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ビービービービー!
けたたましい警報のベルが鳴り響く。
微睡むような擬似太陽の浮かぶ森林公園の様な新しく作った僕の部屋は、新しい階層のテストプレイ空間だった。
ここで試運転をしてから設置階層を決めたりする。
時々階層を増設したり模様替えしたりするのだ。
丁度何の魔物を設置するかを考えながら、まるでピクニックのようにゴザ引いて寝転んでいた。
擬似太陽の温度設定は春先なので、本当にポカポカして微睡んでいたのだ。
なので、突然の緊急警報音にビックゥ!ってなっちゃったよ!
「ひゃ!?な、うぇ?!どうしたの、何事?」
キョロキョロすると、ガラフから念話が届く。
「シリウス様、作業中申し訳ありません。緊急連絡が入りました。」
「緊急警報でなく緊急連絡?ガラフ、いったい何があった?」
慌てた声のガラフに問い掛ける。
「は、ブリガン氏が担当のテーヴェ軍事帝国北側のザナスト迷宮から魔物が溢れ出し、大量のモンスタースタンピードが発生。
担当のブリガン氏が行方不明だそうです。」
「は?」
「迷宮からは出られませんが、彼はかなりレベルが高いダンジョンマスターなので魔物にビデオ的な遠隔視覚でも付けるか憑依して…ブリガン氏は元々破滅主義者なので、何処か隔離空間でも事前に作成し隠れて見物しているのかもしれません。」
あぁ、あの厄介そうな目が尋常じゃないヤバイかんじで、いわゆるダウナー系のぶつぶつ言ってる人かぁ。
え?
憑依って何それ?怖い。
憑依して冒険者に倒されたら目も当てられないと思うよ?
ボクには理解不能な行動だよ。
てか、慣れてないかソレ?
死んでもいい程とか迷宮からどんだけ逃げたいのやら。
ホント、関わりたく無いなぁ。
尚、溢れ出して外に出たものはダンジョンマスターの管轄外となる為その地に住む者達に任せるしか無い。
だが、迷宮中の魔物の数はダンジョンマスターマスターが調整出来る。
が、今回は肝心の担当者ブリガン氏が、途方に暮れたからか愉悦的にかは不明だが、彼は仕事を放棄した。
緊急連絡の相手はやはり天使ローライト様だった。
・ブリガン氏の迷宮からのスタンピード説明。
・何時もの樹の下に集合せよ。
それだけの言葉が事務的に送られて来ていた。
端折り過ぎてむしろ恐怖しかしない。
集まった後の事が何しろ一言も説明無いのですが。
お怒りですか、そうですか。
ボクは有りえそうな八つ当たりにプルプル震え怯えながら大木へと向かった。