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prologue
今日は、妹の誕生日だった。
いつもはツンケンしてるアイツが珍しく甘えてきた。
だからちょっと調子に乗ってしまったんだな、きっと。
だって、まさかトラックが突っ込んで来るとは思わないだろ?
運が悪かった。
いつもなら、誰が巻き込まれていようと助けたりしない。
いや、俺の隣に大切な奴が歩いていないから、助ける必要がないってやつだ。
だが、今日は違った。
珍しく、アイツが俺の隣を歩いていたんだ。
俺のただ1人の家族。
俺を支えてくれた、ただ1人の妹。
……アイツを助けなくて、誰を助けるんだ?
だから、身がすくんで動けなくなってるアイツを押し飛ばした。
アイツびっくりしてたな〜。
普段あんまり話したりしてなかったから、驚いたんだろ。
きっと、俺がアイツのこと大切にしてるって気づいてなかったんだろ。
ああ、そんな顔すんなよ。
あの世に行けなくなんじゃねえか。
なあ、笑え。
なあ、…………。