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SR満州戦記3  作者: 異不丸
表紙
2/31

米国の対日方針

2022年2月28日更新:

 『降伏後に於ける米国初期の対日方針:最終版』を追加


※資料原文は国立国会図書館のホームページにあります。

h ttps://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/01shiryo.html




【降伏後に於ける米国初期の対日方針:最終版】

本編中では『日本人改造計画』と引用される。1945年9月に大統領が承認し国務省が公表したもの。日本でも報道された。

U.S. Initial Post-Surrender Policy for Japan (SWNCC150/4/A) 21 September 1945.


降伏後に於ける米国初期の対日方針


この文書の目的

この文書は、降伏後の日本に関する一般的な初期政策の声明として作成された。大統領の承認後、米国の適切な省庁に配布され、その指導を受ける。この文書は、政策決定を必要とする日本占領に関するすべての事項を扱っているわけではないことを認識している。本書に含まれていない、あるいは完全に網羅されていない事項に関する方針は、後続の文書で扱われる。


第1部 究極の目的

初期段階の政策が適合すべき日本に関する米国の究極の目標は:

(a) 日本が再び米国や世界の平和と安全に対する脅威とならないようにすること

(b) 他国の権利を尊重し、国際連合憲章の理想および原則に反映される米国の目的を支持する、平和的で責任ある政府を最終的に樹立させること。合衆国は、この政府が民主的自治の原則にできるだけ近く適合することを希望するが、連合国は、国民の自由に表明された意思に支持されないいかなる形態の政府をも日本に強制する責任を負わない。

これらの目的は、次の主要な手段によって達成される。

(a) 日本の主権は、カイロ宣言及び米国が当事者となり又は当事者となり得る他の協定に従って、本州、北海道、九州及び四国並びにこれらの小離島に限定される。

(b) 日本は、完全に武装解除され、非武装化される。軍国主義者の権威および軍国主義の影響は、日本の政治、経済および社会生活から完全に排除される。軍国主義及び侵略の精神を表現する制度は、強力に抑圧される。

(c) 日本国民は、個人の自由を希求し、基本的人権、特に、宗教、集会、言論及び報道の自由を尊重するようになることを奨励される。また、民主的かつ代表的な団体を結成するよう奨励され。

(d) 日本国民は、国民の平時の要求を満たすことができるような経済を自ら発展させる機会を与えられる。


第2部 連合国の権限

1. 軍事占領

降伏条件を実施し、かつ、上記の究極の目的の達成を促進するために、日本本国を軍事的に占領する。この占領は、日本国と戦争状態にある国際連合の利益のために行動する主要な連合国のために行われる作戦の性格を有する。このため、日本との戦争に主要な役割を演じた他の国の軍隊の参加は、歓迎し、かつ、期待される。占領軍は、米国が指名する最高司令官の指揮下におかれる。

占領の遂行及び日本国の支配については、連合国の主要国が満足するような方針を定めるため、協議及び適切な諮問機関の設置によりあらゆる努力を払うが、連合国間に意見の相違があるときは、米国の方針が適用される。

2. 日本政府との関係

天皇及び日本政府の権限は、最高司令官に服する。最高司令官は、降伏条件を実現し、日本の占領及び支配のために定められた政策を遂行するために必要なすべての権能を保有する。

最高司令官は、日本社会の現状及び合衆国がその軍隊及び資源の最小限の投入によりその目的を達成しようとすることに鑑み、合衆国の目的を十分に推進する範囲内で、天皇を含む日本政府の機構及び機関を通じてその権限を行使する。日本政府は、最高司令官の指示の下に、国内行政の問題に関して通常の政府の権限を行使することを許可される。ただし、この方針は、天皇または他の日本の当局が降伏条件の実施について最高司令官の要求を十分に満たさない場合、政府の機構または人員の変更を要求し、または直接行動する最高司令官の権利および義務に従うものとする。さらに、この方針は、米国の目的の達成を目指す進化的変化に反対する天皇または他の日本の政府当局を支援することを最高司令官に約束させるものではない。この方針は、日本の既存の政府形態を利用することであって、それを支持することではな い。日本国民または政府によって開始された、封建的および権威主義的傾向を修正する方向での政府の形態の変更は、許可され、支持されるものとする。このような変革の実施が、これに反対する者に対して日本国民又は政府が武力を行使することを含む場合には、最高司令官は、自軍の安全及び占領の他のすべての目的の達成を確保するために必要な場合にのみ介入しなければならない。

