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Double bind  作者: 佐々木研
灰色のオセロー
136/148

まだ起きてる?

 旅館に着くまでの間、なぎは心ここに在らずと言った調子だった。

 昼に食べた天ぷらそばも携帯を見ながら黙々と食べていたし、自分の洋服を買う時も色合いだけを見て適当に選んでいた。

 なぎは普段ならそれなりに見た目を拘っていたような気がする。

 僕がみっともない恰好をしていた時は皮肉交じりに注意してくるし、近所のコンビニに行く時ですら鏡を見てあぁだこうだ言っていた。

 細心の注意を払っている、と言う訳ではないだろうが、お洒落を蔑ろにするような人間でもない。

 そんななぎがおざなりにしてまで他の事を考えていると言うことは…

 …何かを企んでいる。

 どうしたものか…



 「…アンタ、今日はのまないの?」

 並んだ海鮮料理を前に、なぎは口を開いた。

 今日、初めて自分から話題を振ったような気がする。

 「なぎが呑みたいなら付き合うよ」

 「…このつみれ鍋、日本酒が合うって書いてあるわよ?」

 目が泳いでいる。

 なぎ自身が呑みたいのか、『僕にだけ呑ませたい』のか…

 …。

 「じゃあそれも頼もうか」

 どうせ僕は呑んでも呑まなくても、夜は眠くなる。



 睡眠中の寝返りは、骨格筋の休息や体温調節の役割を果たしている。

 健康的な人間は一夜で少なくても20回は寝返りを打つ。

 睡眠時間を7時間とするなら、20分に1回は行うはず。

 …。

 隣の布団を見る。

 なぎはこの1時間の間、一度も寝返りを打っていない。

 単純に不健康だと断定することは容易だが、今朝からの言動を鑑みると…

 …。

 寝たふり、だろうな。

 なら、僕はどうするべきか…

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