息の緒
幸福の持続
折り鳥
風にのって、空を飛ぶ折り紙。
折り草
折紙の草。
無知蒙昧に、黄昏の園で、
孤高に咲く万朶の如く
会い縫えば成る 衣の名を
鎖を解いて糸の如く
妖花
傀儡技術の急激な発達により、現体制から新体制への過渡期を世界は向けていた。
そんな中、あるベンチャー企業が製造した擬似蘇生装置を、半ば違法的に使用する児童養護施設があった。疑似蘇生装置は死んだ"両親"達の音声と身体をほぼ完璧に模倣し、生前に蓄積された統計的データを介して違和感のないコミュニケーションを可能にする。
夏の夜。皺苦茶のベットの上、栞さんは布団と枕を背もたれに敷き詰めてタバコを吹かせていた。
開放された窓からは夜風が流れ、少し濡れた彼女の黒髪をゆらりと揺らした。
孤島へ結ばれた純白の大橋を、一台のタクシーが走っていた。
後部席にはOL姿の若い女性が足を組んでいる。どこか悲壮感のある表情で半醒と海の向こうを眺めていた。
元いた場所から遠退いて行く。始まりから、終わりを想起し憂鬱になる。
私は物の声を聞くことができる。
庭先に咲く朝顔や、
ある夜、幾人かが同じ夢を見た。
独白
隕石産業
坑夫は湖へ降り注いだ隕石を採取するため潜水する日もあれば、古くに降り、地層に埋まったものを掘り起こすため、幾重にも坑道を這わした。