3. 政策についての広報

日本国民及び全世界の国民は、占領の目的及び政策並びにその達成の進展について十分な情報の提供を受けるものとする。


第3部 政治

1. 軍縮・非軍事化

軍縮及び非軍事化は、軍事占領の主要な任務であり、迅速かつ決然としてこれを遂行しなければならない。日本国民に対し、現在及び将来の国民の苦難をもたらす上で、軍及び海軍の指導者並びにこれらに協力した者が演じた役割を明らかにするために、あらゆる努力を払わなければならない。

日本は、陸軍、海軍、空軍、秘密警察組織および民間航空を有しないものとする。日本の陸海空軍は武装解除され解散し、大本営、参謀本部およびすべての秘密警察組織は解散する。軍艦及び海軍の資材、軍艦及び海軍の施設並びに軍用機、海軍機及び民間機は、降伏し、最高司令官の要求に従い処分しなければならない。

日本の大本営および参謀本部の高官、その他の日本政府の軍および海軍の高官、超国家主義および軍国主義組織の指導者、その他の軍国主義および侵略主義の重要な支持者は、将来の処分のために身柄を拘束される。軍国主義および戦闘的国家主義の積極的提唱者は、公職およびその他の公的または実質的な私的責任のある地位から排除される。超国家主義的または軍国主義的な社会的、政治的、職業的および商業的団体および組織は、解散させ、禁止する。

教育制度からは、超軍事的訓練を含め、教義および実践における軍国主義および超国家主義を排除する。元陸海軍将校、下士官、その他軍国主義および超国家主義のすべての支持者は、監督および指導の地位に就くことを禁じられる。

2. 戦争犯罪人

最高司令官又は適切な国際連合機関によって戦争犯罪人とされた者は、国際連合捕虜又は他の国民に残虐な行為を行ったとされた者を含め、逮捕され、裁判にかけられ、有罪の場合には、処罰される。国際連合の他の国が自国民に対する犯罪のために指名手配した者は、最高司令官が裁判のため又は証人その他として指名手配していない場合には、当該他の国の拘束に付する。

3. 個人の自由と民主的プロセスへの欲求を奨励する。

宗教的礼拝の自由は、占領後すみやかに宣言されるものとする。同時に、超国家主義的および軍国主義的な組織および運動が宗教の外套の後ろに隠れることを許されないことを日本人に明らかにしなければならない。

日本国民は、米国および他の民主主義国の歴史、制度、文化および業績に親しむ機会を与えられ、これを奨励されなければならない。占領軍の職員と日本国民との交際は、占領の政策及び目的を推進するため、必要な範囲に限り、これを統制しなければならない。

民主的政党は、占領軍の安全を維持するために必要な場合に限り、集会及び公開討論の権利を有し て、奨励されなければならない。

人種、国籍、信条または政治的意見による差別を定める法律、政令および規則は廃止され、この文書に概説された目的および政策と矛盾するものは、必要に応じて廃止、停止または修正され、その執行を特に担当する機関は廃止または適切に修正される。日本の官憲によって政治的理由に基づき不当に拘禁されている者は、釈放される。司法、法律及び警察の制度は、個人の自由及び公民権を保護するため、この第三部の第一条及び第三条に定める政策に適合するように、実行可能な限りすみやかに改革され、その後漸次影響を及ぼすものとする。


