第2話 マサルの決意
第2話 マサルの決意
午後7時ごろ、マサルの母が帰って来た。マサルの母は家計を支えるため、ピアノ教室でアルバイトをしていた。対してマサルの父は普通の会社員、有名会社ではないがそこそこの収入を得ていた。しかし、学力社会において勉強は必須なのだが、マサルを塾に行かせるためには母の支えが必要であった。
母は既にあのニュースを見ていたらしく、帰って早々マサルに意見を求めた。
「マサル、〇〇大学のやつ知っているんでしょ。あなたは行くつもりなの?」
マサルには母がいって欲しいと思っていることは想像できた。また、家族のためにもと思いながら、
「うん、無料だし大学で勉強できるのはチャンスだよ」
といってみた。そうすると母は嬉しそうに食事の支度を始めた。
マサルは確かでなかった。本当に安全なのか?メーラスフィア とは実際なんなのか?話が美味すぎるのではないか?様様な疑念は残っていた。しかし、次の日、学校へいったマサルは気持ちが固まった。
朝、いつも通り時間に外へ出ると 翔 (しょう) が待っていた。ちなみに翔とは大空 翔であり、マサルよりは少し高い175cm、運動は得意で学力もマサルと同じくらいだ。
マサルの仲のいい友達の1人だ。ここで親友とは言わないのは、マサル は親友として思っていないためである。マサルにとって親友の定義は '命が預けられるか' であり、マサルは今までそのように思ったことはないのだ。
また忘れていけないのは翔も膨らみを持っているということだ。高校一年だった時、膨らみを伝染病とデマが流れた。その時に出会って助け合った思い出?があるのだ。
マサルは翔にニュースについて聞いてみた。すると翔がいったのは、
「俺は行く」
とただ一言でかたずけた。この一言は重かった。マサルがこんなにも悩んでいることをすらっといったためだ。
学校に着くとマサルと翔は皆に注目された。あのニュースは各テレビ局が放送していたらしい。
「お前ら、膨らみあったよな」
「メーラなんとか 見してくれ」
「〇〇大学行くのか?」
次々に質問されたマサルは戸惑っていた。だが
「ある。メーラスフィアな。俺は行く」
「... ...」
対照的に翔は一つ一つ答えたため、熱が冷めたらしく、騒ぎもすぐ静かになった。
それからいつも通りの学校だったが、一連の流れでマサルが思ったのは、行くべきではないかということだった。皆に聞かれて思ったのは、メーラスフィア の正体を知りたいということ。その一番の近道が〇〇大学に8月7日に行くことであった。
(マサル) 俺は行く
それがマサルの決断だ。しかし彼はまだこの決断の重みを理解してなかったことはのちわかるだろう。