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気付くと、ぼくは天蓋付きのベッドの中で微睡んでいた。
何やら縮んでいる。
寝室の壁に大きな姿見があったので、ベッドから出てぼくの姿を確認。
5歳くらいの美少年?美少女?が居た。
性別を確認したら前世同様女の子だった。
どうやら今回も性別わかり辛い模様。
服は日本でも有りそうなモコモコとしたネコミミフード付きのパジャマだった。
生前のぼくなら全く似合わなくて悶絶し恥ずかしくて転げ回ったと思う。
まぁ今も恥ずかしくは有るんだけど、似合ってたから鏡をガン見しちゃったよ。
コスプレしてた学生時代のお友達の気持ちが今になって分かるとは…。
しかもその娘はコスプレしていただけでなく、ドール人形と言う完成品ではないパーツ組み立て式の駆動型人形に同じジャンルの衣装を着せたりしながら愛でていたツワモノだ。
あれは子供が出来たら同じ事をしそうだなと何度か思ったものだ。
ともかく、姿見の前で角度を変えて少しポージング大会。
ヤバイ、ナニコレ可愛い!
自分とは思えないほどの愛らしさだった。
肩ほどの黒みがかった深緑色の髪色をしたストレートオカッパ頭。
柔らかそうで血色の良い色白の肌。
大きな瞳タレ目は角度によっては虹色でキラキラする金色。
泣き黒子まで付いている。
なんかもうお人形さんと言うか、ザ・異世界っていう不思議な色合いである。
パニマ様の説明では、この五歳の姿からゆっくりと成長する。
成長の過程は人と違い。
ダンジョンマスターとしてのレベルと連動しゆっくりと変わる。
20歳程の姿になってからは見た目の成長は止まるそうだ。
「はぁ、異世界なんだなぁ。…あれ!?声が出る!」
子供特有のキーの高い声が自分の口から出たと気付く。
パニマ様の前で声が出無かったからずっと出ないのかと思ってしまったが。
神の御前で罪人の声が発生するのは穢れるとかそう言う類の事だったのかなぁ?
転生したからもう大丈夫とか?
うーむ、よー分からん。
少し落ち着いたのか我に返って周囲を見渡す。
この寝室部屋は10畳程の大きさで、ベッドや家具周りは西洋風。
でも、足元は畳で土足厳禁。
家具から少し離れた辺りから畳に寝転がれるクッションやコタツテーブルが有った。
ベッドの反対側の壁には、小さな本棚とパソコンラックや学習机みたいな机が有った。
なんていうかチグハグ和洋折衷部屋だな、コレ。
でも、天蓋付きベッド以外生前のぼくの部屋に近い。
まぁこんなに豪華でも頑丈そうでも無かったけれどもね。
なんと無くだけど、作業部屋と寝室は別なんだろうなぁと思った。
不老不死に休憩はいるだろうけど、睡眠食事はいるのか不明なので後で調べるか…。
て言うか1人部屋にしてはとても広い気がする。
「あ、そうだ!ステータスオープン!」
半透明な画面が空中に現れる。
視線動かすと、文字が上下するのはマウスみたいな感覚かな?
ここの説明を受けていた時に、異世界ファーブラの言語や一般常識や迷宮を作る細かい操作方法や、自身の使える魔法や身体能力などのスキルなど使用方法を教えてもらっていた。
正しくは魂に基礎情報はインプットとか言われた。
現在、ぼくの戦闘能力。
一般人レベルの1。
魔力はダンジョンマスター的力の行使の為にとんでも無く高めでした。
でも迷宮以外のぼく自身が行使出来る魔法などは、やはり殺傷能力が低めな物しか使用出来ない。
多分、安全装置的な縛り仕様なのだろう。
まぁ、ダンジョンコア空間からは出られないし、他のダンジョンマスター以外は進入不可能地域だそうなので戦闘能力は必要無さそうでは有る。
んでその中のステータス画面と言うのを眺める。
文字はぼくにも分かりやすくなのか日本語になっていた。
ピコン、ピコン!
と赤く点滅する文字がいくつかあるが、チュートリアルと書かれた文字が有るのでスマホみたいにポチッと押す。
「おはようございますマスター。」
「おはようございます我が主人様。」
ブォン!
と言う音と共に半透明なホログラフィーで綺麗な黒髪ロングメイドさんと片眼鏡のイケオジ銀髪老執事が部屋に現れた。
目の保養感凄い。
チュートリアルが終わると側近が貰えるって言われてたけど、彼らの事なのかな?
ホログラフィーから実体化するのだろうか?
分からんけども。
「あ、うん。おはようございます?」
我に返って答える。
でもちょっとキョドっちゃったのはひみつだよ。
これから、ぼくのダンジョンマスター生活のスタートです。