第4部 経済

1. 経済的非軍事化。

日本の軍事力の既存の経済的基盤は破壊されなければならず、復活することは許されない。

したがって、特に次の要素を含むプログラムが実施される。あらゆる軍隊または施設の装備、維持、または使用のために設計されたすべての物品の生産の即時停止および将来の禁止、艦艇およびあらゆる形式の航空機を含む戦争道具の生産または修理のためのあらゆる専門施設の禁止、日本の経済活動における特定の要素に対する検査、および管理システムの確立により隠されたまたは偽装された軍事準備を防止すること,日本にとって戦争準備に主たる価値を有する特定の産業または生産部門を日本から排除すること、戦争遂行能力の開発を目的とする専門的な研究および教育を禁止すること、日本の重工業の規模および特性を将来の平和的必要性に応じて制限し、日本の商船を非軍事化の目的を達成するために必要な程度に制限することなどである。

このプログラムに従って撤去される日本国内の既存の生産設備の最終的な処分は、他の用途への転換、海外移転、スクラップなどで、目録作成後に決定される。決定がなされるまでの間、民生用生産に容易に転用できる施設は、緊急の場合を除き、破壊すべきではない。

2. 民主的勢力の促進

民主主義に基いて組織された労働、工業および農業の諸組織の発展は奨励され、また好まれる。所得並びに生産及び貿易の手段の所有の広範な分配を可能にする政策は支持される。

経済活動、組織及び指導の形態は、日本国民の平和的気風を強化し、軍事的目的のために経済活動を指揮又は指示することを困難にすると考えられるものを支持する。

このため、最高司令官の方針は、次のとおりとする:

(a) 将来の日本の経済的努力を平和的目的のみに向かわせない人物を経済分野の重要な地位に留まらせ、または選任することを禁止すること。

(b) 日本の貿易および産業の大部分を支配してきた大規模な産業および銀行の結合を解消するためのプログラムを支持すること。

3. 平和的な経済活動の再開

日本の政策は、国民に大きな経済的破壊をもたらし、経済的困難と苦痛を予期させるものであった。日本の窮状は、日本自身の行動の直接的な結果であり、連合国は、その損害を修復する負担を引き受けることはできない。日本国民が一切の軍事的目的を放棄し、平和的生活様式に一意専心する場合にのみ、その修復が可能である。そのためには、物理的な復興に着手し、経済活動および制度の性質と方向を深く改革し、平和に適応し、平和に専念する路線に沿って国民のために有用な雇用を見出すことが必要であろう。連合国は、これらの任務の適時の達成を妨げるような条件を付する意図はない。

日本は、飢餓、広範な疾病及び急性の身体的苦痛を与えることなく実施することができる限度において、占領軍の必要を満たす物品及び役務を提供することを期待される。

日本の当局は、次の目的に資する計画を維持し、発展させ、及び実施することを期待され、また、必要な場合には、これを指示する。

(a) 急激な経済的苦境を回避すること。

(b) 利用可能な物資の公正かつ公平な分配を保証すること。

(c) 連合国政府によって合意された賠償金の交付の要件を満たすこと。

(d) 国民の合理的な平和的要求を満たすことができるように、日本経済の回復を促進すること。

これに関して、日本の当局は、自己の責任において、重要な国家公共サービス、金融、銀行、及び必需品の生産及び配給を含む経済活動に対する統制を確立し、これを実施することを許されるが、但し、占領の目的に適合することを保証するために最高司令官の承認及び審査に服することを条件とする。


4. 賠償と返還

賠償

日本の侵略に対する賠償は、次のように行われる。

(a) 日本国が保持すべき領域外にある日本国の財産の移転(連合国の適当な当局の決定による)を通じて行う。

(b) 日本の平和的経済又は占領軍の補給に必要でない物品又は既存の資本設備及び施設の譲渡を通じて行う。賠償勘定又は返還として発送するよう指示されたもの以外の輸出は、それと引換えに必要な輸入品を提供することに同意し、又はその輸出品の代金を外国通貨で支払うことに同意した受取人にのみ行うことができる。賠償は、日本の非軍事化のための計画を妨げ、又はこれを害するような形で要求してはならない。

