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暗闇と光

ここはどこだ?

真っ黒な、何もない空間。

クソッ。気が狂いそうだ。


こんな何もない場所で、

自分だけが見えるなんてありえねー。

ぜってえ何かあるはずだ。


ん?なんだ?

光が近づいてくるぞ?


んんん!!

眩しいなっ!おい!

一体何なんだよ!


『初めまして〜?神で~す。』


……。はっ?

何言ってんの、コイツ。


ん、でも待てよ?

コイツどっかで見たことあるような……。


『大正解~。

僕と君は会ったことがあるんだよ?』


……。!!!!

わかった。コイツ、俺のやってたVRMMOに出てくる神にそっくりなんだ。あのハッチャケた何をしでかすか分からなかったマルフェルナ神に。


『いいね〜!またまた大正解!

どうも〜マルフェルナでっす。』


うわー。このノリ身に覚えありすぎる。

てか、実際に存在するもんなんだな、ゲームの神って。


『いやー、普通は存在しないかな。うんうん。』


は?でも、お前存在してるだろ?

てか、あの世界の神殿で会ったお前そのものだ。


『いやいや、僕が特別っていうか〜。

ってか、声に出して話してよ〜。

僕が1人で話してるみたいで悲しいじゃないか〜。』


うわっ。ウザっ。


「はいはい。で、何?」


で、ここにいる理由は?

俺なんかしたか?

てかなんで、地球の神じゃなくてマルフェルナ神?

呼ばれるにしても普通、地球の神にだろ?


『はいはいって、口にださないでよ〜。』


「はいはい。で?」


『うー。また〜。』


はいはい。早く進め。


『うー。あのねー』


ほーう。

マルフェルナ神の話によると、俺が愛用していたあのVRMMOは実際の異世界で、人口が足りなかったがためにマルフェルナ神が苦肉の策でした、即席人口増加の政策であった、と。

で、人口がだんだん増えて来たので、VRMMOのサービスを停止した、らしい。



「んで、そこからどう俺に関わると?」


確かに俺はアレを愛用していたが、ただの1プレイヤーに過ぎない。それが呼び出される理由になるのだろうか?

甚だ疑問である。


『いやいや、君を1プレイヤーって言ってたら、他のプレイヤーたちがかわいそうだよ〜。』


そうか?俺より強いヤツはゴロゴロいたぞ?


『それも勘違い〜。君のギルメンがおかしかっただけだよ〜。それに、ゴロゴロって言っても、君も四天王の1角だったでしょ〜?』


いやいや、あれは、じゃんけんに負けたからで、


『それでも、実際問題、君は強かったんだよ!』


……。そうか。


『で、話を戻すよ〜。僕があまりにも考え無しにいきなりプレイヤー達を消しちゃったものだからさー、現地の民たちが現実を受け入れられなくって〜。

……………………。

今でも待ってるんだよ。あの日、帰るって出ていった君たちを。』


「はあっ?どういうことだよ!?」


てか、自分で自分のことを考え無しって言うってどんだけなんだよ、考え無し。


『言葉の通りだよ。

君たちを、待っている。


……特に君の恋人は。


それにね、冒険者っていう抑止力と戦力がごっそりいなくなっちゃったものだから、国は荒れに荒れて、大変だったんだ。


魔物は溢れるし、民草の心は荒れて、食糧難が続くし、戦争は起こるし。


そこで立ち上がったのが、君の恋人。君が帰って来る場所を無くしてたまるかって。死んでたまるかって。すごかったんだよ?彼女。ついには女王様にまでなっちゃったりしてね。』


女王?あのシアが?

シア……。

VRMMOのNPCだと解っていても、その心に触れ、愛してしまった女。


『そんな彼女が今でも君を待っている。君も死んでしまった事だし、君をあの世界に送ろうかと思って。』


「……。元の世界はどうなる?」


『何も変わらないよ?地球から君に関する記憶が消えてしまう〜とかいう、ラノベにありがちな展開もない。だって、君はもうすでに死んでしまっているからね。でも、君が僕のお願いを聞いてくれるって言うんなら、1つくらい君の願いを聞いてもいいよ?』


……ならば。


「妹を幸せに。」


『んー。彼女にとっての幸せが何かは分からないけど、取り敢えず、寿命以外で死なずにお金関係に最低限不自由しない生活を保証、でいい?』


それだけの保証があればアイツなら自分で道を歩んで行ける。


「ああ、それでいい。」


元の世界での気がかりはそれだけだ。

それさえ保証されれば……。


「お前の願いはなんだ?」


『ん?ふふ。簡単だよ。

ユーレシアを幸せにしてほしい。

あの子のおかげであの世界が終焉を迎えずにすんだ。


今、あの子はアトレシア王国の北、ラナルタ山脈にあるダンジョンで眠っている。

眠って、君を待っているんだ。


あれから、君たちを消してから1000年の月日が立っている。彼女の灯火も消えそうだった。だから彼女は眠りに着いたんだ。君を待つために。


君の伴侶となるものの寿命は、君の寿命に比例するようにしておくよ。そして君の身体はプレイヤー当時のものだ。ということは、わかるな?ほぼ不老不死だ。』


ああ、あの身体のことは俺が1番よく知ってるよ。


『ならいい。あの世界の寿命は魔力に比例し、巨大な魔力を持つお前も、それを共有するようになるお前の伴侶も、ほぼ不老不死だ。だから、死にたくなったら遠慮なく俺を呼べ。その時は引導を渡しに行ってやる。絶望で世界を壊すなよ?お前にはその力がある。』


「ああ。」


ありがとう。

人に感謝するのは久しぶりだ。

人じゃねえけど。

あと、最初のハッチャケた口調より今の口調のがかっこいいぜ?


『はあ?今更か?まあいい。

さあ行け。お前の新たな人生だ。』









光る、光る。視界が……。


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