リンゴ齧って眠る
「…流石に暇ね」
「そうかな?」
偶の休みくらいゆっくりすればいいのに…
「アンタはいつも大学に行っていたからそうでしょうけれど、私はずっと家に閉じ込められてるの。休ませる体がないわ」
…僕の顔はそんなに分かりやすいだろうか?
「お金は溜まってきているのでしょう?いい加減、新しい風が必要だわ」
新しい風って…
「本でも買う?」
「そういうインドア系の一切合切が飽きたと言ってるの。使えない頭ね」
…難しいなぁ。
「キャッチボールでもする?」
「下の下ね」
ソファの上から足で蹴られる。
「もうちょっと品よく、さ…」
「何?そうしたらどうなるって言うの?異性にもてるって?はっ。アンタしかいないじゃない」
…機嫌が悪いみたいだ。
「どこか食べに行く?…そう言えばなぎって好きな食べ物とかあるの?」
「今は食べ物の話しないで」
…。
「具合悪いんでしょ?大人しくしてた方がいいよ」
「うるさいわね。気分転換がしたいのよ」
頑固だなぁ…
…。
「じゃあさ、生理が収まったら旅行でも行こうか。予定は全部、なぎが決めていい」
それならこの辛い期間も楽しく過ごせるだろう。
「…死ね」
また間違ったみたいだ。