返還

特定できるすべての略奪品について、完全かつ迅速な返還が要求される。

5. 財政、金融、銀行政策

日本の当局は、最高司令官の承認と審査の下に、国内の財政、金融および信用政策の管理・指導に引き続き責任を負う。

6. 国際貿易と金融関係

日本は、最終的には、世界各国との通常の貿易関係を再開することを許される。占領期間中は、適当な管理の下に、日本は、平和的目的のために必要とする原材料その他の物品を外国から購入し、また、承認された輸入品の代価として物品を輸出することを許される。

財貨の輸出入、外国為替及び金融取引は、すべて管理されなければならない。これらの統制を行うに当っての方針及びその実際の運用は、占領当局の政策に反しないように、特に日本が獲得し得るすべての外国の購買力が必要不可欠な必要のためにのみ利用されるように、最高司令官の承認及び監督の下に置かれる。

7. 海外に所在する日本の財産

既存の日本の対外資産及び降伏条件の下に日本から分離された領域にある既存の日本の資産(皇室及び政府が全部又は一部を所有する資産を含む)は、占領当局に明らかにし、連合国当局の決定に従つて処分するために保管しなければならない。

8.日本国内における外国企業の機会均等

日本の当局は、外国の企業に対し、排他的若しくは優遇的な機会若しくは条件を与え、又は日本の企業団体がこれを与えることを許さず、又は経済活動の重要な部門における支配権を当該企業に譲与しないこと。

9.皇室財産

皇室財産は、占領の目的を遂行するために必要な一切の行為から免除されることはない。





【降伏後に於ける米国初期の対日方針】

本編中では『日本人改造計画』と引用される。1945年6月に国務省が作成し、国務・陸軍・海軍三省調整委員会(SWNCC)が承認した、極東における政治・軍事問題に関する報告書「United States Initial Post-Defeat Policy Relating to Japan (SWNCC150)」。

ポツダム宣言の前の作成なので、一部に矛盾ないし錯誤がある。後述の「連合国最高司令官への初期基本的指令」が発せられるまで、GHQの対日方針であったと思われる。SWNCC150には複数の改訂があり、詳細ないし過激になっていく。改訂がなされると、前版は棄却され無効となる。B-1の3時期については早い時期に削除されている。


《一部抜粋和訳》

A-II 無条件降伏または全面的敗北

連合国最高司令官は、日本国の無条件降伏または全面的敗北の直後から、日本帝国の内政および外交に最上位の権力を行使する。同時に、天皇の憲法上の権限は停止される。国策の策定また検討に関与するすべての機関は、軍政府の目的が達せられるまで停止され、それらの機能は軍政府に引き継がれる。

B-I 日本国を扱う連続した時期

前述の全般的目的を達成するため、米国の政策は、戦後における日本国の発展を連続する三つの時期に分けて個々に検討すべきである。

第1期は、日本国の降伏または全面的敗北の結果、同国に課される諸条項が軍事占領をつうじて実施される時期である。日本国民は、彼らが自ら招いたものについての責任を免れえず、したがって、この時期において彼らは厳しい制裁を受けることになろう。

第2期は、厳重な監視の時期であるが、日本が他国と平和に生きる意思と能力を実証するならば、それに応じて制限は徐々に緩和される。軍政府は他の監督機関に置き換えられるかもしれない。

第3期は、米国の究極的目的である、平和国家の一員としての責任を適切に果たす日本の姿を目指す期間であろう。

この3つの時期における占領期間と日本人の扱いは、日本人の行動に大きく左右される。

B-II 軍政府の政治的目的

日本における軍事政権の当面の目的は、日本に課せられた条件を厳格に実施することである。このような枠組みの中で、軍事政権の一般的な政治目的は以下の通り:

