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たった一人の魔法少女  作者: 天竺霽
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第一話 肝試しに行こう

ハイファンタジーを割と書いているので、もしかすると若干ハイファンタジー要素が含まれているかもしれません。

「ねえねえ、この学校の七不思議って知ってる?」


女子生徒に聞かれた男子生徒は首を振る。


「うちの学校に七不思議があるって初めて聞いたな、それって何なんだ?」


「んーとね、確か一つ目が理科室の人体模型。

二つ目が保健室のベット、三つ目が図書館の本棚。

四つ目が女子トイレで五つ目は視聴覚室のスクリーン。

六つ目はここの中学校の北館の三階の階段。

それで七つ目が…ちょっと不思議なんだよね。」


女子生徒が口を止めたことに異変を感じる。


「ちょっと不思議ってどういうことだ?」


「……一から六つ目までは本当かどうかは分からないけど、七つ目の事だけは()()()()()()についてなの。」


だんだんと怪しくなってきた。

男子生徒は疑問しか頭に浮かばない。


「それで七つ目は、『不思議な術を使うオッドアイの生徒』の事なの。」





教室の隅で本を読んでいる少女がいる。

彼女は西泉中学校の中学二年生の水上渚(みなかみなぎさ)

二年四組で美術部兼放送部所属。

委員会は図書委員会で書記を担当している。

みんなからは渚とか渚ちゃんなどと呼ばれている。

黒縁の眼鏡をかけていて、如何にも文学少女という雰囲気を醸し出している。

休み時間になると大抵、本を借りに図書館へ行く。

友達がいないわけではないが、多いわけではない。


「あっ、渚じゃん。何読んでるのー?」


本を読んでいた渚に声をかけたのは同じクラスで幼馴染の渋染園歌(しぶぞめそのか)だ。

茶色のポニーテールの髪型に切り揃えられた前髪。

ほっそりとした体つきはどこか艶かしさが垣間見える。


園歌とは幼稚園で友達になった。

小学校に入学してからもほぼ毎日遊ぶような間柄で、周囲からはこの二人以上の仲が良い人は見た事が無いと思われるくらいだ。

中学校に入ってからは二人はあまり遊ばなくなった。

渚は元々大人しい性格のため、教室で一人でいることが多くなった。

園歌は渚とは違い、彼女自身がとても明るく活発な性格のため今ではクラスの中心的存在になっている。

中心的存在のためもちろん友達も多く、人付き合いが上手い。

そんな状況になっていても園歌にとっては渚は、今も大親友であり掛け替えのない存在であると思っている。

当の本人の渚は、今では友達のうちの一人だろうとしか思っていないのだが。


園歌の事について考え事をしていると、園歌が声を掛けてきた。


「…?どうしたの渚。もしかして答えられないくらいヤバい本読んでいるの?」


園歌に聞かれハッとした。

一瞬我を忘れかけていた。

慌てるようにして何の本を読んでいるかを答えた。


「あ、え、えっと…『水上でティータイムをしませんか?』って言う本を読んでいるの。一応恋愛系。」


すると園歌は目を輝かせた。

キラキラという効果音がピッタリ似合う目だった。


「何か題名がおしゃれだね!水上でティータイムって。一回渚とやってみたいな〜。っていうかさ、渚って恋愛小説とか読むんだね。意外だな〜。」


「そ、そうなんだ。い、意外…かなぁ?」


園歌の中では色々な妄想を膨らませながら紅茶を飲む仕草をしている。

__園歌と一緒にいると何だか楽しくなってくるね。

__でもやっぱり私以外の人といた方が楽しいはずだからね…。

園歌が妄想に浸っている間に少し考える。

笑みをこぼしたがそれは園歌に向けてはいなく、自分に対しての僅かに嘲りの感情が含まれていた。

たまに園歌に話しかけられてはふらりと何処かに行って他の女子と戯れる。

友達が多く人付き合いが上手い園歌がが心のどこかでは羨ましいと思っているが口に出せない自分が悔しい。

そんな風にゆっくり、ゆっくりと毎日の時間が過ぎていく。


この出来事の数ヶ月後の8月31日。

夏休みの最後の日に二年四組のクラスラインである会話が繰り広げられていた。


ジュン『そういえばさ、俺らの学校の七不思議って知ってる?』


浦岡(うらおか)『あー、知ってる知ってる。前に聞いたことある。』


池ノ上梨紗(いけのうえりさ)『私も知ってる〜それがどうかしたの〜?』


ジュン『肝試しにいかない?その七不思議を確かめに今日の十一時に。』


梶上(かじうえ)『えっ、でもさ学校開いているのって夜の九時までじゃなかった?』


浦岡『今日はなんかサッカー部が試合が終わる時間遅いから学校が十二時まで開けるはずだから行けるんじゃない。』


池ノ上梨紗『私はやめておくわ。多分怒られそうだし笑。』


梶上『俺は行ける。今日親が帰り結構遅いらしいし。』


ジュン『行ける人は西泉中学校の近くのコンビニで十時五十分に待ち合わせな。』


この日に肝試しに行くメンバーはこの地点では分からなかったが少ないだろうと大半は予測していた。

彼らは懐中電灯と携帯電話などを携えて行くことになった。

その中に園歌もメンバーに入っていた。

ただ単純に面白そうだからという理由で入ることになった。


そしてその日の夜十一時、メンバーが集合した。


メンバーは園歌を含め十二人。

女子六人、男子六人とちょうど半分ずつだ。

彼らは肝試しの舞台となる西泉中学校へ足を運んだ。


何が起こるとも分からないまま。
















ちなみに渚はメンバーには入っていない。

携帯を持っていないためラインに入れないのだ。

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