせ、まとめて浴槽に投げ入れる。
…。
洗濯は明日でいいだろう。
彼女を抱えて風呂場に入り、壁にもたれかけさせてシャワーをかける。
薄汚れた泥が落ちて、あらわになる青白い肌。
…。
今、起きてこられたら最悪だな…
どうか安らかに眠っていてくれ。
一通り洗い終わって綺麗になった。
バスタオルで彼女の体を拭く。
そういえば替えの服がないな…
…僕のTシャツでいいか。
このままでは目の毒だしな。
サイズの合わないシャツを着せ、手首をタオルで縛っていたあたりで彼女は目を覚ました。
「…ここ、どこ…?」
薄目を開け、か弱い声でそう尋ねる。
「僕の部屋だ。今、足を縛るから待ってて」
彼女は改めて自分の姿を確認した途端、顔を真っ赤にして暴れだした。
「なんで裸なのよ!ってか足持たないでっ!見えるでしょ!」
「Tシャツ来てるでしょ。それに暴れると余計に見えるよ。大人しくして」
彼女は急いで前に手をやると、足を閉じ、シャツで必死に局部を隠した。
「…よし、できた」
彼女を抱きかかえベットへ向かう。
…。
彼女は何か叫んでいたが聞き取れない。
…。
正直、我慢の限界だ。
彼女をベットに寝かせ、僕はその上を覆いかぶさった。
「えっ!?なになに?」
「…静かに」
もう、いいだろう。
…。
…。
焦る彼女をしり目に、ゆっくりと瞼を下した。