1.軍国主義の撤廃、

2.民主主義の傾向と変化の強化。

3.自由な政治的要素を奨励し、国連が対処できるような政府の出現を容易にするような状況を日本で作り出すこと。

B-III 軍政および軍事占領

2.軍政府の性格

軍政府の措置は、厳格かつ公正でなければならない。

3.行政機能と機構

軍政府は、日本の行政機構と可能な限り日本の官公吏を利用し、これら官公吏に軍政府の政策及び指令を実行する責任を負わせるべきである。軍政府は、いかなる場合であっても、好戦的ナショナリズムと侵略を露骨に表現した人物が公職に就くこと、または公私の企業において責任ある地位や影響力を持つことを認めてはならない。日本の施政は、地方の責任を発展させる方向に向けられるべきである。





【連合国最高司令官への初期基本的指令】

1945年11月に国務・陸軍・海軍三省調整委員会(SWNCC)が承認した、統合参謀本部のマッカーサーへの正式司令「Basic Initial Post Surrender Directive to Supreme Commander for the Allied Powers for the Occupation and Control of Japan (JCS1380/15=SWNCC52/7)」。

『日本人改造計画』を、「憲兵」や「大政翼賛会」など固有名詞も用いて、より具体的に詳述し、指令文としたもの。逮捕抑留すべき戦争犯罪者や、離職追放すべき公職追放者の対象も詳細に指示されれている。

本編中では『改造詳細』と引用される。その際、一部の条項が存在しないか、または変更されている場合がある。


《一部抜粋和訳》

第1部

一般および政治

2.軍事的権限の根拠と範囲

日本に対する貴官の権力と権限の根拠は、貴官を連合国最高司令官に指名する米国大統領の署名した指令と、日本国天皇の命令によって実施された降伏文書である。 ~略~ しかし、貴官が必要と考えたり、反対の指示を受けたりしない限り、貴官は直接軍事政権を樹立せず、日本国天皇または日本政府を通じて貴官の任務を達成できる範囲で、貴官の権限を行使することと考える。権限の行使にあたっては、以下の一般原則に従うものとする。

3.日本の軍事占領の基本目的

a. ~略~ 米国は、日本政府が民主主義的自治の諸原則にできるだけ忠実に従うことを望んでいるが、自由に表明された国民の意思に支えられていない政府形態を日本に強いることは、占領軍の責任ではない。

4.日本に対する軍事的権限の確立

b.貴官は、帝都東京及び貴官が日本政府に対する貴官の管理を容易ならしめるために必要と認める県庁所在地を占領する。貴官は、更に貴官の必要と認める戦略的な場所をも占領する。それ以外には、貴官は、日本のいかなる部分をも直接軍政施行が不可決とならない限り占領してはならない。しかしながら、貴官は、貴官の使命実現の必要に応じて、日本のいかなる地域においても臨時に貴官の軍政を使用することができる。 ~略~

c. ~略~ 貴官は、合同参謀本部との事前の協議及び合同参謀本部を経て貴官になされる通達なしには天皇を排除したり又は天皇を排除に向けたいかなる措置をも執らない。

d.貴官は、(1)1914年世界大戦開始以後日本が委任統治その他の方法によつて接収または占領しているすべての太平洋諸島、(2)満洲、台湾、澎湖諸島、(3)朝鮮、(4)樺太及び(5)今後の指令に指定されることのあるような他の地域の日本からの完全な政治上及び行政上の分離を実施するために適切な措置を日本において執る。

e.貴官は、適当な方法によつて日本国民の全階層に対し、彼らの敗戦の事実を明らかにする。彼らの苦痛と敗北は日本の不法且つ無責任な侵略によつてもたらされたものであること、又、日本人の生活及び制度から軍国主義が排除されてはじめて日本は国際社会への参加を許されることを、彼らに認識させなければならない。 ~略~しかしながら、貴官の将兵は、米国及び連合国並びにそれらの代表者に対する信頼を深めるように日本人を扱わなければならない。

