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Double bind  作者: 佐々木研
アカデミアの春
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いままでのあらすじ

 「単刀直入に言うとね、医学部にも研究室配属があるでしょ?蓮君もここじゃない別の研究室に属していると思うけれど…。教授はその垣根を取り除こうとしているの。だけど実際、そこまで上手く事は運んでいない。大学規定を変えなければいけないし、万が一実現したとしても、実施はもっと先でしょう。少なくとも今年度はまだ実現しない。だけれど、それは規模だけの話で、少数の学生で試験的に共同研究をさせてみようって話にはなっているみたい。『共同研究』と銘打ってはいるけれど実際はただの引き抜きね。貴方の転学も視野に入れているみたいよ?」


 「おい橘!お前ここ数日どこ行ってやがった?饅頭なんか土産で買ってきやがって…。てめえのせいで俺がどんだけ苦労したと思ってんだ!梅野といい伊吹といいばばあといい…。俺はお前の連絡係じゃねーんだぞ?…お前もいい大人なんだから少しは社交性を重んじろよ。泡食ってるのは周りなんだぞ?」


 『よかった!!やっと繋がった…。…先輩、葛西あいりです。実はあやめのことで大事な話があるんです。今週の土曜日に大学で会えませんか?』


 「いたいたいたいたっ!橘蓮っ!!今日という今日は付き合ってもらうわよっ!アンタのせいでとんでもないことになったんだからっ!!椎名先輩も百合も頼りになんないし、雅君には鬱陶しがられるし…。…私、回りくどいの嫌いなの。もう率直に言うわ。バイトなんて止めなさいっ!あんなの、アンタにとって百害あって一利なしじゃん。もっと高度な勉強がしたいなら素直に片桐教授のとこでしなさいよ!!」


 『…蓮?今、大丈夫?…学校はどう?困った事はない?…足の調子は?顔はよくなった…?…ごめんなさい。貴方もお父さんと同じでこういうの嫌いだったわね…。…お土産、美味しかったわ。貴方がこんな事をするなんて、時が経つのは早いわ。それだけ私も歳を取ったと言う事なのでしょうけれど…。…ごめんなさいね。本当は貴方の声が聞きたかっただけなのよ。蓮がお節介を嫌うのは分かるけれど、それでも、母親って生き物は子が心配な生き物なの。だからね…』


 「…お前、旅行に行ってたんだって?いいご身分だわ。女を侍らせていけしゃあしゃあと…。勉学はなおざりってこと?よく息をしていられるな。あたしには理解できない」



 「おっ、やはりここにいたか。いつもいつも煙草なんてつまらん物吸いおって…。…皆から話は聞いたか?…難儀なものだな。力あるものは、望もうと望まざるとその在り方を問われ続ける。一挙手一投足が他人に影響を与えるだろう。その結果が今だ。誰が悪いと言うこともない。強いて言うのなら舞台を整えた私か…。…だが、持てる全てで以て最大の利潤を求めるのは、至極当然と言えるだろう。橘、お前だってそうしてきたはずだ。…回りくどいか?だがお前には率直に伝わっているはずだ。私は、自分が楽しむためなら何でもやる。期待しているぞ?」

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