アトレシア王国史より 女王の手紙
はじめまして、読者様。初投稿です。
優しい目でお願いします。
ねえ、覚えてる?
あの日、あの時、あの場所で。
貴方は言ったわ。
「必ず帰る」 って。
あれから、どれくらいの時が経ったかしら。
もう、数えるのをやめてしまったわ。
わたしは今、何歳かしら?
貴方が、私の成人の誕生日に言いたいことがあるって約束したのに。
ねえ、あとどれくらい待てばいいの?
もう待つのに疲れてしまったわ。
疲れたならば待たなければいいって?
わかっているわ。
でも、待たずにはいられないの。
貴方が言ったのでしょう?
「必ず帰る」って。
「帰ったら言いたいことがある」って。
そんなこと言われたら気になってしまうじゃない。
待ってしまうじゃない。
貴方が大好きなんだから。
でも、残念ながらそろそろお迎えが来てしまうわ。
いくら見た目が若いからって、私だって歳をとるのよ?
貴方は私が歳をとらないと思い込んでいたようだけれど。
ねえ、少し眠るわ。
でも起きた時、最初に見るのは貴方のマヌケな顔がいいわ。
だから、貴方が起こしてちょうだい。
それくらいのわがまま、許してくれるでしょう?
私はずーっと待っているのよ?
嫌だと言ったらぶっ飛ばすわ。ふふ。
大好きな貴方。
ずーっと待っているわ。
貴方に会える日まで。
愛を込めて
アトレシア王国 初代女王
ユーレシア・ファン・アールツァー・アトレシア
アトレシア王国史 第1章 より 女王の手紙