5.政治的と行政の再編成

d.国の政策の地方的実施に対し地方に責任をもたせることは、奨励される。

e.日本における通常の刑事及び民事裁判所は、貴官の決定する規則、監督及び統制に従つて機能継続を許される。 ~略~ 貴官は、貴官の使命の目的と一致しないすべての判決に対して拒否権を行使する。 ~略~ 

6.非軍事化

a.貴官は、憲兵隊(但し、警察を含まない)、民間義勇隊及びすべての準軍事組織を含むすべての日本の武装部隊の速やかな武装解除を確実にする。このような部隊の隊員は、捕虜としてではなく、彼ら自身の将校の下に武装解除された部隊として取り扱われ、貴官の発したか又は発する予定の指令に従つて復員させられる。貴官は、捕虜となって日本に帰還した日本軍の構成員に対するいかなる不公平な扱いまたは障害に対しても、規定を設けることを要求する。

b.貴官は、軍事参議院、元帥府、大本営、参謀本部、軍令部、陸軍、海軍及び民間義勇隊、憲兵隊を含むすべての軍事組織及び準軍事組織並びに日本における軍事的伝統の保存に役立つことのあるすべての在郷軍人会その他の軍国主義的団体の恒久的解体を規定する。但し、貴官は、降伏特に復員を実施するという限られた目的をもつて、上に列挙されたものを含む陸海軍機関を短期間利用することができる。陸海空におけるすべての軍事的及び準軍事的訓練は禁止される。

7.日本人公職者の逮捕及び抑留

a.次の者は、その処置について追つて訓令があるまで、戦争犯罪容疑者としてできる限り速やかに逮捕し且つ抑留する。

(1)軍事参議院、元帥府、大本営並びに参謀本部及び軍令部の構成員全部。

(2)憲兵隊の将校全部及び陸海軍将校のうち好戦的国家主義及び侵略の重要な推進者であつた者全部。

(3)超国家主義的結社、暴力的結社及び愛国的秘密結社の枢要な会員全部。

c.しかしながら、貴官は、上記第7節のa.の(1)及び(2)に列挙されている種類の人物中、日本武装部隊の復員を確実にするために貴官が絶対に必要とする人物を、厳重な監督の下に短期間利用することができる。

d.貴官は、平和に対する罪及び人道に対する罪を犯した者を含む戦争犯罪人に関する貴官の責任について、さらに訓令を受ける。

8.捕虜、連合国人、中立国人、その他の者

a.貴官は、連合国の捕虜及び流民が保護され且つ送還されることを確実にする。

c.連合国人であつて日本に居住しているか又は抑留されているすべての非軍人は、調査し、綿密に尋問し、貴官が適当と認める場合には抑留し又は居住を制限する。 ~略~ 

d.貴官は、軍事的安全が許す限り、台湾系中国人および朝鮮人を解放された人民として扱う。彼らは、この指令で使われている「日本人」という言葉には含まれないが、日本の臣民であったので、必要に応じて、貴官は敵国人として扱うことができる。彼らは、彼らが望むのであれば、貴官が定める規則に基づいて本国に送還することができる。 ~略~ 

9.政治活動

b.貴官は、軍事的安全とこの指令に述べられている目的の達成のために必要な最低限度の統制及び検閲を、郵便、無電、ラジオ、電話、電信、海底電信、映画及び出版物を含む非軍事的通信に対し設ける。思想の自由は、利用しうるあらゆる弘報手段による民主主義の理想及び原理の弘布によつて育成される。

c.貴官は、現存するすべての政党、政治団体、政治結社を即時統制の下に置く。そのうち軍事占領の要求及びその目的に一致した活動をしているものは、奨励されるべきである。このような要求及び目的に一致しない活動をしているものは、廃止すべきである。 ~略~ 

d.労働、産業、農業における民主主義的団体の発達は、奨励される。

第2部

A.経済

13.貴官は、日本の経済的復興又は日本経済の強化についていかなる責任をも負わない。貴官は、次のことを日本国民に明らかにする。

a.貴官は、日本における特定の生活水準を維持する義務を負わず、また維持してきた義務も負わないこと。

b.生活水準は、日本がすべての軍国主義的野心を排除し、人的および天然資源の使用を完全かつ平和的な生活のためだけに振り向け、適切な経済および金融管理を行い、占領軍および彼らが代表する政府に協力する徹底ぶりにかかっていること。

日本経済制度の運用

19.日本当局は、自己の資源及び労力によつて次のことの達成を可能とする実行計画を作成し且つ有効に実施するように期待される。

a.甚しい経済的困窮を避けること。

b.利用しうる物資の適正公平な分配を確保すること。

c.占領軍の必要のための貴官の要求をみたすこと。

d.連合国政府の合意するような賠償引渡のための要求をみたすこと。

20.貴官は、飢餓、広範囲の疾病及び甚しい肉体的苦痛をひきおこすことなしに行われうる限度内で、占領軍の必要をみたすために物資及びサービスを供給することを日本当局に要求する。

B.民生物資供給及び救済

民生物資供給方針及び供給基準

29.a.貴官は、日本への輸入を厳しく制限するために、必要な日本の資源を最大限に活用するために、あらゆる実行可能な経済的・警察的措置が取られることを保証します。このような措置には、生産および価格の統制、配給、闇市場の統制、財政および金融の統制、ならびに日本で利用可能な資源、施設および手段の完全な利用を目指すその他の措置が含まれる。

第3部

財政

43.貴官は、次のものの支払を禁止する。

a. 受給者の労働能力を制限する身体障害に対する補償を除くすべての軍人恩給、その他の栄典又は給付であって、非軍人の原因により生じた同等の身体障害に対する補償の最低料率を超えないもの。

b.次の者に授与されるすべての公的又は私的の年金その他の手当又は特典。

(1)大日本政治会、大政翼賛会、大政翼賛政治会、それらの参加団体及び出先機関、又は後継若しくは類似団体並びにすべての日本の超国家主義的結社、暴力的結社及び愛国的秘密結社、これらの出先機関及び参加団体の会員であるか又はこれらのために尽力した者。

45.貴官は、下に列記されている種類に入るすべての金、銀、白金、通貨、証券、金融機関における勘定、クレディット、財産的価値ある書類その他すべての資産を押収又は封鎖する。

a.次のいずれかによつて直接又は間接に、全部又は一部所有され又は支配されている財産。

(1)日本の中央、都道府県及び市町村政府又はこれらのいずれかの出先機関若しくは組織。これらのいずれかの支配下にあるすべての公共事業、企業、公団又は独占事業を含む。

(2)ドイツ、イタリア、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリーの政府、国民又は居住者。このうちには、かつてこれら諸国及び日本によつて占領されていた地域の政府、国民又は住民を含む。

(3)日本皇室。

(4)大日本政治会、大政翼賛会、大政翼賛政治会、これらの参加団体及び出先機関又は後継若くは類似の団体並びに日本のすべての国家主義的結社、暴力的結社及び愛国的秘密結社、これらの出先機関、参加団体並びにこれらの役員、幹部、支持者。

(5)国家神道。

(6)貴官の禁止し又は解散したすべての団体、クラブ又は他の協会。

(7)連合国及び中立国の政府、日本国外の日本人を含む日本国籍以外の不在者所有者。

(8)本州、北海道、九州、四国および日本に残された小島を除く、1894年以降のいかなる時点においても日本の支配下にあるあらゆる地域に存在するあらゆる個人および関係者。

b.日本国内または国外にあるすべての日本(公的および私的)の外貨およびあらゆる種類および記述の対外資産。

d.所有者のいかんを問わず、重要な文化的又は物質的価値を有する美術品。






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